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逃がさない
第一話
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※ストーカーの話です。
無理矢理(強姦)の表現がありますので、苦手な方は閲覧をお控え下さい。
……最近、誰かにつけられている気がする。
始めは、ただの自意識過剰だと思っていた。
だが、着かず離れずの距離で聞こえてくる足音が気になって仕方がない。
男の俺を好き好んで追いかけてくるヤツがいるとは思えないが、毎日それが続くとなんだか気味が悪くなってくる。
去年から始めた居酒屋のバイトは、大体深夜に終わる。
バイト先から俺が住んでいる学生用のアパートまでは、徒歩10分とそんなに遠くはないが、仲のいいバイト仲間はみんな違う方向に住んでいて、帰りはいつも一人だ。
無意識のうちに足早になってアパートの階段を上り、鍵を開け部屋に入る。
直ぐに鍵を閉め、チェーンをかけるとほっとして力が抜けた。
(本当に何やってんだか……)
いらない神経を費やして、周りを警戒して疲れるなんて自分でも何をやっているのかわからない。
別に実害があったわけじゃなく、だだの気のせいかもしれないのに……。
「……っ!?」
ポケットに入れていたスマホから軽快な音楽が流れ出し、ビクッとする。
メールが一件入っていて受信ボックスを開けると、知らないアドレスからだった。
(迷惑メールか?)
タイトルは何も書かれていない。
何気なく中身を見た俺は、思わずスマホを落としかけた。
「何、コレ……」
『お帰り、美咲。今日の君も見惚れるくらい可愛かったよ』
こんなメールを出してくる知り合いなんて思い浮かばない。
万が一、悪友の悪戯だとしてもタチが悪い。
だが知り合いじゃないとすると、一体誰だ?
俺はふと、いつも俺の後をつけてくる足音のことを思い出した。
まさか……?
背筋がぞっとした。
アパートに帰った瞬間、送られてきたメール。
俺の行動を見ていたとしか思えないタイミングだ。
気持ちが悪くなってメールを削除しようとした俺は、添付ファイルが付いていることに気付いた。
一瞬、開くかそのまま削除するか悩んだが、結局中身が気になり開いた。
画面一杯に表示されたのは、俺の写真だった。
バイト先の居酒屋の制服を着た俺が、片手にビールを持っている所だった。
隠し撮りなのか、俺の目線はカメラから逸れている。
こんな写真を撮れるのは店の客に間違いないだろうが、撮られたことに全く気づかなかった。
しかも今日は金曜日で客も多く、一人一人の顔なんて覚えていない。
誰が怪しいなんて、見当もつかない。
何よりも俺を不安にさせたのは、俺のバイト先にまで現れるようなヤツが俺のアドレスまで知っていることだ。
俺自身はソイツのことを何一つわからないのに、自分のことだけ相手に知られている恐怖。
……俺は、これ以上考えたくなくて、証拠を消すようにメールを削除した。
無理矢理(強姦)の表現がありますので、苦手な方は閲覧をお控え下さい。
……最近、誰かにつけられている気がする。
始めは、ただの自意識過剰だと思っていた。
だが、着かず離れずの距離で聞こえてくる足音が気になって仕方がない。
男の俺を好き好んで追いかけてくるヤツがいるとは思えないが、毎日それが続くとなんだか気味が悪くなってくる。
去年から始めた居酒屋のバイトは、大体深夜に終わる。
バイト先から俺が住んでいる学生用のアパートまでは、徒歩10分とそんなに遠くはないが、仲のいいバイト仲間はみんな違う方向に住んでいて、帰りはいつも一人だ。
無意識のうちに足早になってアパートの階段を上り、鍵を開け部屋に入る。
直ぐに鍵を閉め、チェーンをかけるとほっとして力が抜けた。
(本当に何やってんだか……)
いらない神経を費やして、周りを警戒して疲れるなんて自分でも何をやっているのかわからない。
別に実害があったわけじゃなく、だだの気のせいかもしれないのに……。
「……っ!?」
ポケットに入れていたスマホから軽快な音楽が流れ出し、ビクッとする。
メールが一件入っていて受信ボックスを開けると、知らないアドレスからだった。
(迷惑メールか?)
タイトルは何も書かれていない。
何気なく中身を見た俺は、思わずスマホを落としかけた。
「何、コレ……」
『お帰り、美咲。今日の君も見惚れるくらい可愛かったよ』
こんなメールを出してくる知り合いなんて思い浮かばない。
万が一、悪友の悪戯だとしてもタチが悪い。
だが知り合いじゃないとすると、一体誰だ?
俺はふと、いつも俺の後をつけてくる足音のことを思い出した。
まさか……?
背筋がぞっとした。
アパートに帰った瞬間、送られてきたメール。
俺の行動を見ていたとしか思えないタイミングだ。
気持ちが悪くなってメールを削除しようとした俺は、添付ファイルが付いていることに気付いた。
一瞬、開くかそのまま削除するか悩んだが、結局中身が気になり開いた。
画面一杯に表示されたのは、俺の写真だった。
バイト先の居酒屋の制服を着た俺が、片手にビールを持っている所だった。
隠し撮りなのか、俺の目線はカメラから逸れている。
こんな写真を撮れるのは店の客に間違いないだろうが、撮られたことに全く気づかなかった。
しかも今日は金曜日で客も多く、一人一人の顔なんて覚えていない。
誰が怪しいなんて、見当もつかない。
何よりも俺を不安にさせたのは、俺のバイト先にまで現れるようなヤツが俺のアドレスまで知っていることだ。
俺自身はソイツのことを何一つわからないのに、自分のことだけ相手に知られている恐怖。
……俺は、これ以上考えたくなくて、証拠を消すようにメールを削除した。
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