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信者が引っ越してきました
しおりを挟む「こんにちはミィ様」
わたしの目の前でニッコリと笑うのはおじいちゃん教皇。その手にはなにやら箱がのっています。
「イルさん、急に訪ねてきてどうしたのですか?」
おじいちゃん教皇はイルミナートという名前なのでイルさんと呼ぶことにしたのです。
そして、ここは魔王城の玄関。わざわざ人界から遊びにきてくれたんでしょうか。
「私こちらに引っ越してきたのですよ」
「そうなのですか……え?」
引っ越してきた?
「今はご近所さんに挨拶周りをしている所でして。はいこれ、つまらないものですが」
「あ、いえいえ、ありがとうございますなのです」
私はイルさんの持っていた箱を受け取りました。なんかいい匂いがするのです。
「僕もいるよ~!」
「うわっ!びっくりしたのです」
「ふふふ、久しぶりだねミィ」
「はいです」
わたしの背後から突然現れたのはオズお兄さんだった。
「こっちに新しくできた教会に僕の部屋も作ってもらってね。これからはもっとたくさんミィに会いに来れるよ」
「おお!」
それは嬉しいのです!
「でも、イルさん達は魔界にお引越ししてきちゃって平気なのですか?」
「もちろんですとも!我らが神様の近くに教会を建てることは至極当然でございます。とはいえ人界とこちらを行き来することにはなりますが」
「なるほどです」
確かにそうかもしれません。
「教会は魔王城のすぐそばですのでいつでも遊びにきてください。なんなら今からで来て下さってもいいですよ」
「行くのです!」
「―――あらミィ、お知り合い?」
「母さま!」
偶然通りかかった母さまにイルさんとオズお兄さんとの関係を聞かれる。
「イルさんはミィの信者さんで、オズお兄さんは人界の勇者兼ミィの前世の飼い主さんなのです」
「ああ、そう言えばそんなことが手紙に書いてあったわね」
「はい。今から新しくできた教会に遊びにいってもいいですか?」
「ええ、いいわよ」
「気を付けて行ってらっしゃい」と母さまに角をこしょこしょされる。
「ミィどっか行くのか?」
「あ、コウ君」
コウ君がてててっと歩み寄ってきました。
「今から新しくできたミィの教会に遊びに行くのです」
「教会……ああ、今世も神様やってんのか」
「はい。でもミィ、前世でも信仰されてたのは最近知ったのです。コウ君はどうして知ってるんです?」
「俺は普通に前世でも認識してたぞ。犬は猫よりも頭がいいからな」
「なるほどです」
認めるのはちょっと癪ですがその通りです。
「ねぇミィ、もしかしてそいつ前世でみーに引っ付いてた犬っころ?」
オズお兄さんがミィに問いかける。心なしかオズお兄さんが冷気を纏っているのは気のせいでしょうか。
「あ? ……もしかしてお前、みーの飼い主だったやつか」
ん?
オズお兄さんとコウ君が冷ややかに睨み合ってます。
―――あ、思い出しました。そういえばこの二人、前世ではとっても仲が悪かったのです。
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