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第4章 白野先輩とふたりっきり!
第25話
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わたし、黒江くんに甘えてるのかなあ? それじゃあイケないんだろうけど……。
そして、一分も経たないうちに白野先輩がやってきた。
「赤木さん、お待たせ!」
「あっ、いえ……」
「赤木さんの家はどの辺?」
「東地区の二丁目です」
「そう。じゃあ……行こうか」
歩きはじめる白野先輩。わたしは「はい!」とドギマギしながら駆け出して、白野先輩の横まで行った。
すると、ごく自然に、白野先輩は車道側に立って。
あっ、黒江くんと同じだ……。ふたりともイケメンなだけじゃなくて、女の子にやさしいなあ。
いやいや、ここで黒江くんを思いうかべるのはおかしいよね。ふたりを比較しようとするのはよくないよ。
黒江くんと出会うまで、男の子とふたりきりで歩くなんていう経験がなかったし、最近のわたしはガラリと状況が変わって、感覚がおかしくなっちゃってるんだ。
気がつけば、無言が続いていた。
どうしよう? なにか話題を……と、必死に会話の糸口を探していたら、白野先輩が先に口を開いた。
「赤木さんは、おとなしいんだね」
「は、はい……。すみません……」
なんて返していいかわからず、つい謝ったら、白野先輩は笑った。
「謝らなくていいってば。いや、おとなしいのは悪いことじゃないよ。ただ……僕に話しかけてくれる女子って、テンション高い子が多いから新鮮だな……と思ってね」
「ああ……白野先輩は人気ありますから……」
「人気……。僕が……? そんなことないけどな」
それは謙遜しすぎです!
「白野先輩は女子にすっごく人気ありますよ! 憧れている子、たくさんいますから!」
思わずムキになってしまうわたし。
「あはは。ありがと」
そのとき、対面から車がやってきた。道が狭いこともあり、白野先輩はぐっと身体をわたしのほうへ寄せて。
ドキッとして、思わず横を見た。白野先輩は小柄だけど、わたしのほうがずっと小さいから、見上げる形になる。
車のヘッドライトに照らされた白野先輩の横顔――。
眩しそうに目を細めつつ、にこやかな笑みをうかべていて……。だけどやっぱり、悲しみが感じられて、どうしようもなく胸の奥が締めつけられるような気持ちになる。
車が通り過ぎたあと、わたしは思わずたずねていた。
「白野先輩……。なにか悩んでいることはありませんか?」
「…………」
白野先輩は答えに困ってしまったようだ。
そりゃそうだよね。いきなりこんなこときかれても……。だけど「笑顔から悲しみが感じられる」というニュアンスを遠回しに伝えようと思ったら、これしかなかった。
「どうして、そんなこと……?」
「あっ、すみません! ただ……なんとなく……悩んでいるように思えたものですから……」
「悩み……かあ。悩みかどうかはわからないけど……」
ふふっと笑って、白野先輩は切り出した。
「運命の人に会いたいなって思うよ」
「運命の人……ですか?」
「ほら、女の人がよく言うでしょ。白馬にのった王子さまが迎えにきてくれるはずだって……。僕も同じように、運命の女の子と出会えるはずだって……そんな気がしているんだよね」
いいなあ。ロマンチック!
「今までに女の子と付き合ったことあるけど、運命は感じなくてね。結局、すぐ別れちゃうんだ。それが悩みといえば悩み……かな」
ああ、噂は本当だったんだ……と思った。
白野先輩が校内のかわいい女子と付き合っては、別れて……をくり返していたのは、なんとなく噂で知っていた。
遠藤くんが「実は裏表がある」と言ったのは、その噂を指してのことなんじゃないかと思う。
噂を悪く受け取って、「飽きっぽい人」と評する女子もいたけれど、わたしにとっては、あまりに遠い世界のことであり、白野先輩くらいイケメンであれば、そういうこともあるだろうとしか思っていなかった。
「それって、理想が高いってことですか?」
言ってしまってから、ハッとした。
すっごく失礼なことを口走ってしまった気がする。でも、一度出た言葉は取り消せない。
「ご、ごめんなさい! なんだか失礼なことを……」
あわてて平謝り。白野先輩はふふっと笑って。
「いや、失礼なんかじゃないよ。理想が高い……。そうかもしれないな……って思ってね。運命の人を追い求めるってことは、つまり理想を追い求めるってことだろうしね」
白野先輩の運命の人って、どんな人だろう? きっと素敵な女の子だよね。白野先輩の理想にかなうような……。かわいくて、スタイルよくて、明るくて、ハキハキと自分の考えも言えるような……。
自分にはない要素ばかりが思いうかぶ。
「悩みといえば、もう一つあってね」
「えっ?」
「この顔だよ」
ええっ! 白野先輩が顔で悩んでるって、一体なぜ……?
「僕の顔って、いつも笑ってるでしょ?」
ドキリとした。わたしが知りたかったことを、白野先輩に言い当てられた気がしたから。
「……はい。素敵だと思いますけど……」
「ありがとう。でもね、これはこれでつらいんだよ」
どうしてだろう? 黒江くんなんて、「なにか怒ってる?」ってききたくなるほどクールな表情ばかり。最近は表情をゆるめることも増えたけど、ほほ笑んだり、クスッとする程度。ハッキリと笑った表情って見たことない気がする。
あ……わたし、また黒江くんのこと思いうかべてる!
気を取り直して、わたしは白野先輩にたずねた。
「あの……つらいって……?」
「うん。なんて言ったらいいかな。いつもニコニコしてるから、やさしくてイイ人に思われるっていうか……。『なに考えてるかわからない』って言われたこともあるよ。僕だって怒ったりすることはあるんだ。でも、顔に出ないんだよね」
ああ、それは確かに、つらいかもしれない。
そして、一分も経たないうちに白野先輩がやってきた。
「赤木さん、お待たせ!」
「あっ、いえ……」
「赤木さんの家はどの辺?」
「東地区の二丁目です」
「そう。じゃあ……行こうか」
歩きはじめる白野先輩。わたしは「はい!」とドギマギしながら駆け出して、白野先輩の横まで行った。
すると、ごく自然に、白野先輩は車道側に立って。
あっ、黒江くんと同じだ……。ふたりともイケメンなだけじゃなくて、女の子にやさしいなあ。
いやいや、ここで黒江くんを思いうかべるのはおかしいよね。ふたりを比較しようとするのはよくないよ。
黒江くんと出会うまで、男の子とふたりきりで歩くなんていう経験がなかったし、最近のわたしはガラリと状況が変わって、感覚がおかしくなっちゃってるんだ。
気がつけば、無言が続いていた。
どうしよう? なにか話題を……と、必死に会話の糸口を探していたら、白野先輩が先に口を開いた。
「赤木さんは、おとなしいんだね」
「は、はい……。すみません……」
なんて返していいかわからず、つい謝ったら、白野先輩は笑った。
「謝らなくていいってば。いや、おとなしいのは悪いことじゃないよ。ただ……僕に話しかけてくれる女子って、テンション高い子が多いから新鮮だな……と思ってね」
「ああ……白野先輩は人気ありますから……」
「人気……。僕が……? そんなことないけどな」
それは謙遜しすぎです!
「白野先輩は女子にすっごく人気ありますよ! 憧れている子、たくさんいますから!」
思わずムキになってしまうわたし。
「あはは。ありがと」
そのとき、対面から車がやってきた。道が狭いこともあり、白野先輩はぐっと身体をわたしのほうへ寄せて。
ドキッとして、思わず横を見た。白野先輩は小柄だけど、わたしのほうがずっと小さいから、見上げる形になる。
車のヘッドライトに照らされた白野先輩の横顔――。
眩しそうに目を細めつつ、にこやかな笑みをうかべていて……。だけどやっぱり、悲しみが感じられて、どうしようもなく胸の奥が締めつけられるような気持ちになる。
車が通り過ぎたあと、わたしは思わずたずねていた。
「白野先輩……。なにか悩んでいることはありませんか?」
「…………」
白野先輩は答えに困ってしまったようだ。
そりゃそうだよね。いきなりこんなこときかれても……。だけど「笑顔から悲しみが感じられる」というニュアンスを遠回しに伝えようと思ったら、これしかなかった。
「どうして、そんなこと……?」
「あっ、すみません! ただ……なんとなく……悩んでいるように思えたものですから……」
「悩み……かあ。悩みかどうかはわからないけど……」
ふふっと笑って、白野先輩は切り出した。
「運命の人に会いたいなって思うよ」
「運命の人……ですか?」
「ほら、女の人がよく言うでしょ。白馬にのった王子さまが迎えにきてくれるはずだって……。僕も同じように、運命の女の子と出会えるはずだって……そんな気がしているんだよね」
いいなあ。ロマンチック!
「今までに女の子と付き合ったことあるけど、運命は感じなくてね。結局、すぐ別れちゃうんだ。それが悩みといえば悩み……かな」
ああ、噂は本当だったんだ……と思った。
白野先輩が校内のかわいい女子と付き合っては、別れて……をくり返していたのは、なんとなく噂で知っていた。
遠藤くんが「実は裏表がある」と言ったのは、その噂を指してのことなんじゃないかと思う。
噂を悪く受け取って、「飽きっぽい人」と評する女子もいたけれど、わたしにとっては、あまりに遠い世界のことであり、白野先輩くらいイケメンであれば、そういうこともあるだろうとしか思っていなかった。
「それって、理想が高いってことですか?」
言ってしまってから、ハッとした。
すっごく失礼なことを口走ってしまった気がする。でも、一度出た言葉は取り消せない。
「ご、ごめんなさい! なんだか失礼なことを……」
あわてて平謝り。白野先輩はふふっと笑って。
「いや、失礼なんかじゃないよ。理想が高い……。そうかもしれないな……って思ってね。運命の人を追い求めるってことは、つまり理想を追い求めるってことだろうしね」
白野先輩の運命の人って、どんな人だろう? きっと素敵な女の子だよね。白野先輩の理想にかなうような……。かわいくて、スタイルよくて、明るくて、ハキハキと自分の考えも言えるような……。
自分にはない要素ばかりが思いうかぶ。
「悩みといえば、もう一つあってね」
「えっ?」
「この顔だよ」
ええっ! 白野先輩が顔で悩んでるって、一体なぜ……?
「僕の顔って、いつも笑ってるでしょ?」
ドキリとした。わたしが知りたかったことを、白野先輩に言い当てられた気がしたから。
「……はい。素敵だと思いますけど……」
「ありがとう。でもね、これはこれでつらいんだよ」
どうしてだろう? 黒江くんなんて、「なにか怒ってる?」ってききたくなるほどクールな表情ばかり。最近は表情をゆるめることも増えたけど、ほほ笑んだり、クスッとする程度。ハッキリと笑った表情って見たことない気がする。
あ……わたし、また黒江くんのこと思いうかべてる!
気を取り直して、わたしは白野先輩にたずねた。
「あの……つらいって……?」
「うん。なんて言ったらいいかな。いつもニコニコしてるから、やさしくてイイ人に思われるっていうか……。『なに考えてるかわからない』って言われたこともあるよ。僕だって怒ったりすることはあるんだ。でも、顔に出ないんだよね」
ああ、それは確かに、つらいかもしれない。
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