30 / 97
2章 覇気の章
帝国のスカウトマン
しおりを挟む
すぐるとリリスがニューヨー連邦へと船出をしたころ、テイルとカインはスピネル王都でパトロールをしていました。
なんでも、あの混沌の帝国のスカウトマンがこの辺りをうろついていて、
子供たちを言葉巧みに誘っていくそうです。
すでにいくらかの子供たちがスカウトマンに誘われて、
混沌の帝国に入って行ったので、スピネルのキーパー協会や、警察が警戒に当たっているわけです。
そんな中、晴れ渡る緑豊かな公園の中で、
顔が見えないほど目深にフードをかぶった怪しい男が、遊んでいた子供たちに近づき、声をかけていました。
「君たち、混沌の帝国に入らないか?」
「混沌の帝国って何?」
「混沌の帝国は何でも自由な国さ。君たちは学校に通っているそうだけど、
ルールだらけの学校なんて、退屈でつまらないだろう?
でも、混沌の帝国は違うぞ!ルールに縛られることもなく、何でも自由なんだ」
それを聞いた子供たちはこう言いました。
「そういえば、学校なんて勉強ばかりだし、起きたくもない時間に起こされたり、なんだか嫌だな・・・」
「そうだろう?でも混沌の帝国なら、勉強もしなくていいし、
起きたいときに起きれるぞ」怪しい男がこう話していると、どこからか女性の声が聞こえてきました。
「こらーっ!何やっているの!」その声に怪しい男はハッとし、声のした方を見ました。
「ゲッ!前にオレを全治一か月にした女だ!逃げろ!」
怪しい男が一目散に逃げ出すと、そこにテイルがやって来て言いました。
「まったく!あんな所に自由なんてないんだから!」子供はテイルを見て言います。
「テイル姉ちゃん、あいつは何だったの?」
「あいつは混沌の帝国のスカウトマンよ、悪いやつらの集まりだから、誘いに乗っちゃだめよ!」
スピネル王都の商店エリアで、シェリーは便利屋に頼まれていた食料品の買い出しで、
店を出たところで右目に黒い眼帯を付けた男と肩までの長髪の男二人がシェリーに言い寄ってきました。
「へぇ、君ってかわいいね」
「よかったらぼくたちとお茶でもどう?」これにシェリーは顔を引きつらせながら言いました。
「あの・・・ちょっと・・・急いでいますので・・・!」シェリーはその場を去ろうとすると、
ナンパ男二人はシェリーの行く手をさえぎるように移動してさらに言い寄ります。
「つれないなぁ」
「ちょっとだけでいいからさぁ」シェリーは困り果ててオロオロしていると、
ナンパ男たちの背後から別の女性の声がしました。
「ちょっと!そこで何をしているの!?」その声にナンパ男たちはハッとします。
「ギクッ!この声は・・・!」もう一人の長髪の男は振り向いて顔を青ざめます。
「やっぱりテイルだ!逃げろっ!」ナンパ男たちは尻尾を巻いて逃げていくと、
間もなくシェリーの前にテイルとカインのバディが現れました。
「あら、シェリーじゃない、ケガはないかしら?」テイルはシェリーを気遣います。
「・・・わたくしは大丈夫ですわ・・・ありがとうございました」
シェリーはテイルに礼を言って、その場を後にしました。
「あいつら、きっとジャスパー学園の理事長の息子アスモの子分たちね、
アスモのやつ、気に入った女の子たちを連れまわして遊び放題って話よ」
テイルが不愉快そうに言うと、カインが言いました。
「そのアスモってやつ、最近、ガラの悪い連中とつるんでいて、
自分の権力にものを言わせて、混沌の帝国に人を勧誘しているって話だよ」
「まぁ、帝国のオコボレにあずかるつもりかしら!?」
シェリーが便利屋に帰ってくると、エルニスとボブが気遣います。
「おかえりシェリー、遅かったね」
「最近、よくないうわさが立っているから、迎えに行くところだったぞ」
「ええ、店を出たところで、ナンパ男たちに絡まれましたが、テイルさんに助けてもらいましたわ」
「そうか・・・最近、そのような事件が多いね・・・」エルニスは不安そうに言うと、キャンベルがこういいます。
「そうですね、わたしたちが通っているジャスパー学園でも、
きな臭いウワサが立っていますよ。学園の初等部に通っている子供が何人も家に帰っていないとか、
帝国に入ったものは恋人を獲得できるって話までありますよ・・・!」
それを聞いたエルニスとボブはハッとします。
「そういえば、よく遊ぶ初等部の後輩タケ君も昨日から帰っていないって言っていたなぁ・・・!」
「なんだよ、その恋人を獲得できるってのは・・・!?
エルニスたちが通う学園にも帝国の魔の手が迫っているんだな・・・!」
「ウワサでは、理事長の息子であるアスモが大きく絡んでいると言われています。
この前だってアスモと思われし者がシェリーさんのお風呂を覗きましたからね・・・!
あの時は、シェリーさんが悲鳴を上げたので、犯人は逃げましたけど・・・!」これにボブは歯噛みします。
「それでおれとエルニスは外に飛び出して犯人をとっ捕まえようとしたが・・・!逃げ足の速い奴だぜ・・・!」
「そのアスモってやつ、本当に遊び放題なんだね・・・!
よし、夜の学園に行って、真相を暴いてみよう!
親御さんからも行方不明になった子供たちを探してほしいって依頼が何件も来ているし・・・!」
こうして四人は夜のジャスパー学園へと向かうことにしました。
なんでも、あの混沌の帝国のスカウトマンがこの辺りをうろついていて、
子供たちを言葉巧みに誘っていくそうです。
すでにいくらかの子供たちがスカウトマンに誘われて、
混沌の帝国に入って行ったので、スピネルのキーパー協会や、警察が警戒に当たっているわけです。
そんな中、晴れ渡る緑豊かな公園の中で、
顔が見えないほど目深にフードをかぶった怪しい男が、遊んでいた子供たちに近づき、声をかけていました。
「君たち、混沌の帝国に入らないか?」
「混沌の帝国って何?」
「混沌の帝国は何でも自由な国さ。君たちは学校に通っているそうだけど、
ルールだらけの学校なんて、退屈でつまらないだろう?
でも、混沌の帝国は違うぞ!ルールに縛られることもなく、何でも自由なんだ」
それを聞いた子供たちはこう言いました。
「そういえば、学校なんて勉強ばかりだし、起きたくもない時間に起こされたり、なんだか嫌だな・・・」
「そうだろう?でも混沌の帝国なら、勉強もしなくていいし、
起きたいときに起きれるぞ」怪しい男がこう話していると、どこからか女性の声が聞こえてきました。
「こらーっ!何やっているの!」その声に怪しい男はハッとし、声のした方を見ました。
「ゲッ!前にオレを全治一か月にした女だ!逃げろ!」
怪しい男が一目散に逃げ出すと、そこにテイルがやって来て言いました。
「まったく!あんな所に自由なんてないんだから!」子供はテイルを見て言います。
「テイル姉ちゃん、あいつは何だったの?」
「あいつは混沌の帝国のスカウトマンよ、悪いやつらの集まりだから、誘いに乗っちゃだめよ!」
スピネル王都の商店エリアで、シェリーは便利屋に頼まれていた食料品の買い出しで、
店を出たところで右目に黒い眼帯を付けた男と肩までの長髪の男二人がシェリーに言い寄ってきました。
「へぇ、君ってかわいいね」
「よかったらぼくたちとお茶でもどう?」これにシェリーは顔を引きつらせながら言いました。
「あの・・・ちょっと・・・急いでいますので・・・!」シェリーはその場を去ろうとすると、
ナンパ男二人はシェリーの行く手をさえぎるように移動してさらに言い寄ります。
「つれないなぁ」
「ちょっとだけでいいからさぁ」シェリーは困り果ててオロオロしていると、
ナンパ男たちの背後から別の女性の声がしました。
「ちょっと!そこで何をしているの!?」その声にナンパ男たちはハッとします。
「ギクッ!この声は・・・!」もう一人の長髪の男は振り向いて顔を青ざめます。
「やっぱりテイルだ!逃げろっ!」ナンパ男たちは尻尾を巻いて逃げていくと、
間もなくシェリーの前にテイルとカインのバディが現れました。
「あら、シェリーじゃない、ケガはないかしら?」テイルはシェリーを気遣います。
「・・・わたくしは大丈夫ですわ・・・ありがとうございました」
シェリーはテイルに礼を言って、その場を後にしました。
「あいつら、きっとジャスパー学園の理事長の息子アスモの子分たちね、
アスモのやつ、気に入った女の子たちを連れまわして遊び放題って話よ」
テイルが不愉快そうに言うと、カインが言いました。
「そのアスモってやつ、最近、ガラの悪い連中とつるんでいて、
自分の権力にものを言わせて、混沌の帝国に人を勧誘しているって話だよ」
「まぁ、帝国のオコボレにあずかるつもりかしら!?」
シェリーが便利屋に帰ってくると、エルニスとボブが気遣います。
「おかえりシェリー、遅かったね」
「最近、よくないうわさが立っているから、迎えに行くところだったぞ」
「ええ、店を出たところで、ナンパ男たちに絡まれましたが、テイルさんに助けてもらいましたわ」
「そうか・・・最近、そのような事件が多いね・・・」エルニスは不安そうに言うと、キャンベルがこういいます。
「そうですね、わたしたちが通っているジャスパー学園でも、
きな臭いウワサが立っていますよ。学園の初等部に通っている子供が何人も家に帰っていないとか、
帝国に入ったものは恋人を獲得できるって話までありますよ・・・!」
それを聞いたエルニスとボブはハッとします。
「そういえば、よく遊ぶ初等部の後輩タケ君も昨日から帰っていないって言っていたなぁ・・・!」
「なんだよ、その恋人を獲得できるってのは・・・!?
エルニスたちが通う学園にも帝国の魔の手が迫っているんだな・・・!」
「ウワサでは、理事長の息子であるアスモが大きく絡んでいると言われています。
この前だってアスモと思われし者がシェリーさんのお風呂を覗きましたからね・・・!
あの時は、シェリーさんが悲鳴を上げたので、犯人は逃げましたけど・・・!」これにボブは歯噛みします。
「それでおれとエルニスは外に飛び出して犯人をとっ捕まえようとしたが・・・!逃げ足の速い奴だぜ・・・!」
「そのアスモってやつ、本当に遊び放題なんだね・・・!
よし、夜の学園に行って、真相を暴いてみよう!
親御さんからも行方不明になった子供たちを探してほしいって依頼が何件も来ているし・・・!」
こうして四人は夜のジャスパー学園へと向かうことにしました。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
わたしは幽霊アパートの管理人!
緒方あきら
児童書・童話
わたし、山岸彩奈は小学六年生!
大好きな従兄のケイスケお兄ちゃんとの6年前の約束を今でも待っている。
それはなんと幽霊がすむアパートで、幽霊の『旅立ち』をお手伝いすること!
幽霊アパートには個性的な幽霊がそろってる。
おぼうさんの無明さんに、お酒大好きなゲンさん。
ちょっと暗いけどやさしいネクさんに、元占い師のお姉さん、水谷さん。
そしてわたしと同い年の少女、アカリちゃん。
おばあちゃんが始めたこのアパートで、わたしはお手伝いをする。
そこに神社の子どものハルト君も加わって、わたしの日々はとっても充実していた!
だけど『旅立ち』させてあげるということは、お別れするということ――。
さみしい気もちをかかえつつも、みんなの『旅立ち』のためにお仕事をつづけていた。
でもネクさんは悪霊――悪い幽霊になってしまっておはらいされてしまう。
そんなとき、わたしはゲンさんが『旅立ち』するための条件だったお酒をお兄ちゃんからわたされる。わたしが幽霊アパートの管理人としての一歩をふみ出すために。
ゲンさんを見おくって、水谷さんも『旅立ち』していって。
のこったアカリちゃんはわたしとともにわたしの通う小学校にいく。
アカリちゃんやハルト君と見た屋上のけしきはとてもきれい。
そのすばらしいけしきの中で、アカリちゃんは今度は中学生になるとちかって『旅立ち』していく。
幽霊がだれもいなくなったアパート。
新しい幽霊さんをおむかえする準備をしていたら、なんとお兄ちゃんがたおれてしまう!
しかも体からは悪い幽霊が出す黒いけむりが……。
お兄ちゃんが幽霊だったなんて!
わたしはおばあちゃんとハルト君と力をあわせて、お兄ちゃんを救うことに成功する。
そうして――。
わたしたちは今日もまた、新しい幽霊さんをお迎えする。
「ようこそ、幽霊アパートへ!」
ルビーの帰る場所[完結]
シンシン
児童書・童話
1話がとても短いです。
ちょっとした時間や暇つぶしにお読みください^_^
内容:
ただ、帰りたい。
しかし、どこに帰ればいいのかわからない少女の「ルビー」は1つの所に留まる。
そして、迷いや悩みをどうしていったのだろうか。
あいつは悪魔王子!~悪魔王子召喚!?追いかけ鬼をやっつけろ!~
とらんぽりんまる
児童書・童話
【第15回絵本・児童書大賞、奨励賞受賞】ありがとうございました!
主人公の光は、小学校五年生の女の子。
光は魔術や不思議な事が大好きで友達と魔術クラブを作って活動していたが、ある日メンバーの三人がクラブをやめると言い出した。
その日はちょうど、召喚魔法をするのに一番の日だったのに!
一人で裏山に登り、光は召喚魔法を発動!
でも、なんにも出て来ない……その時、子ども達の間で噂になってる『追いかけ鬼』に襲われた!
それを助けてくれたのは、まさかの悪魔王子!?
人間界へ遊びに来たという悪魔王子は、人間のフリをして光の家から小学校へ!?
追いかけ鬼に命を狙われた光はどうなる!?
※稚拙ながら挿絵あり〼
花束は咲良先生に(保育士)
未来教育花恋堂
児童書・童話
新米保育士の奮闘記です。子ども理解を大切にし、先輩保育士と対立しながらも子どもの成長を願って自分なりの考えを確立していきます。恋の行方が気になる内容となっています。
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐@書籍発売中
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる