99 / 104
二章
【番外編】クリスマス小話
しおりを挟む
クリスマス番外編です!
*****************
「パパ、明日の夜はさたんがくるんでしょ?」
両手をパパに向けて差し出すとパパがよいしょっと抱き上げてくれる。
「サタンじゃなくてサンタな。そうそう、明日の夜はサンタさんがシロのほしいものを枕元においておいてくれるんだぞ。なにかほしいものはあるか?」
そんな私達の会話を、なぜか周りにいるみんなが聞き耳を立てている。
「シロほしいものいっぱいあるよ。でもね、シロいいこと思いついたの」
「どんなことを思いついたんだ?」
「シロ、サンタさんにサンタさんを頼もうと思う。そしたら毎日プレゼント頼み放題」
世界中の子ども達にプレゼントを届けられるという謎の力を持った生物だ。捕獲すればいつでも好きな時にほしいものを出してもらえるに違いない。シロってば天才かもしれない。
そう言うと、パパ含め周りの大人達が微妙な顔をした。
「……シロ、うちはもうエンペラーもクロもいるからこれ以上生き物は飼えないぞ」
「え~」
「それに、うちにはいっぱいサンタさんがくるからほしいものは大体もらえるぞ。ほら、パパがサンタさんにお手紙出しておいてやるからここにほしいもの全部書きな」
私を椅子に置き、パパが便箋を取り出した。
「サンタさんって一人じゃないの?」
「シロはかわいいからいっぱいサンタさんが来るぞ。とりあえず今欲しいもの全部書いておけばいい」
「は~い」
ペンをもらい、ほしいものをどんどん羅列していく。
すると、パパはその辺に寝転がっていたクロを呼び寄せた。
「クロもサンタさん来るからほしいもの書いとけ」
「おれ……も……?」
クロは首を傾げつつも大人しく便箋にほしいものを書いていた。
***
その日の深夜、集まった大人達は二枚の便箋を見て感動に打ち震えていた。
「これ、日頃から僕達がほしいって言ってたものだよね……」
シリルが言う。
いつの間に分担をしたのかは分からないが、シロとクロのほしい物を合わせると特殊部隊の隊員全員分のものと思われるプレゼントが書き連ねられていた。そして、最後にシロはクロがほしそうなもの、クロはシロがほしそうなものを書いている。
「いい子過ぎる……!!」
自然と溢れ出した涙をエルヴィスは手で乱暴に拭う。そして「俺も涙もろくなったなぁ……」と呟いていた。隣にいた弟は人目も憚らず号泣していたが。
「――サンタはいい子のところに来るっていうからな、こんなにいい子達のもとにはさぞたくさんのサンタが来るだろう。なぁ? お前達」
隊員達を見渡してブレイクがニヤリと笑って言う。
「「「はい!!!」」」
その瞬間、大人達の気持ちは一つになった。
そしてクリスマスの朝、特殊部隊の食堂はプレゼントで埋め尽くされていた。
「ほわあああああああ!! プレゼントがいっぱい!!」
シロは大興奮だ。
「シロちゃんのおかげで俺達にもサンタが来たんだよ。だからここにあるプレゼントは全部シロちゃんとクロのだよ」
そう言うアニは新品の靴を履いていた。
「ガウ!」
「あ、エンペラーもサンタさんにプレゼントもらったの?」
「ガウッ!」
どうやらエンペラーに届いたのは高級狼用フードのようだ。
シロは隣にいるブレイクを見上げた。
「パパもなにか届いた?」
「ああ、前々から飲んでみたいと思ってた高い酒が届いたぞ。シロが頼んでくれたんだろ?」
「うん! あ、クロおはよ~」
「お、はよ……」
流石のクロも大量のプレゼントに面食らっている。
ブレイクがクロの頭を撫でた。
「ここにあるのは全部クロとシロのプレゼントだ。ほら、二人で開けてこい」
「は~い!」
「うん……」
ブレイクに促され、クロとシロは仲良くプレゼントの開封に向かった。
二人で嬉しそうにプレゼントの箱を開け、お互いのために頼み合ったプレゼントを交換している様子を見ていた大人達は、財布が軽くなった甲斐があるなと胸をほっこりさせていた。
*****お知らせ******
他作品になりますが「生贄令嬢は怠惰に生きる ~小動物好き竜王陛下に日々愛でられてます~」の書籍が発売中です!
よければ手にとっていただけると幸いです!!
*****************
「パパ、明日の夜はさたんがくるんでしょ?」
両手をパパに向けて差し出すとパパがよいしょっと抱き上げてくれる。
「サタンじゃなくてサンタな。そうそう、明日の夜はサンタさんがシロのほしいものを枕元においておいてくれるんだぞ。なにかほしいものはあるか?」
そんな私達の会話を、なぜか周りにいるみんなが聞き耳を立てている。
「シロほしいものいっぱいあるよ。でもね、シロいいこと思いついたの」
「どんなことを思いついたんだ?」
「シロ、サンタさんにサンタさんを頼もうと思う。そしたら毎日プレゼント頼み放題」
世界中の子ども達にプレゼントを届けられるという謎の力を持った生物だ。捕獲すればいつでも好きな時にほしいものを出してもらえるに違いない。シロってば天才かもしれない。
そう言うと、パパ含め周りの大人達が微妙な顔をした。
「……シロ、うちはもうエンペラーもクロもいるからこれ以上生き物は飼えないぞ」
「え~」
「それに、うちにはいっぱいサンタさんがくるからほしいものは大体もらえるぞ。ほら、パパがサンタさんにお手紙出しておいてやるからここにほしいもの全部書きな」
私を椅子に置き、パパが便箋を取り出した。
「サンタさんって一人じゃないの?」
「シロはかわいいからいっぱいサンタさんが来るぞ。とりあえず今欲しいもの全部書いておけばいい」
「は~い」
ペンをもらい、ほしいものをどんどん羅列していく。
すると、パパはその辺に寝転がっていたクロを呼び寄せた。
「クロもサンタさん来るからほしいもの書いとけ」
「おれ……も……?」
クロは首を傾げつつも大人しく便箋にほしいものを書いていた。
***
その日の深夜、集まった大人達は二枚の便箋を見て感動に打ち震えていた。
「これ、日頃から僕達がほしいって言ってたものだよね……」
シリルが言う。
いつの間に分担をしたのかは分からないが、シロとクロのほしい物を合わせると特殊部隊の隊員全員分のものと思われるプレゼントが書き連ねられていた。そして、最後にシロはクロがほしそうなもの、クロはシロがほしそうなものを書いている。
「いい子過ぎる……!!」
自然と溢れ出した涙をエルヴィスは手で乱暴に拭う。そして「俺も涙もろくなったなぁ……」と呟いていた。隣にいた弟は人目も憚らず号泣していたが。
「――サンタはいい子のところに来るっていうからな、こんなにいい子達のもとにはさぞたくさんのサンタが来るだろう。なぁ? お前達」
隊員達を見渡してブレイクがニヤリと笑って言う。
「「「はい!!!」」」
その瞬間、大人達の気持ちは一つになった。
そしてクリスマスの朝、特殊部隊の食堂はプレゼントで埋め尽くされていた。
「ほわあああああああ!! プレゼントがいっぱい!!」
シロは大興奮だ。
「シロちゃんのおかげで俺達にもサンタが来たんだよ。だからここにあるプレゼントは全部シロちゃんとクロのだよ」
そう言うアニは新品の靴を履いていた。
「ガウ!」
「あ、エンペラーもサンタさんにプレゼントもらったの?」
「ガウッ!」
どうやらエンペラーに届いたのは高級狼用フードのようだ。
シロは隣にいるブレイクを見上げた。
「パパもなにか届いた?」
「ああ、前々から飲んでみたいと思ってた高い酒が届いたぞ。シロが頼んでくれたんだろ?」
「うん! あ、クロおはよ~」
「お、はよ……」
流石のクロも大量のプレゼントに面食らっている。
ブレイクがクロの頭を撫でた。
「ここにあるのは全部クロとシロのプレゼントだ。ほら、二人で開けてこい」
「は~い!」
「うん……」
ブレイクに促され、クロとシロは仲良くプレゼントの開封に向かった。
二人で嬉しそうにプレゼントの箱を開け、お互いのために頼み合ったプレゼントを交換している様子を見ていた大人達は、財布が軽くなった甲斐があるなと胸をほっこりさせていた。
*****お知らせ******
他作品になりますが「生贄令嬢は怠惰に生きる ~小動物好き竜王陛下に日々愛でられてます~」の書籍が発売中です!
よければ手にとっていただけると幸いです!!
30
お気に入りに追加
7,051
あなたにおすすめの小説
継母の心得 〜 番外編 〜
トール
恋愛
継母の心得の番外編のみを投稿しています。
【本編第一部完結済、2023/10/1〜第二部スタート☆書籍化 2024/11/22ノベル5巻、コミックス1巻同時刊行予定】
生贄令嬢は怠惰に生きる~小動物好き竜王陛下に日々愛でられてます~
雪野ゆきの
恋愛
叔父一家に虐げられていた少女リアはついに竜王陛下への生贄として差し出されてしまう。どんな酷い扱いをされるかと思えば、体が小さかったことが幸いして竜王陛下からは小動物のように溺愛される。そして生贄として差し出されたはずが、リアにとっては怠惰で幸福な日々が始まった―――。
感想、誤字脱字報告、エール等ありがとうございます!
【書籍化しました!】
お祝いコメントありがとうございます!
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
「デブは出て行け!」と追放されたので、チートスキル【マイホーム】で異世界生活を満喫します。
亜綺羅もも
ファンタジー
旧題:「デブは出て行け!」と追放されたので、チートスキル【マイホーム】で異世界生活を満喫します。今更戻って来いと言われても旦那が許してくれません!
いきなり異世界に召喚された江藤里奈(18)。
突然のことに戸惑っていたが、彼女と一緒に召喚された結城姫奈の顔を見て愕然とする。
里奈は姫奈にイジメられて引きこもりをしていたのだ。
そんな二人と同じく召喚された下柳勝也。
三人はメロディア国王から魔族王を倒してほしいと相談される。
だがその話し合いの最中、里奈のことをとことんまでバカにする姫奈。
とうとう周囲の人間も里奈のことをバカにし始め、極めつけには彼女のスキルが【マイホーム】という名前だったことで完全に見下されるのであった。
いたたまれなくなった里奈はその場を飛び出し、目的もなく町の外を歩く。
町の住人が近寄ってはいけないという崖があり、里奈はそこに行きついた時、不意に落下してしまう。
落下した先には邪龍ヴォイドドラゴンがおり、彼は里奈のことを助けてくれる。
そこからどうするか迷っていた里奈は、スキルである【マイホーム】を使用してみることにした。
すると【マイホーム】にはとんでもない能力が秘められていることが判明し、彼女の人生が大きく変化していくのであった。
ヴォイドドラゴンは里奈からイドというあだ名をつけられ彼女と一緒に生活をし、そして里奈の旦那となる。
姫奈は冒険に出るも、自身の力を過信しすぎて大ピンチに陥っていた。
そんなある日、現在の里奈の話を聞いた姫奈は、彼女のもとに押しかけるのであった……
これは里奈がイドとのんびり幸せに暮らしていく、そんな物語。
※ざまぁまで時間かかります。
ファンタジー部門ランキング一位
HOTランキング 一位
総合ランキング一位
ありがとうございます!
転生初日に妖精さんと双子のドラゴンと家族になりました
ひより のどか
ファンタジー
ただいま女神様に『行ってらっしゃ~い』と、突き落とされ空を落下中の幼女(2歳)です。お腹には可愛いピンクと水色の双子の赤ちゃんドラゴン抱えてます。どうしようと思っていたら妖精さんたちに助けてあげるから契約しようと誘われました。転生初日に一気に妖精さんと赤ちゃんドラゴンと家族になりました。これからまだまだ仲間を増やしてスローライフするぞー!もふもふとも仲良くなるぞー!
初めて小説書いてます。完全な見切り発進です。基本ほのぼのを目指してます。生暖かい目で見て貰えらると嬉しいです。
※主人公、赤ちゃん言葉強めです。通訳役が少ない初めの数話ですが、少しルビを振りました。
※なろう様と、ツギクル様でも投稿始めました。よろしくお願い致します。
※カクヨム様と、ノベルアップ様とでも、投稿始めました。よろしくお願いしますm(_ _)m
目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜
楠ノ木雫
恋愛
病院に入院中だった私、奥村菖は知らず知らずに異世界へ続く穴に落っこちていたらしく、目が覚めたら知らない屋敷のベッドにいた。倒れていた菖を保護してくれたのはこの国の公爵家。彼女達からは、地球には帰れないと言われてしまった。
病気を患っている私はこのままでは死んでしまうのではないだろうかと悟ってしまったその時、いきなり目の前に〝妖精〟が現れた。その妖精達が持っていたものは幻の薬草と呼ばれるもので、自分の病気が治る事が発覚。治療を始めてどんどん元気になった。
元気になり、この国の公爵家にも歓迎されて。だから、恩返しの為に現代の知識をフル活用して頑張って元気に生きたいと思います!
でも、あれ? この世界には私の知る食材はないはずなのに、どうして食事にこの四角くて白い〝コレ〟が出てきたの……!?
※他の投稿サイトにも掲載しています。
異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!
明衣令央
ファンタジー
糸井織絵は、ある日、オブルリヒト王国が行った聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界ルリアルークへと飛ばされてしまう。
一緒に召喚された、若く美しい女が聖女――織絵は召喚の儀に巻き込まれた年増の豚女として不遇な扱いを受けたが、元スマホケースのハリネズミのぬいぐるみであるサーチートと共に、オブルリヒト王女ユリアナに保護され、聖女の力を開花させる。
だが、オブルリヒト王国の王子ジュニアスは、追い出した織絵にも聖女の可能性があるとして、織絵を連れ戻しに来た。
そして、異世界転移状態から正式に異世界転生した織絵は、若く美しい姿へと生まれ変わる。
この物語は、聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界転移後、新たに転生した一人の元おばさんの聖女が、相棒の元スマホケースのハリネズミと楽しく無双していく、恋と冒険の物語。
2022.9.7 話が少し進みましたので、内容紹介を変更しました。その都度変更していきます。
義母ですが、若返って15歳から人生やり直したらなぜか溺愛されてます
富士とまと
恋愛
25歳で行き遅れとして実家の伯爵家を追い出されるように、父親より3つ年上の辺境伯に後妻として嫁がされました。
5歳の義息子と3歳の義娘の面倒を見て12年が過ぎ、二人の子供も成人して義母としての役割も終わったときに、亡き夫の形見として「若返りの薬」を渡されました。
15歳からの人生やり直し?義娘と同級生として王立学園へ通うことに。
初めての学校、はじめての社交界、はじめての……。
よし、学園で義娘と義息子のよきパートナー探しのお手伝いをしますよ!お義母様に任せてください!
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。