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第三章 ~学院と盟友~
第五十九話 ~成長~
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僕、レオン・マルクは今年で13歳。身長は今日の式典の時にちょっとは気になっていたが、どうやら平均よりも少し高い程度であることが分かった。とはいっても周りの大人と比べると恐らく160センチ程度だろう。
そして、今僕の目の前には、4つ年の離れた妹が緊張し、不安そうな顔をして立っている。
僕は妹が来た時、すぐに立ち上がり久しぶりの再会を喜びハグをしようと近づいたが、、、。
今僕は妹を見上げている。若干背伸び気味に僕は立っている。だが、見上げている。
(これがテレサが姿を見せなかった理由か、、、)
妹が姿を現したとき、チラッと姿を見たが綺麗な白と青を基調としたドレスで靴は見えなかったため、物凄い高さのヒールを履いているのかもしれないが、今僕が見上げている妹は僕の頭一つ分は背が高いように思えた。
(これで9歳?)
正直、妹に何が起こったのか、この3年間修業していて最も気になる変化であることは確かであった。見た目の年齢も正直、すでに大人と言っていいほどである。
妹の反応からすれば、この世界でも背の高い女性はコンプレックスなのだろう。9歳であればなおの事であるのは想像がつく。しかし、唯一の良いこととしては美人であることだろうか?
妹の姿は非常に可憐で美しかった。これほどの美人であれば嫁ぎ先に困ることはないだろう。・・・身長がこの辺で止まれば。
「どうしたんだ。テレサ。久しぶりすぎて兄の顔を忘れてしまったかな?」
僕は若干の間がありつも、両手を広げて久しぶりの妹との再会を出迎える。
「お兄様!」
テレサは僕が3年前と変わらない接し方をすると、不安そうな顔が一転し、非常に晴れやかな笑顔で、3年前と変わらない勢いでハグをしてきた。
(うっ!)
僕は想定以上の衝撃をテレサに悟られるわけにはいくまいと、必死で声が漏れるのを押し殺した。
「っ元気だったかい?。テレサ?」
「はいっ!!。お兄様!」
(痛いっ)
テレサの力は想像以上にというか、殺しに掛かっているじゃないかと思うほどに力強かった。、、、正直、少しだけ魔力で肉体強化した事実は、墓場まで持っていこう。
「母上!」
「あらあら、相変わらず仲のいい、兄妹ねぇ」
まず、真っ先にベッドの方を向いていたテレサが反応した。
僕も透かさず後ろを振り向くと、気絶していた母がベットから体を起こしていた。
「母上。体調は?」
「大丈夫ですよ。ちょっとだけ、魔力に酔っただけよ。むしろ、ぐっすり眠って体調が良いわよ」
「本当ですか?」
「レオンは心配性ですね」
母はそう言うとベッドから起き上がると、両手を広げ笑顔で返す。
「ほらね」
その様子を見たテレサが力強く抱き着きに行く。
「ちょっ!」
それを見た僕は思わず、声を出して止めようとしたが声を出す間もなくテレサは力強く母に抱き着いた。
しかし、音は静かで、母も特に痛がっている様子も見て取れない。
「良かった~。お母~様~!」
「ほら、テレサ。泣かないのっ。綺麗な顔が台無しよ」
(僕の時だけ、力を込めてた?)
そんなことを、少し思ったが、とりあえずは母が元気そうで良かったと思うことにした。
*
母が元気だということも分かったので、その後は学舎を出て、僕たちは帝都にある貴族用の仮屋敷へと帰るため馬車乗り場へと向かっていた。
その最中、僕は学院長と皇帝陛下がどこかに消え去ってしまったことと、謝罪していたことを話した。
「さすが私達の息子ね。あの魔力に耐えるなんて」
「いえ、他にも耐えている人達はいましたから」
「そう言う、遠慮しがちな所はドナーに良く似てます」
母はどこか誇らしげに言う。
「母上は、『全闘血戦』というのはご存じなのですか?」
「うーん。『全闘血戦』という言葉は知っているけれど、内容まではわからないわね。あくまで伝説だけど、『全闘血戦』は今から100年程前まで帝都中すべての学生を集めて行われた催しの事を『全闘血戦』と言うそうよ」
「すべての学生ですか!?」
僕は母のその言葉に驚きを隠せなかった。なぜなら、もし本当であれば、この国のすべての学生が『全闘血戦』を行うということになる。
前世の学生の数は僕は知らないが、この世界の学生の数は知っている。理由は簡単、先の全生徒を集めた入学式典で、学院長がこの国の学生の数を言っていた。
総勢40万人。
これを聞けば理解できるだろうが、40万人があつまってやる催しなど、スケールがデカすぎで想像ができない。
(殺し合いでもさせるのか?)
「そうよね。驚くわよね。それほど大きな催しは見たことがないものね。でも、あくまで伝説。本当にそれだけの人間が集まるなんてことはないと思うわよ」
「どうして、中止になったのですか?」
「伝説では、最後に開催した時に生徒の半数以上が命を落としたから。というのが理由らしいわよ。いったいどんな事が起きたんでしょうね。
でも、レオンなら大丈夫よ。きっと無事に済むわ。それほど危険なら学生にやらせるわけがないもの」
「だと、良いのですが」
母のその言葉に乗っかるようにテレサも話す。
「そうです。それに、お兄様は強いですから。世界一のお兄様ですから。余裕で優勝してしまいます」
「ありがとう。テレサ」
(学院長の感じからすると伝説は本当のような気がする。何をさせられるんだろうか?)
僕は不安がより一層深まった中、馬車へと乗った。
そして、今僕の目の前には、4つ年の離れた妹が緊張し、不安そうな顔をして立っている。
僕は妹が来た時、すぐに立ち上がり久しぶりの再会を喜びハグをしようと近づいたが、、、。
今僕は妹を見上げている。若干背伸び気味に僕は立っている。だが、見上げている。
(これがテレサが姿を見せなかった理由か、、、)
妹が姿を現したとき、チラッと姿を見たが綺麗な白と青を基調としたドレスで靴は見えなかったため、物凄い高さのヒールを履いているのかもしれないが、今僕が見上げている妹は僕の頭一つ分は背が高いように思えた。
(これで9歳?)
正直、妹に何が起こったのか、この3年間修業していて最も気になる変化であることは確かであった。見た目の年齢も正直、すでに大人と言っていいほどである。
妹の反応からすれば、この世界でも背の高い女性はコンプレックスなのだろう。9歳であればなおの事であるのは想像がつく。しかし、唯一の良いこととしては美人であることだろうか?
妹の姿は非常に可憐で美しかった。これほどの美人であれば嫁ぎ先に困ることはないだろう。・・・身長がこの辺で止まれば。
「どうしたんだ。テレサ。久しぶりすぎて兄の顔を忘れてしまったかな?」
僕は若干の間がありつも、両手を広げて久しぶりの妹との再会を出迎える。
「お兄様!」
テレサは僕が3年前と変わらない接し方をすると、不安そうな顔が一転し、非常に晴れやかな笑顔で、3年前と変わらない勢いでハグをしてきた。
(うっ!)
僕は想定以上の衝撃をテレサに悟られるわけにはいくまいと、必死で声が漏れるのを押し殺した。
「っ元気だったかい?。テレサ?」
「はいっ!!。お兄様!」
(痛いっ)
テレサの力は想像以上にというか、殺しに掛かっているじゃないかと思うほどに力強かった。、、、正直、少しだけ魔力で肉体強化した事実は、墓場まで持っていこう。
「母上!」
「あらあら、相変わらず仲のいい、兄妹ねぇ」
まず、真っ先にベッドの方を向いていたテレサが反応した。
僕も透かさず後ろを振り向くと、気絶していた母がベットから体を起こしていた。
「母上。体調は?」
「大丈夫ですよ。ちょっとだけ、魔力に酔っただけよ。むしろ、ぐっすり眠って体調が良いわよ」
「本当ですか?」
「レオンは心配性ですね」
母はそう言うとベッドから起き上がると、両手を広げ笑顔で返す。
「ほらね」
その様子を見たテレサが力強く抱き着きに行く。
「ちょっ!」
それを見た僕は思わず、声を出して止めようとしたが声を出す間もなくテレサは力強く母に抱き着いた。
しかし、音は静かで、母も特に痛がっている様子も見て取れない。
「良かった~。お母~様~!」
「ほら、テレサ。泣かないのっ。綺麗な顔が台無しよ」
(僕の時だけ、力を込めてた?)
そんなことを、少し思ったが、とりあえずは母が元気そうで良かったと思うことにした。
*
母が元気だということも分かったので、その後は学舎を出て、僕たちは帝都にある貴族用の仮屋敷へと帰るため馬車乗り場へと向かっていた。
その最中、僕は学院長と皇帝陛下がどこかに消え去ってしまったことと、謝罪していたことを話した。
「さすが私達の息子ね。あの魔力に耐えるなんて」
「いえ、他にも耐えている人達はいましたから」
「そう言う、遠慮しがちな所はドナーに良く似てます」
母はどこか誇らしげに言う。
「母上は、『全闘血戦』というのはご存じなのですか?」
「うーん。『全闘血戦』という言葉は知っているけれど、内容まではわからないわね。あくまで伝説だけど、『全闘血戦』は今から100年程前まで帝都中すべての学生を集めて行われた催しの事を『全闘血戦』と言うそうよ」
「すべての学生ですか!?」
僕は母のその言葉に驚きを隠せなかった。なぜなら、もし本当であれば、この国のすべての学生が『全闘血戦』を行うということになる。
前世の学生の数は僕は知らないが、この世界の学生の数は知っている。理由は簡単、先の全生徒を集めた入学式典で、学院長がこの国の学生の数を言っていた。
総勢40万人。
これを聞けば理解できるだろうが、40万人があつまってやる催しなど、スケールがデカすぎで想像ができない。
(殺し合いでもさせるのか?)
「そうよね。驚くわよね。それほど大きな催しは見たことがないものね。でも、あくまで伝説。本当にそれだけの人間が集まるなんてことはないと思うわよ」
「どうして、中止になったのですか?」
「伝説では、最後に開催した時に生徒の半数以上が命を落としたから。というのが理由らしいわよ。いったいどんな事が起きたんでしょうね。
でも、レオンなら大丈夫よ。きっと無事に済むわ。それほど危険なら学生にやらせるわけがないもの」
「だと、良いのですが」
母のその言葉に乗っかるようにテレサも話す。
「そうです。それに、お兄様は強いですから。世界一のお兄様ですから。余裕で優勝してしまいます」
「ありがとう。テレサ」
(学院長の感じからすると伝説は本当のような気がする。何をさせられるんだろうか?)
僕は不安がより一層深まった中、馬車へと乗った。
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