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紫くらげ

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死神との生活も慣れるもので、案外普通のルームシェアみたいだ。
出会いこそ最悪だったが、今では普通に話し相手として一緒に居る。

「君と会って、もう1年経つのか…。」

そう、一年。僕はまだ生きている。

死神は相変わらず無礼な事は言って来るけど悪いやつじゃない…って言うのは可笑しいかもしれないけど…
誰とも話したことのなかった俺は死神の話がすごく楽しく、いろんなことを教えてもらった。
この下界と言われる、僕たちの居る世界の事。
天界と言われる、神とかが居る世界の事。
神と死神は実は生と死を司る役目が違うだけで、対して力が無いという事。
その神をサポートするのが天使
悪魔は唯一願いをかなえることが出来る種族だけれど、犠牲が必ず必要だ
だから、悪魔は呼んではいけないと
あいつらは口が上手いから…
と、色々なことを教えてくれた。

1年。そう、1年だ。やっと…1年。
後、どれくらいで僕は連れていかれるのだろう。死神に聞いても「さぁねぇ」やら、「明日かもしれないねぇ」なんて、曖昧な返事か茶化す事しかしてくれない。

そういえば、死神は基本此処に居るが、偶にこの部屋に居ない時が有る。
例えば、僕が起きた時、数分経てば戻ってくるが暫く姿が消えているのだ。

「外に出られるなんて羨ましいぜ、全く」

そう、俺はふと愚痴をこぼした。

「相も変わらず愚かなり。何もしなくていいお前とは違い、私は多忙なんだ。なにせ、死神だからねぇ。あっちにこっち、今の時期は引っ張りだこさ」

「引っ張りだこ…?そんなに人死んでんのか?」

俺は外の事を聞いただけでしか知らない。
死神の話では、今外の世界では黒死病という病が流行っているらしい。
治療法はまだ模索中で、次々と人が死んでるそうだ。

「皮膚が黒くなって死ぬなんて、怖いな。僕見れないかも」

「死を見届ける方が怖がってどうするんだ、愚か者。死ぬ立場の方が辛いと…お前ならわかっているはずだ」

「ぁ……ごめんなさい」

「分かれば良い。」

そうして、死神が外出する頻度は今までより増えて行った。
そうなると、勿論僕は暇になるわけで、何をするでもなく…否、何もできないからぼーっとしていた。
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