半分異世界

月野槐樹

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第18章 彗汰1

第206話 だれかきた

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ぼくは、ながみけいた。にさいだよ。

大好きなのはおとうさん、おかあさん、そしてジェイにい。
ジェイにいは、ぼくのおにいちゃんではないけど、お兄ちゃんのようなものなんだって。
そしてぼくには本当のおにいちゃんもいるんだって。おかあさんが言ってたんだ。

良くわからないけど、ちょっとだけ判る。
ジェイにいは、一緒のおうちに住んでいないんだ。おとうさんとおかあさんはぼくと一緒のおうちに住んでいるのにジェイにいだけ別におうちがあるんだ。

多分「本当のおにいちゃん」だと、一緒のおうちに住むんじゃないかな。
でも、それだと「本当のおにいちゃん」という人が、今一緒のおうちにいないのが変なだよね。

お出かけしてるんだって。遠くに!おかあさんがそう言ってた。

遠くにお出かけはぼくもしたことがあるよ!おとうさんが運転するくるまにのって、草の上に石が沢山生えているところに行ったんだ。黒っぽい石とか白っぽい石とかがにょきにょき生えてたよ。生えている石のまわりに、なんかね、フラフラした人達とかふわふわ飛んでいる人達が沢山いるところなんだ。

沢山並んでいる石の中に、ジェイにいが大事にしている石があるみたい。「おはか」って言ってた。

「けいにいちゃんのおはか」って言うらしいんだけど、なんだかちょっとふしぎな場所だったんだ。

ジェイにいは、ぼそぼそと小さい声で「おはか」に話しかけてるんだけど、その声がなぜだかぼくの後ろ頭から響いてくるんだ。ぐわんぐわん響いてくるんだよ。

ぐわんぐわんして何をいっているか良くわからなかったけど、ジェイにいの悲しそうな声が響いて来て、ぼくまで悲しい気持ちになってきちゃったよ。

「おはか」に行ったとき、「おじさん」と「おばさん」も一緒だった。

「おじさん」と「おばさん」に会ったら抱きついちゃった。だってなんだかそうしたかったんだ。

「おじさん」は僕を抱っこしてくれた。「おばさん」はちょっと困ったような顔をして指の先っぽで僕の頭を撫でてくれた。
「おばさん」にも抱っこしてもらいたかったなぁ。

その「おはか」は結構遠い所にあるんだと思う。くるまに乗っていたら眠くなっちゃったからどのくらい遠いのかわからないんだけど。

その「おはか」よりずっと遠いところに「本当のお兄ちゃん」がいるんだって。
「おはか」より遠いんだったら、もっともっと沢山くるまに乗っていないといけないから、なかなかおうちに帰って来れないんだろうなぁ。

時々あそびにくる「ワイちゃ」も好き。面白くて格好いいんだ!

テレビに出ていてマジンと戦う人にちょっと似てるんだよ。
ワイちゃとジェイにいはなかよしなんだ。二人で一緒に居るときにはぼくともあそんでくれるんだよ。

「おはか」のある所から帰ってきた後、おとうさんもおかあさんも忙しそうだった。

「かいごう」というおはなしのとき、おとうさんとおかあさんはなんだか嫌そうな顔をしていたんだ。

「かいごう」さんはいじわるな人なのかな。

「おはか」に行った次の日くらいに、おにわに変な子がいるのに気がついた。

ちょうどおかあさんがおやつに「いちお」を出してくれた後だった。


「いくつー?」

ぼくの小さい透明なおさらを握りしめて、おかあさんに聞きにいった。

「いちお」はかごの中に入っていて、ぼくの分はおかあさんが透明なお皿に載せてくれるんだ。「いくつー?」って聞くと、おかあさんが「ひとーつ、ふたーつ」って言いながら、ぼくが持っているお皿に「いちお」を乗せて行ってくれるんだよ。

だからその時も「いくつー?」って言ったらおかあさんがお皿に乗せてくれるって思ったんだ。台所からおかあさんがいる広いお部屋の方に向かって声をかけたけどお返事がなかった。

あれー?って思って、行ってみたら、おかあさんはひなたぼっこしてお昼寝してたみたい。
どうしよう。

「おやつ食べなさい。」ってさっき言ってたよね。食べてよいのかな。

かごの中の「いちお」を見つめて悩んでいたら、おにはの方で何か音がした。ことりさんが来たのかな。ねこさんかな。

ときどき、ことりさんやねこさんがくるんだ。
そうっと見ないと、びっくりしてすぐにいなくなっちゃうんだよ。だから、足音立てないようにそうっとおくつをはいて、そうっとドアをあけて、そうっとおにわに出てみた。
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