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第11章 16 悪魔のような娘
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「え・・?」
グレースはその話を聞いて頭の中が真っ白になった。
「そ、そんな・・・嘘よねっ?!」
グレースの母は悲鳴交じりの声を上げた。その顔は恐怖で引きつっている。
「イワンという少年は・・・昨日我が家に来た時から顔色が良くなかった・・そしてその後・・お前の部屋から出てきた時・・彼は泣いていたんだぞっ?!グレースッ!お前・・一体彼に何をしたんだっ?!イワンが自殺したのは・・お前のせいじゃないのかっ?!」
父はグレースを指さし・・怒鳴りつけた。
「知らない・・・私は何も知らないわよっ!イワンが・・イワンが勝手に自殺したんでしょう?!何故私のせいになるのよっ!」
グレースは髪を振り乱しながら叫んだ。しかし、心の中では果てしなく焦りを感じていた。
(そんな・・イワンが自殺したなんて・・・っ!あれほどフィールズ家に行って・・自分の罪を告白してくるように言ったのに・・・私の言いつけを無視して勝手に自殺するなんて・・・っ!このままじゃ・・今にルドルフとエドガーに・・っ!)
今、まさにこの瞬間・・・グレースは悪魔そのものであると言えた。自分がイワンを追い詰めたせいで彼が死んでしまったと言うのに、少しもそのことに対して罪悪感も・・謝罪の気持ちすら持ち合わせてはいなかったのだ。ただ・・どうすれば自分の身を守れるか・・その事しかグレースの頭の中には無かったのである。
そんなグレースのよこしまな考えにきづいたのか・・グレースの父が怒声を上げた。
「グレース・・・何を考えているんだ・・?いいか、本当の事を言え。何をしたのかは知らないが、お前がイワンを自殺においやったんじゃないのか?!」
「だから違うって言ってるでしょうっ?!」
すると・・・・。
「グレースッ!!い、いい加減にして・・・っ!」
それまで2人の会話を黙って聞いていたグレースの母は涙を流しながら叫んだ。
「あんた・・まだそんな事を平気で言うのかいっ?!フィールズ家の令嬢の足があんな風になったのも・・あんたがイワンに入れ知恵をしたからだろう?!蜂の巣を叩き落とさせ・・・令嬢の乗っている馬を驚かせて落馬させて大怪我を負わせたのも!あの教会の火事だって・・火のついた薪を持っていたのはあんただったんでしょう?!それをイワンが止めようとして腕を強く握りしめ・・あんたが薪を落とした・・・。そうなんだろうっ?!」
「な・・何だってっ?!そ、その話は・・本当なのかっ?!」
グレースの父はあまりにも衝撃的な話にめまいを起こしそうになった。
「あ・・何で・・その話を知ってるのよ・・・ま、まさか・・私とイワンの会話を盗み聞きしていたのねっ?!酷いっ!最低よ・・・っ!」
グレースは母親に食ってかかった。
「いい加減にしろっ!グレースッ!」
パンッ・・・!
その瞬間、うす暗い部屋に乾いた音が響き渡った。父が・・・グレースの頬を叩いたのだ。
「な・・何するのよ・・ただでさえ。・・やけどで皮膚がひきつれて痛いって言うのに・・その私の頬を叩くなんて・・っ!」
「黙れっ!当然の事だっ!お前は・・とんでもない罪を犯してくれた!今すぐ、警察へ行くんだっ!」
「はぁっ?!警察ですって?!冗談じゃないわっ!ヒルダが怪我をしたのも・・教会が焼けたのも・・イワンが自殺したのも、全部私には関係ない事よっ!」
未だに自分の罪を少しも認めないグレースを見て・・・ついにグレースの父は・・・我慢の限界に達してしまった。
(駄目だ・・・ここにいるのは・・俺の娘などではない・・悪魔だ・・・!)
グレースの父は・・無言でグレースに近付いた―。
グレースはその話を聞いて頭の中が真っ白になった。
「そ、そんな・・・嘘よねっ?!」
グレースの母は悲鳴交じりの声を上げた。その顔は恐怖で引きつっている。
「イワンという少年は・・・昨日我が家に来た時から顔色が良くなかった・・そしてその後・・お前の部屋から出てきた時・・彼は泣いていたんだぞっ?!グレースッ!お前・・一体彼に何をしたんだっ?!イワンが自殺したのは・・お前のせいじゃないのかっ?!」
父はグレースを指さし・・怒鳴りつけた。
「知らない・・・私は何も知らないわよっ!イワンが・・イワンが勝手に自殺したんでしょう?!何故私のせいになるのよっ!」
グレースは髪を振り乱しながら叫んだ。しかし、心の中では果てしなく焦りを感じていた。
(そんな・・イワンが自殺したなんて・・・っ!あれほどフィールズ家に行って・・自分の罪を告白してくるように言ったのに・・・私の言いつけを無視して勝手に自殺するなんて・・・っ!このままじゃ・・今にルドルフとエドガーに・・っ!)
今、まさにこの瞬間・・・グレースは悪魔そのものであると言えた。自分がイワンを追い詰めたせいで彼が死んでしまったと言うのに、少しもそのことに対して罪悪感も・・謝罪の気持ちすら持ち合わせてはいなかったのだ。ただ・・どうすれば自分の身を守れるか・・その事しかグレースの頭の中には無かったのである。
そんなグレースのよこしまな考えにきづいたのか・・グレースの父が怒声を上げた。
「グレース・・・何を考えているんだ・・?いいか、本当の事を言え。何をしたのかは知らないが、お前がイワンを自殺においやったんじゃないのか?!」
「だから違うって言ってるでしょうっ?!」
すると・・・・。
「グレースッ!!い、いい加減にして・・・っ!」
それまで2人の会話を黙って聞いていたグレースの母は涙を流しながら叫んだ。
「あんた・・まだそんな事を平気で言うのかいっ?!フィールズ家の令嬢の足があんな風になったのも・・あんたがイワンに入れ知恵をしたからだろう?!蜂の巣を叩き落とさせ・・・令嬢の乗っている馬を驚かせて落馬させて大怪我を負わせたのも!あの教会の火事だって・・火のついた薪を持っていたのはあんただったんでしょう?!それをイワンが止めようとして腕を強く握りしめ・・あんたが薪を落とした・・・。そうなんだろうっ?!」
「な・・何だってっ?!そ、その話は・・本当なのかっ?!」
グレースの父はあまりにも衝撃的な話にめまいを起こしそうになった。
「あ・・何で・・その話を知ってるのよ・・・ま、まさか・・私とイワンの会話を盗み聞きしていたのねっ?!酷いっ!最低よ・・・っ!」
グレースは母親に食ってかかった。
「いい加減にしろっ!グレースッ!」
パンッ・・・!
その瞬間、うす暗い部屋に乾いた音が響き渡った。父が・・・グレースの頬を叩いたのだ。
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「はぁっ?!警察ですって?!冗談じゃないわっ!ヒルダが怪我をしたのも・・教会が焼けたのも・・イワンが自殺したのも、全部私には関係ない事よっ!」
未だに自分の罪を少しも認めないグレースを見て・・・ついにグレースの父は・・・我慢の限界に達してしまった。
(駄目だ・・・ここにいるのは・・俺の娘などではない・・悪魔だ・・・!)
グレースの父は・・無言でグレースに近付いた―。
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