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二美(ふみ)と一子(いちごちゃん)
いちごちゃんの子分?二美。
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週末の夕方。雌鹿女子高等商業、通称「メス高」の3年である一子は、クラスメートの二美と二人で、リュウの住む街へやってきた。
リュウたち三人は、居酒屋白木家に入った。当時ポピュラーだった居酒屋チェーンの一つである。リュウは生ビール、いちごちゃんと二美はカシスをオーダーした*。
* 未成年者の飲酒は法律で固く禁じられている。それは当時も変わらないが、社会が未成年者の飲酒に対して緩く、当時の慣習そのままに記述を進める。
二人は居酒屋等でアルコールを飲むこと自体は初めてではないようだが、強いというわけでもないようで、カシスをちびちびと飲んでいる。
1年の頃はサラサラのおかっぱっぽい髪型だったいちごちゃんだったが、髪は伸びイケた感じのヘアスタイルになっている。着ている服も黒っぽいトーンで決めていて、子どもっぽかった面影はかなり消えていて、かなり大人っぽくなった印象である。細目で、笑うと可愛らしいのは以前と変わらない。
いちごちゃんのクラスメート二美はというと。実に普通である。全体に黒っぽい服でまとめていて、胸が少し開いていて谷間を少しだけ見せている。身長はいちごちゃんよりも高め、胸はCよりのBくらいである。体型は、太っても痩せてもいないが、強いていえば少しポチャ気味である。
二人とも黒系統で大人っぽくキメているのは、居酒屋で飲むとリュウから聞いていたからだろうか。二美が胸を少しだけ出しているのも、大人っぽくするためなのだろうとリュウは思った。このことは、後に違うとわかるのだが。
明るくあっけらかんとしていて一種の勇気があるいちごちゃんと異なり、二美はとても大人しい。いちごちゃんに、前に遊んだことのある男と今度は三人で遊ぼう、と引っ張られてついてきた感じである。
二美はリュウに気に入られようとしているようで、料理を取り分けてくれたり、リュウがグラスを開けて視線を走らせるとサッとメニューを差し出してくれたり、リュウがメニューから顔を上げると振り返って店員さんに手を上げてくれたり、色々とリュウに気を使う。
いちごちゃんがよく喋るので、二美はあまりしゃべらない。ずっとリュウをガン見している。
どうもいちごちゃんは、三人で楽しく遊ぶというよりも、二美にリュウをあてがおうとしている様子である。勇気があり伝言ダイヤルに電話をかけ社会人のヤンキー男と付き合っていたいちごちゃんと異なり、二美にはそんなところに電話をかけて見知らぬ男と会ったりなどという振る舞いはとてもできないらしい。いちごちゃんが前に遊んだことがある男を紹介するということで、興味しんしんでいちごちゃんについてきたようだ。
居酒屋には3時間近くいて、店を出ると9時を少し回ったところだった。当初二人は、リュウのワンルームマンションに泊めてもらって翌日帰る、と言っていた。が結局いちごちゃんは、やっぱり自分は今日は帰ることにする、と言い出した。
「今月、外泊3回目だからさ。そろそろ親になんか言われそうだし、やっぱり私だけ先に帰るわ。」
「二美は予定通り泊めてもらいなよ。」二美に言って、いちごちゃんはリュウを見た。
「二美ちゃん。遠慮しなくていいからね。ウチは一人暮らしだから」リュウはいちごちゃんのプレッシャーを感じつつ、同調するように言った。
「…ウン。」二美は上目遣いに、口角を上げてリュウに答えた。
二人は駅でいちごちゃんを見送ると、リュウの住むワンルームマンションへと歩き出した。
リュウたち三人は、居酒屋白木家に入った。当時ポピュラーだった居酒屋チェーンの一つである。リュウは生ビール、いちごちゃんと二美はカシスをオーダーした*。
* 未成年者の飲酒は法律で固く禁じられている。それは当時も変わらないが、社会が未成年者の飲酒に対して緩く、当時の慣習そのままに記述を進める。
二人は居酒屋等でアルコールを飲むこと自体は初めてではないようだが、強いというわけでもないようで、カシスをちびちびと飲んでいる。
1年の頃はサラサラのおかっぱっぽい髪型だったいちごちゃんだったが、髪は伸びイケた感じのヘアスタイルになっている。着ている服も黒っぽいトーンで決めていて、子どもっぽかった面影はかなり消えていて、かなり大人っぽくなった印象である。細目で、笑うと可愛らしいのは以前と変わらない。
いちごちゃんのクラスメート二美はというと。実に普通である。全体に黒っぽい服でまとめていて、胸が少し開いていて谷間を少しだけ見せている。身長はいちごちゃんよりも高め、胸はCよりのBくらいである。体型は、太っても痩せてもいないが、強いていえば少しポチャ気味である。
二人とも黒系統で大人っぽくキメているのは、居酒屋で飲むとリュウから聞いていたからだろうか。二美が胸を少しだけ出しているのも、大人っぽくするためなのだろうとリュウは思った。このことは、後に違うとわかるのだが。
明るくあっけらかんとしていて一種の勇気があるいちごちゃんと異なり、二美はとても大人しい。いちごちゃんに、前に遊んだことのある男と今度は三人で遊ぼう、と引っ張られてついてきた感じである。
二美はリュウに気に入られようとしているようで、料理を取り分けてくれたり、リュウがグラスを開けて視線を走らせるとサッとメニューを差し出してくれたり、リュウがメニューから顔を上げると振り返って店員さんに手を上げてくれたり、色々とリュウに気を使う。
いちごちゃんがよく喋るので、二美はあまりしゃべらない。ずっとリュウをガン見している。
どうもいちごちゃんは、三人で楽しく遊ぶというよりも、二美にリュウをあてがおうとしている様子である。勇気があり伝言ダイヤルに電話をかけ社会人のヤンキー男と付き合っていたいちごちゃんと異なり、二美にはそんなところに電話をかけて見知らぬ男と会ったりなどという振る舞いはとてもできないらしい。いちごちゃんが前に遊んだことがある男を紹介するということで、興味しんしんでいちごちゃんについてきたようだ。
居酒屋には3時間近くいて、店を出ると9時を少し回ったところだった。当初二人は、リュウのワンルームマンションに泊めてもらって翌日帰る、と言っていた。が結局いちごちゃんは、やっぱり自分は今日は帰ることにする、と言い出した。
「今月、外泊3回目だからさ。そろそろ親になんか言われそうだし、やっぱり私だけ先に帰るわ。」
「二美は予定通り泊めてもらいなよ。」二美に言って、いちごちゃんはリュウを見た。
「二美ちゃん。遠慮しなくていいからね。ウチは一人暮らしだから」リュウはいちごちゃんのプレッシャーを感じつつ、同調するように言った。
「…ウン。」二美は上目遣いに、口角を上げてリュウに答えた。
二人は駅でいちごちゃんを見送ると、リュウの住むワンルームマンションへと歩き出した。
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