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9章 調和の章

カオスとの対決

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 「おおお・・・!やはり、負の心に満ちたこのしんやの体は、我のうつわにふさわしい!さあ、早速使わせてもらうぞ!全てはいとなれぃ!」カオスが口から地獄の業火ごうかを吐き出すと、すぐるたちは目を伏せましたが、カオスの火がすぐるたちにとどくことはありませんでした。

「『純潔じゅんけつの氷河』よ、全てのわざわいから守り抜け!」すぐるたちは真っ白な氷のドームに包まれました。氷のドームはカオスの火を完全に防ぎ、炎をき消してしまいました。
「全ての災いを洗い流せ!」氷のドームははげしい渦潮うずしおとなり、大水おおみずはカオスに直撃します。

「ぐぐぐ・・・!こ・・・これは・・・!」すぐるが後ろを振り向くと、先ほど氷のドームを出したメガロをはじめ、エルニス、ロレンス、テイル、リリス、キャンベル、レミオンが現れました。
「みんな!」すぐるはハッとし、安堵あんどの表情になりました。

「おのれぇ!メダルの使徒しとどもがぁ・・・!いくらえても結果は同じ!全て、我がかてとしてくれる!」
 
 みんなはカオスに向き直ります。

「そうはいくか!カオス!今度こそお前を倒す!」エルニスがカオスを指さします。

「ここで倒れたら、連邦警察れんぽうけいさつの名がすたるんだよ!」ロレンスも石斧いしおのでカオスを指して言いました。

「私だって、自由と平和を守るためにキーパーになったんだから!」テイルは|叫(さけ)びます。

「お前の様な者がおるから、悪魔族はいつまでたってもしあわせになれぬ!」リリスも叫びました。

「今まで助けてもらった人たちのためにも、負けるわけにはいかないんです!」キャンベルはキッとカオスを見据みすえます。

「聖堂騎士の名にけて、おれは皆を守り抜いて見せる!」メガロもカオスを見据えました。

「我が父や国、皆をもてあそんだ罪、ここでつぐなわせてやる!」レミオンは剣を抜きます。

「やっと大魔王のおでましか!」ボブも剣を抜きました。

「ここで終わりにしてみせますわ!」シェリーじゃ弓をかまえます。

「皆の思い、全てお前にぶつける!」すぐるも杖を構えると、七つのメダルがそれぞれの使徒の手の中に吸い寄せられていきました。

「ほざけぇ!我は混沌!創造を司る神!まとめてひねりつぶしてくれる!」カオスが今度は世界の終りを告げるような猛吹雪を発してくると、キャンベルが皆の前に躍り出て、呪文を唱えました。

ほこれ!『博愛はくあいの太陽』!」キャンベルそのものが大きな光のかたまりとなり、カオスの吹雪を蒸発じょうはつさせ、その光は皆に活力を与え、逆にカオスを弱らせます。

「なんだ!?このまわしい光は・・・!やめろ!」

「おお、これはすごいぜ!全身に力がみなぎって行くぜ!よし、うなれ!『生命の咆哮ほうこう』よ!」ロレンスが天高く雄たけびを上げると、そのけたたましくも力強いオーラで、全員の心に火をつけました。

「やってやろうぞ!『大志の息吹いぶき』じゃあ!」リリスは口かられ狂う炎のうずを吐きつけ、カオスは炎に包まれます。

「くそぉっ・・・!下級悪魔の小娘がぁ!そんな物!わが炎で!」カオスが炎を吐きかけると、メガロが立ちはだかり、氷の盾で炎を防ぎました。

「そんな暴力の力では、おれの『正義の盾』に傷一つ付けられんぞ!」

「おのれぇ!」カオスが今度は尻尾を突き出して来ると、今度はボブが『根性の一太刀ひとたち』でカオスの尾をバッサリと切り落としました。

「なっ!どんどん力が抜けていく・・・!」切れた尻尾の先からどす黒いエネルギーがガスバーナーのごとく吹き出していくのが分かりました。

「チャンスよ!みんな行きますわ!」シェリーが『信念の矢』を引き絞り、カオスの胸をつらぬきます。

「ぐぉおおっ!」カオスがひるんだすきに、ロレンスが『覇気はきの斧』を投げつけ、続いて、キャンベルが『慈愛じあいの炎』を放ち、テイルが接近し、『自由の鉄拳てっけん』を何度も叩きつけ、レミオンが『王道の剣』をします。

「くそぉっ!虫けらどもがぁ!これで終わらせてやる!負の究極魔法ソンブル・アルム!」カオスが両手にエネルギーを集中し、巨大な黒いかたなを投げつけると、エルニスがっ込んで行きました。

「いくぞっ!『勇気のいかずち』!」エルニスが膨大ぼうだいな電撃をまとって巨大な彗星すいせいのごとき姿となり、カオスのやいばをぶち抜き、カオスの胸をつらぬいたのです。

「うぉあああああああああっ!」カオスの体が黒いけむりにつつまれて、どんどん消えて行き、最後はしんやの姿すがたになりました。

「くそっ!おれは・・・世界を変える!おれは現実界リアリティでは、何事も一番であることを宿命しゅくめいづけられた!そうすることでしか、周りに認《みと》めてもらえなかった・・・!他人は皆、おれを裏切り、見捨てた!この世界におれの居場所はない!だから世界を変える!軍人ぐんじんだった祖父からこの剣と「強くあれ!」という言葉を受けいでな!」しんやはどす黒いオーラをまとった、曲がった剣を抜きました。すぐるも白くかがやく杖を構え、お互いの神器をぶつけ合います。鋭く重い金属音をたてて、両者押し合いになりますが、なんと、しんやの『暴魔剣カオスの剣』の刀身にヒビが入って行くのを感じました。

「バカな!なぜ剣が筆なんかに・・・!?」すぐるが言います。
「しんや、君は弱い・・・!」
「なんだと!?」しんやはいきりたち、ヒビの入った剣をやたらり回しますが、どれもすぐるには当たらず、防がれるだけです。

「しんや、君は何でも暴力で解決しようとする!そうすることで、自分の弱さを隠しているだけだ!」すぐるの『聖魔杖コスモの絵筆』の一振ひとふりは、しんやの『暴魔剣カオスの剣』を真っ二つにへし折ったのです。
「おれの剣がぁ・・・!」しんやは涙と鼻水でぐちゃぐちゃの顔で折れた剣をりかざしてきます。

「終わりにしよう・・・!全てを思いでめろ!『セプト・クルール』!」すぐるがコスモの絵筆を振りかざすと、絵筆の先からまばゆい七色の光がほとばしり、光はその場を全て埋め尽くし、全員目をせたのです。
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