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先行投資・俺だけの人。
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しおりを挟む「やめろ…こんな…の…私じゃ…」
「ちゃんと、見て。
戸塚さんだよ。こうなってんの…わかる?
俺の指が気持ちいいーって、言ってんの。
もっと触って、いっぱい虐めてって…」
「…そんな…訳ない…私…私は…」
「…気持ちいい、だよ…ほら…」
ツンとたった乳首を下から上へピンピンと、はじかれる。
片方の乳首は耐えず、聴診器の刺激を送りながら。
ふにゅ…ふにゅ…っと刺激を送り続ける。
「あ…」
「な…?いい、だろ…?」
ぎゆ、っと、爪を立てながら乳首を思い切り引っ張られた。
樹の手じゃない、初めてあった医者の手で…こんな……。
こんな胸を弄られただけで…女みたいに……
こんな…怖い…
ペニスも触られていないのに…
このままじゃ……
「…怖い…も…」
「………」
「お願いだから…辞めて…くれ……」
「ああ、すまん。そんな泣くほどとは」
医者は慌てて私の服をまさぐっていた手をシャツから出しした。
「めっちゃ、戸塚さん、俺の好み。
見た目だけじゃなくてこんなに可愛いなんて。
彼氏に知られるのが嫌なのか?
…悩んでるなら彼氏と別れない?
俺ずっと満足させるし。
あんたみたいな純情ちゃんは年下には扱いきれねぇだろ。」
「馬鹿…いうな…。私は…」
「まぁ…考えといて。
でも俺の診察じゃ、戸塚さん、たぶん、恋人のことをどこか拒絶しているんだと思うぜ。
セックスでも乱れたいのにセーブしてるんだ。
年上のプライドかな。
目茶苦茶になりたいってな…、言ってるのに歯止めをかけてる」
「そんな…」
私が…樹の手を拒絶…?
そんな訳…ない…。
それに目茶苦茶になりたいだなんて…。
今でさえ、樹の行為についていけないのに……。
そんな…
「そうそ、俺の名前は後藤蒼真(ごとうそうま)。
これ、名刺ね」
医者は私の衣服を整えて、ぽっけに名刺を滑り込ませた。
「来週、また来るように」
「は…?」
「いいね…?じゃないと、戸塚さん、もっと胃が痛くなる筈だから。っと、薬は一応出しとく。
ま、俺が一番の良薬だけど…ね…?
また、身体が寂しくなったらいつでもいいな。携帯番号、そこに書いてあるから
まぁ、そん時は今日の治療なんかよりもっと気持ち良くしてやるから。
覚悟しとけ」
「先生、もういいですか?次の患者さんが…」
「ああ、いいよ~
んじゃ、お大事にね…?戸塚さん」
聴診器をくいっとあげて、私に意味ありげに、笑って見せた。
「…っ」
カァァ、と頬が染まる。
先程の痴態が過ぎり、私は逃げるように病室を後にした。
『あんたは、案外彼氏の事でストレス溜めているのかもね』
そんなことない。
私は、樹にストレスなんか、ない。
ある訳…ないだろ…。
樹は、私の天使だ。
それを…。
包丁を握り、やけになったように野菜を刻んでいく。
医者から軽いセクハラをされた私は、あの後薬局にいき、処方された薬を渡された。
薬は、ちゃんとした薬だったらしく、30分ほどで、薬は効いて、だいぶ胃は楽になった。
薬がきいたおかげで午後は午前中、中断したぶんの仕事ができた。
医者のおかげとはいいたくないけれど…。とりあえず、仕事が溜まらないでよかった。
今は仕事を少し中断させ、夕食の準備をしていた。
今日のメニューはビーフシチュー。
樹の大好物だ。
樹は…喜んでくれるだろうか…。
「やっぱり、公久さんのご飯は最高だね…」なんて…。
その言葉だけで、私は…。
『俺今日、夜ご飯いらないから』
「あ…」
朝の樹の言葉が頭を過ぎり手が止まる。
いらない…って、いっていたか。忘れていた。
朝ちゃんと聞いたのに。
ここ最近、樹はいつも夜遅い。
どこで、なにをしているのかわからないけど…。
「浮気…か」
口に出して…、ありえない…と首を振った。
樹に限って浮気だなんて、そんな器用な、マネ…。
『彼女…えへへ、なんでもない』
彼女…か。
もしかして樹は…
「私から…離れようと…、しているんだろうか…、」
きゅ、とまた胃が痛んだ。
私は、樹に愛されているんだろうか。
樹は、私を愛しているんだろうか。
『あんたは、案外彼氏の事でストレス溜めているのかもね』
医者の言葉が、まるで呪いの言葉のように何度も何度も頭にリフレインした。
それと同時に、ジン、と触られた乳首が疼いた。
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