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第2章 第4話 抜け殻の山から逃げる少女
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「この設備…いかにもって感じだね」
「どれもこれも高価な器具、ブラックエリアの施設とは思えない…」
研究施設の内部は裏路地とは異なり、白く清潔感が溢れていた。システムの大半が自動化していたが、現実と同じものに見せる為の外装が取り付けられていない装置もかなり多かった。
「まぁ、ここは現実っぽくする必要が無いからね」
「あの装置、データ処理のケーブルラインが見えてる…」
鼎達は常に警戒しながら、研究施設の廊下を進んだ。どうやら自動制御されている装置は、プログラムの指示通りに実験を行なっているらしい。
「うーん…パーツが小さすぎて何してるかよく分からないな…」
「この先の資料室を調べれば、何か分かるはず…」
ーー
「埃っぽい…しばらく誰も入っていなかったみたい」
「資料は古くても、この施設で何をしていたか分かれば良いよね」
鼎と桃香は資料室に残されていた物を、確認していた。あちらこちらに埃が積もっていて、長期間出入りが無かった事が分かる。
「これ…ユーザーのリスト?桃香、これは研究員の名簿で合ってるかな」
「いや…この施設に搬入されたアバターのリストだよ。他の一般的な施設の職員の名簿とは表記が違うもん」
職員の名簿とは異なり所属期間では無く、搬入時期が記載されていた。明らかに一人のユーザーとして扱っていない証拠だった。
「この先に廃棄物処理場がある、行ってみよう」
「嫌な予感しかしないな…」
ーー
「これは…!」
「抜け殻の山だね…」
「中身のユーザーは…現実に戻れてるの?」
「いや…」
廃棄物処理場にあったのは、大量のユーザーの抜け殻の山だった。相変わらず白く清潔感がある室内での中で、異様な気配を放っていた。
「これ…大半がエリア013からログインしているユーザーの抜け殻だ」
「013の犯罪組織が、この研究施設に関わっている…?」
エリア013は昔から治安が悪い事で知られている土地である。アナザーアースにログインしたまま、昏睡状態になる人が多いエリアであるにも関わらず、現地では報道されていないらしい。
「013の犯罪組織に研究員はいないはずだけど…何者かが利用しているって事かな」
「とにかく、さっきの資料を回収して、この部屋の写真も撮ったから、調査は終わりだよ」
「…!鼎サン、向こうから誰かが走ってくる」
「あっ…あの!」
物陰から飛び出して来て、こちらに走ってきたのは小さな少女だった。少女は青ざめた表情をして、何かに怯えている様子だった。
「ここから出して!」
「分かった!」
すぐに桃香は少女を抱えて走り出して、出口へと向かった。これ以上ここにいるのは危険だと、一瞬で判断したのだ。
(私も行かなきゃ!)
鼎も慌てて桃香を追って出口へと向かった…
「どれもこれも高価な器具、ブラックエリアの施設とは思えない…」
研究施設の内部は裏路地とは異なり、白く清潔感が溢れていた。システムの大半が自動化していたが、現実と同じものに見せる為の外装が取り付けられていない装置もかなり多かった。
「まぁ、ここは現実っぽくする必要が無いからね」
「あの装置、データ処理のケーブルラインが見えてる…」
鼎達は常に警戒しながら、研究施設の廊下を進んだ。どうやら自動制御されている装置は、プログラムの指示通りに実験を行なっているらしい。
「うーん…パーツが小さすぎて何してるかよく分からないな…」
「この先の資料室を調べれば、何か分かるはず…」
ーー
「埃っぽい…しばらく誰も入っていなかったみたい」
「資料は古くても、この施設で何をしていたか分かれば良いよね」
鼎と桃香は資料室に残されていた物を、確認していた。あちらこちらに埃が積もっていて、長期間出入りが無かった事が分かる。
「これ…ユーザーのリスト?桃香、これは研究員の名簿で合ってるかな」
「いや…この施設に搬入されたアバターのリストだよ。他の一般的な施設の職員の名簿とは表記が違うもん」
職員の名簿とは異なり所属期間では無く、搬入時期が記載されていた。明らかに一人のユーザーとして扱っていない証拠だった。
「この先に廃棄物処理場がある、行ってみよう」
「嫌な予感しかしないな…」
ーー
「これは…!」
「抜け殻の山だね…」
「中身のユーザーは…現実に戻れてるの?」
「いや…」
廃棄物処理場にあったのは、大量のユーザーの抜け殻の山だった。相変わらず白く清潔感がある室内での中で、異様な気配を放っていた。
「これ…大半がエリア013からログインしているユーザーの抜け殻だ」
「013の犯罪組織が、この研究施設に関わっている…?」
エリア013は昔から治安が悪い事で知られている土地である。アナザーアースにログインしたまま、昏睡状態になる人が多いエリアであるにも関わらず、現地では報道されていないらしい。
「013の犯罪組織に研究員はいないはずだけど…何者かが利用しているって事かな」
「とにかく、さっきの資料を回収して、この部屋の写真も撮ったから、調査は終わりだよ」
「…!鼎サン、向こうから誰かが走ってくる」
「あっ…あの!」
物陰から飛び出して来て、こちらに走ってきたのは小さな少女だった。少女は青ざめた表情をして、何かに怯えている様子だった。
「ここから出して!」
「分かった!」
すぐに桃香は少女を抱えて走り出して、出口へと向かった。これ以上ここにいるのは危険だと、一瞬で判断したのだ。
(私も行かなきゃ!)
鼎も慌てて桃香を追って出口へと向かった…
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