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セフレ編

なんでもやり過ぎは良くないって学校の先生に教わったでしょーが!

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閲覧ありがとうございます!
ゆるゆる更新になりますが、今後もよろしくお願いします。
後半、縛るプレイが出ます。注意。

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「あっつう・・・・・・」

 俺、野々村タケルは今日も今日とて働く。大雨だろうが大雪だろうが竜巻が起ころうが・・・・・・、銀行が必要とされる限り、俺は出勤せねばならない。

 そんでもって今日の天気は朝から茹だるような真夏日。

「い、い、いってらっしゃい。今週もありがとう、タケルくん」

 俺はその声に気だるさマックスで振り返った。

 たとえばこれが新婚で、俺を送り出してくれたのがめちゃくちゃセクシーでキュートは奥さんだったら、少しは暑さもマシになるってもんだ。

 だが現実は春太郎。

 出勤前にむさ苦しいヘアスタイルのおっさんを見たって、殺人級の暑さに耐えうるパワーなど出やしない。

「じゃ、また来週くる。・・・・・・あ、だめだ、来週は接待が入ってるから・・・・・・あー、また連絡する」

 っていっても、無理だった。

 春太郎はスマホを持っていない、今どき珍しい原始人だったわ。

「どうすっかなぁ」

 こうゆうときは一緒に住んで・・・・・・。

 ちがう、ちがう。やばい。ちがう、ちがう!!

 衝撃的な出逢いを経てセフレを始め一ヶ月が過ぎ、春太郎との今後の可能性を自覚した革命的な日の翌朝。

 一晩中、自問自答を行い、「イエス オア ノー」の答えを花占いのごとく繰り返した。おかげで俺は寝不足、万歳、ありがとうございまーす。絶不調な体調を抱え、眩暈のしそうな数字の羅列と格闘しに向かうのだ。

「・・・・・・はぁ、とりあえず同じ曜日に。いつもの時間に俺が来なかったら、接待だってことで頼みますね」
「う、うん、了解」
「じゃ」

 俺はおざなりに手を振るとネクタイをキュッと締め、春太郎の家を出て会社にむかった。

 銀行員たるもの、お客さまに与える第一印象は大切。その印象は「信用」に足るものでなければならない。クールビズはもってのほか、春夏秋冬ネクタイとジャケットのフル装備で清潔感を保つのはなかなかにしんどい。

「くすん、アイス食べたい」

 ぽろりと本音が漏れた。
 
 年を追うごとに夏バテの時期には食が細くなり、なんだかんだ社会に揉まれるストレスだろう(歳だからとは思いたくない)、俺の胃は今、ひんやりサラサラしたものしか受け付けない。

 あーいいな、春太郎は。

 自由で。

 何モノにも縛られずに生きていて。

 春太郎は。

 ・・・・・・春太郎は。

 いけない、またおっさんのことを考えていた。

 ちらりと前を向くと、駅の反対ホームの広告が新商品のアイスのポスターに変わっている。

 広告の中ではまさに俺の願望を反映したような、フレッシュな若手女優がフレッシュなソーダ味のアイスバーをかじって、満面の笑みを見せていた。

 男なら一度はチラ見し、鼻の下を伸ばすであろうところ、俺は目頭をグッと押さえた。

 熱中症ですか?  医務室に行きますか? と声をかけてくれた駅員をやんわり断り、ベンチに腰掛け神を仰いだ。

 いよいよもって俺は、昇天するのかもしれない。

 駅中でアイスバーを舐めているポスターを見かければ、春太郎が俺の『俺』を舐めているさまをナチュラルに思い浮かべ、バナナが売られているのを見かければ、簡易的なバナナのイラストにさえ、春太郎のもっこり股間を思い出す。俺の脳は着実に春太郎菌で侵されてきている。

 前方に見えるめちゃかわな新人女優の顔も霞み、彼女の顔に春太郎のエンジェルフェイスが重なった。

 本当ずるいのよ、あの顔は。

 そして何よりは、俺たちの身体の相性が良すぎること。

 セックスのたびに俺は春太郎にメロメロにされてゆく。

 春太郎はどうだろうか。

 俺は満足させられているのだろうか。

 眠ってても女をイカせられた俺が、テクニックの技量で悩む日がくるとは。恐れがたし、春太郎よ。

「うーん、・・・・・・SMね」

 これまでやったプレイと言えば、簡単なところから言葉責め・・・・・・だけ・・・・・・じゃん?!

 春太郎が何も文句を言わないから、いつも普通にセックスして終わりだった。これじゃ満足の「ま」の字も思ってもらえるわけがない。

 それからというもの、俺はありとあらゆる手段を駆使して「SMプレイ」について調べ上げた。完璧な予習と、小道具をたずさえ、翌翌週の訪問日を迎えていた(やはり来週は接待の日だったのだ)。
 
 しかしだ。
 
 二週間がっつり学んだ俺の努力は悪い方向へ逸れてゆく。
 
「・・・・・・あのさ、気持ちよくないの?」
「んう、ア、アッ・・・・・・そんなことないよ」 
 
 と言うが、そんなことありそうだぞ。
 
 春太郎の状況を説明すると、銀行強盗犯にされたように手足を縛ってやり、うつ伏せに押さえつけた状態で、尻にドでかいバイブを飲み込んでいる。
 
 俺が直接アダルトショップに見に行き、手に取って、吟味に吟味を重ねた逸品だ。大きさと長さは申し分なく、だが俺自身のそれのサイズを絶妙に越さぬもの(おとこのプライドだ、察しろ)。その代わり、機械の利点を最大限に活かした振動と凹凸が魅力。本物のイチモツにはできぬ動きをダイナミックに、かつ疲れを知らぬ機械は無限の体力で攻めた・・・・・・うんたらかんたら・・・・・・なのだが。
 
 縄もこれまた一級品で・・・・・・うんたら以下同文。
 
 それなのに春太郎の反応がいまひとつ。
 
 これまでの統計では、俺の顔を見るまえから期待でとろとろのビンビンだったんだぞ。今日はわざわざ事前に風呂に入っておけと手紙を郵送し、準備万端で臨んだ。靴を脱ぐのも惜しんで、玄関から襲いかかってやったのにも関わらず、春太郎は一度もイッていない。
 
 おかしいぞ。・・・・・・ははーんわかった。春太郎のくせに演技がうまいじゃないか。感じていないふりだな?
 
 よしよし、今日は無理やりプレイがお望みか。ならばお望みどうり、続けてやろう。
 
「おいっ、もっと声出せよ。ドMの変態がッ!」

 俺はレイプ魔になりきった。
 
「痛くされて感じてんだろ?」

 そう言いながらバイブの強弱を一気に最大にあげると、春太郎の身体は驚いた猫なみに「びっくうッ」と跳ね、腰をよじる。
 
「や・・・・・・ひい、し、死んじゃ・・・・・・くるし」
 
 春太郎はハァハァと胸を上下させ、金魚のように口を大きく開けて喘いだ。
 
 目からは涙がぼろぼろと溢れ、「やめて、やめて」と微かな声で懇願する。
 
「はっ、やめてなんて言っちゃって、嘘つかなくていいから」
 
 うなじの汗を舐めとり、バイブをぐちゅぐちゅと押し込む。「あが」と聞いたことのないような低い声で春太郎が悲鳴を上げたが、俺は続けた。
 
「・・・・・・う、う、ングググッ」
 
 春太郎は歯を食いしばる。
 
「は、案外、プレイ中の設定にのめり込むタイプなんだ? ほらイッていいよ?」
 
 俺は調子に乗る。だって、見たところ感じていないわけでもなさそうなのだ。
 
 何故なら、春太郎の性器はがっつり勃起している。先っぽも涎が垂れて、糸を引いていた。先走りを指で掬い上げ、ペニスをしごきながら尿道を弄ってやると、そらみろ、悲鳴は嬌声に変わった。
 
「んやあっ、やあっ・・・・・・!」
「イけ、イッていい」
 
 囁きと同時に腰が震え、トクトクと手のひらに白濁が吐き出される。
 
 これがようやく一回めの射精だった。
 
 誰でも調子が悪いときはある。だが一度イけば、このあとはグズグズだろう。俺は春太郎の腰を上げさせ、バイブの持ち手を引く。ずるずるとゆっくりと抜き取った最後に、窄まりが名残惜しそうにヒクンと吸い付き、堪らず興奮が昂ぶった。間髪入れずに自身の怒張をあてがい、ぶち込んでやる。

「んあ・・・・・・あ、ひもひ・・・・・・ひ」
 
 すると良い傾向だ、呂律が回らなくなってきた。

「んく、ん、ああ———」
 
 バイブの時とは違い、春太郎はトロンと甘く喘ぐ。
 
 縛られ、ゆさゆさとゆすられ、二度めの絶頂は早かった。

 ぴゅっと水みたいな精液を吐き、春太郎が俺に自ら尻を押し付ける。春太郎がみせる甘える動きだ。性器を引き抜き、足の拘束を解いた。身体を仰向けにさせ、脚を開かせるとふたたび春太郎の淫穴に己れをねじ込む。

 腰に春太郎の足が絡みつき、うっとりとした視線に、熱く包まれた自身が「ギュン!」と増大した。
 
 ———くそやばいくらいに気持ちいい。 
 
 けれども、これだといつもとおんなじだ。
 
 もや・・・・・・と、腑に落ちない感じが胸にわだかまる。
 
「タケル・・・・・・く、ア、動いてえ」
「ん、ああ」
 
 縛った手は頭上でまとめられ、囚われたような姿の春太郎に俺は意識を戻した。まあ、いいか。きゅんきゅんとナカがうねり、すでに腰が持っていかれそうだ。
 
 今は難しいことを考えたくない・・・・・・。
 
 俺は春太郎とのセックスに頭と身体を溺れさせた。
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