半分異世界

月野槐樹

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第18章 彗汰1

第207話 しらないこ

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そうしたらね。

木の下の所に、知らない子が丸まって眠ってたんだ。すっごくびっくりしちゃった。

ひなたぼっこかなと思ったけど、あまりおひさまの光が当たる場所じゃなかったんだ。

そうっとその子の近くに寄って見た。動かない。気がついていないのかな。
その子の目の前にしゃがんでみた。全然動かない。本当にお昼寝しているみたいだ。

なんだかね、じーっとその子の顔をみてみたら、ちょっと哀しそうな顔をしている気がしたんだ。
それをみて「あ!」って声をだしちゃった。おなかすいているときの顔だ!って思ったんだ。
ぼく知ってるよ。お腹すくと哀しくなるんだよね!

「おなかぺこ?」

じーっとしゃがんで見てたんだけど、ちょっと眠たくなってきちゃった頃にその子が起きた。だからその子に聞いて見たよ。

「おなかぺこり?」

その子は首を傾げていたので、色々言い換えてみた。やっぱりちょっと哀しそうな顔だ。きっとお昼寝してたから、おやつを食べ損なっちゃったんだね。おなかすいているなら何か食べたら良いんじゃない?

すぐにだいどころまで駆けて行った。

何かないかお椅子に乗ってテーブルの上を実てみる。「あんぱん」あったかな。「くりーむぱん」でも良いんだけど。

「おかあさーん。ぱんはー?」

おかあさんに聞きに行ったけど,お返事がない。おかあさんはお昼寝に夢中だ。どうしよう。

ふと、「いちお」の入ったかごが見えた。あれは、いくつ食べてよいかわからないやつだ。

じっと見ていたら僕はひらめいた!

ぼくが沢山食べちゃうと「おなかこわす」っておかあさんに言われるんだけど、ぼくが食べるのじゃなければ良いんじゃない?

あっ、でも、あの子も沢山食べたら「お腹ピー」になっちゃうかな?ぼくよりちょっと大きく見えるよ。大きいさんなら、大丈夫なんじゃない?

「いちお」のかごを持っておにわに飛び出した。

その子はまだおにはにいたよ。きのところにもたれ掛かってポカンとしてた。ぼくはいちおの入ったかごの中身を、その子に見せた。

「けいのいちおあげる」
「くれるの?」

「うん!」

さいしょ不思議そうな顔をしていたけど、そおっと手をのばして「いちお」を指でつまんだ。そして「いちお」をひとつ食べてくれた。

「甘い。」
「えへへ。」

その子は「いちお」を食べたら、おめめをパチパチしてびっくりした顔をした。
おなかがすいているのなおったかなぁ。

「よい子の『けい』に良い事がありますように。」

その子は、るちりゅって名前だったんだけど、るちりゅがぼくの頭の上に手を乗せてそういってくれたら、なにか、頭の中にカチリって何か開くみたいな感じがしてから
目の前にキラキラしたものが降って来た。凄いキレイ!

るちりゅが、「おいのり」してくれたからだって思って、ぼくも、るちりゅに「おいのり」してみた。まねっこだよ!

「るちりゅにもよいことあいますように!」

ぼくがそう言ったら、また目の前にキラキラしたものが降って来た。

わぁ~!キレイ!ってまた思ったんだけど、キラキラが消える頃にるちりゅの姿も見えなくなっちゃったんだ。

るちりゅ、かえったのかな。

こういう時はなんていうんだっけ。

「いってらっしゃー。」

るちりゅがどっちに行ったのかわからなかったから、適当にあちこちに向かって手を振ってみた。うん、一杯手を振ったからきっと大丈夫でしょう!

またあえるかな~。
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