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第5話
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「分かりました。でも、あと、30分はここでゆっくりしましょう。」
「30分?長くね?いいって。そんな、今すぐにでも俺、行けるから…」
そう言って、強気に立ち上がったら残りかすが出た。
「げほっ。ごほっ。」
「ほら。全然落ち着いてないじゃないですか。そんな嘘を付くような人の言う事など、信用できません。私が30分と言ったら30分です。それが守れないのならば、今すぐにでも、私は竹中君を保健の先生に突き出します。」
じとっと睨まれた。
「…。はい。」
俺は今の彼女に何を言っても勝てないと察し、ここは素直に頷いた。
「具合、悪かったんですね。すみません。私、連れまわしちゃってて…」
申し訳なさそうに俺を見てきた。
「いや、隠してた俺も悪かったし。」
俺はカッコ悪い姿を見られ、一番隠し通そうと思っていた事がバレ、羞恥にかれれた。
「きっと、編入の準備で疲れているんですね。」
早く、元気になってください。
彼女は俺の体調不良が一過性のものだと思っているようだ。
「ああ。」
一々説明するのも面倒だったので、俺はまた適当な生返事で会話を終わらせてしまった。
■■■■■
「…。」
俺は突如として表れた30分の壁に暇を持て余した。
もう、本当に体は落ち着いたんだが....。
彼女は俺が椅子から動かないようにじっと見ている。
「…。」
き、気まずいんですけど…?
「ふふ。困っていますね。」
なぜか、俺の困惑した表情を喜んだ。
やはり、彼女の根は何年経っても変わっていないようだ。
「私、こう見えて、アイドルなんです。何か好きな曲はありますか?」
聞いていて心苦しくならない程度には歌は上手いんですよ。
そう言って、清水さんはグランドピアノの前に座った。
好きな歌....。
ぱっと脳裏に俺達のデビュー曲が浮かんだが、聞いても悲しくなるだけだと思って選択しから抹消する。
すると、俺の知っている手持ちの曲は以外にも選択肢が少ないんだと分かった。
ぱっと曲名が思いつかないで口をつむんでいると、さらに清水さんが話しかけてきた。
「あまり、歌、聞かれませんか?」
「....。かも、しれない。」
そうなんですね。じゃ、あつかましいですが、私の好きな曲を歌いますね。
「私の大好きな曲です。聞いてください。『Cherry‘s』で『未来の飛行船』」
♪~。
ピアノの優しい伴奏が始まった。
俺は選曲に驚いた。いつも俺たちの曲はきらきらしすぎて嫌いだと馬鹿にしてきたくせに。
あの一言は気まぐれなのだろうか?
『大好きな曲』
そう聞こえた。
この曲は活動休止する前に俺が作詞を担当して、活動休止後、2人体制になった『Cherry‘s』が初めて発表したオリジナル曲でもあったから。
思い入れがある曲だったから。
この時は、自分で歌うつもりだったから、自分のパートはかっこいいセリフを入れた恥ずかしい秘密の思い出もある。俺が活動休止前、最後に歌うはずだった曲。それが、『未来の飛行船』。
■■■■■
♪~。
君は何してるー。何見てるかなぁ。どんなーにつらくても頑張ってるね。
俺は今、何してるー。
君の事、考えて月を見てるー。
忙しいこと、つらい事あると思うけどー、そんな顔一つも見せないの心配だよ。
俺には弱いところを見せて欲しい。そしたら安心するからさ。
君は今、どこにいるー。はるか遠くの飛行船の中。
僕は今、どこにいるー。頑張って、君に置いてかれないよに。
俺たち、未来は別々かな。できれば一緒の世界が良いね。
横見て、笑顔で、こんにちは。
これがどんなに嬉しいんだろ。
君と同じ船に乗れるように、未来の切符を手に入れるよ。
君の最寄りの駅を教えて欲しい。俺も君と一緒に居たいからさ。
♪~。
■■■■■
彼女の透き通った歌声が音楽室に響く。
「30分?長くね?いいって。そんな、今すぐにでも俺、行けるから…」
そう言って、強気に立ち上がったら残りかすが出た。
「げほっ。ごほっ。」
「ほら。全然落ち着いてないじゃないですか。そんな嘘を付くような人の言う事など、信用できません。私が30分と言ったら30分です。それが守れないのならば、今すぐにでも、私は竹中君を保健の先生に突き出します。」
じとっと睨まれた。
「…。はい。」
俺は今の彼女に何を言っても勝てないと察し、ここは素直に頷いた。
「具合、悪かったんですね。すみません。私、連れまわしちゃってて…」
申し訳なさそうに俺を見てきた。
「いや、隠してた俺も悪かったし。」
俺はカッコ悪い姿を見られ、一番隠し通そうと思っていた事がバレ、羞恥にかれれた。
「きっと、編入の準備で疲れているんですね。」
早く、元気になってください。
彼女は俺の体調不良が一過性のものだと思っているようだ。
「ああ。」
一々説明するのも面倒だったので、俺はまた適当な生返事で会話を終わらせてしまった。
■■■■■
「…。」
俺は突如として表れた30分の壁に暇を持て余した。
もう、本当に体は落ち着いたんだが....。
彼女は俺が椅子から動かないようにじっと見ている。
「…。」
き、気まずいんですけど…?
「ふふ。困っていますね。」
なぜか、俺の困惑した表情を喜んだ。
やはり、彼女の根は何年経っても変わっていないようだ。
「私、こう見えて、アイドルなんです。何か好きな曲はありますか?」
聞いていて心苦しくならない程度には歌は上手いんですよ。
そう言って、清水さんはグランドピアノの前に座った。
好きな歌....。
ぱっと脳裏に俺達のデビュー曲が浮かんだが、聞いても悲しくなるだけだと思って選択しから抹消する。
すると、俺の知っている手持ちの曲は以外にも選択肢が少ないんだと分かった。
ぱっと曲名が思いつかないで口をつむんでいると、さらに清水さんが話しかけてきた。
「あまり、歌、聞かれませんか?」
「....。かも、しれない。」
そうなんですね。じゃ、あつかましいですが、私の好きな曲を歌いますね。
「私の大好きな曲です。聞いてください。『Cherry‘s』で『未来の飛行船』」
♪~。
ピアノの優しい伴奏が始まった。
俺は選曲に驚いた。いつも俺たちの曲はきらきらしすぎて嫌いだと馬鹿にしてきたくせに。
あの一言は気まぐれなのだろうか?
『大好きな曲』
そう聞こえた。
この曲は活動休止する前に俺が作詞を担当して、活動休止後、2人体制になった『Cherry‘s』が初めて発表したオリジナル曲でもあったから。
思い入れがある曲だったから。
この時は、自分で歌うつもりだったから、自分のパートはかっこいいセリフを入れた恥ずかしい秘密の思い出もある。俺が活動休止前、最後に歌うはずだった曲。それが、『未来の飛行船』。
■■■■■
♪~。
君は何してるー。何見てるかなぁ。どんなーにつらくても頑張ってるね。
俺は今、何してるー。
君の事、考えて月を見てるー。
忙しいこと、つらい事あると思うけどー、そんな顔一つも見せないの心配だよ。
俺には弱いところを見せて欲しい。そしたら安心するからさ。
君は今、どこにいるー。はるか遠くの飛行船の中。
僕は今、どこにいるー。頑張って、君に置いてかれないよに。
俺たち、未来は別々かな。できれば一緒の世界が良いね。
横見て、笑顔で、こんにちは。
これがどんなに嬉しいんだろ。
君と同じ船に乗れるように、未来の切符を手に入れるよ。
君の最寄りの駅を教えて欲しい。俺も君と一緒に居たいからさ。
♪~。
■■■■■
彼女の透き通った歌声が音楽室に響く。
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