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2章 8 望郷の思い
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夕方4時―
薪ストーブの火は赤々と燃え、ストーブの上に乗った鉄のやかんからは蒸気が出ている。ヒルダは薪ストーブの前でロッキングチェアに座り、慣れない手つきで編み物をしていた。今ヒルダが編んでいるのは毛糸の靴下である。アレンから足をあまり冷やさないように言われていたので自分で靴下を編んで履いていようと思ったからであった。
「編み物って難しいわ・・。」
ヒルダは編み図を見ながら呟いた時・・・・。
コンコン
ドアをノックする音が聞こえた。
(まさか・・ステラさん?また来たのかしら・・・。)
足を引きずるように玄関まで出てドアをガチャリと開けると、やはりそこに立っていたのはステラだった。
「こんにちは、ヒルダさん!」」
学校指定の濃紺のコートに身を包んだステラは白い息を吐きながら笑顔でヒルダを見た。
「こんにちは・・・。ステラさん、ひょっとして今日も・・?」
「ええ!今日の分のノートを持って来たの!受け取ってくれる?」
言いながらステラはヒルダに真新しいノートを手渡してきた。
「ステラさん・・。毎回新しいノートを持って来て貰うのは悪いわ・・・。」
ヒルダは申し訳なさそうに言う。でもそこである事を思いついた。今日、ヒルダはランチとして、手作りのスコーンを作ったのである。多めに作ったのでまだ6個残っていた。
「ステラさん、今も御者の人を待たせているの?」
「ええ。だから・・・ここで失礼するわ。あ、そうだ明日もノートを持って来るわね。それじゃ・・あまり御者の人を待たせてはいけないものね?」
ステラはヒルダが昨日言った台詞をまねて、帰りかけた時ヒルダは声を掛けた。
「ステラさん、少し待っていただける?」
「え、ええ・・・。」
ヒルダはステラを玄関で待たせて自室へ向かい、借りたノートを机におき、代わりに昨日借りたノートを持って部屋を出ると、今度はキッチンへ向かった。そして皿に乗せておいたスコーンを2個紙袋に入れてステラの元へ戻った。
「ステラさん。昨日のノート有難う。後・・これなんだけど・・私が焼いたスコーンなの。良かったら・・・食べて。」
少し照れながらヒルダは紙袋をステラに渡した。すると、途端にステラの顔は真っ赤になる。
「え・・・?ヒ、ヒルダさん・・・また私に手作りの食べ物をくれるの・・・?」
「ええ。・・ステラさんお口に合えばいいけど・・・。」
「そんなっ!ヒルダさん、昨日いただいたクッキー、とっても美味しかったわっ!私あまりにも勿体ないと思って1枚しか食べていないのよ?」
「そ、そうなの・・・?でも・・・あまり日持ちしないから今日中には食べた方がいいかもしれないわ。」
ヒルダはステラの勢いに押されながら言う。
「ええ、ええ、そうね。何と言っても今日はさらにスコーン迄頂いたのだから今日中にクッキーは食べ終えるわ。ありがとう、ヒルダさんっ!」
そしてステラは大袈裟に腕をブンブン振ると帰って行った。ステラが帰った後、ヒルダはため息をついた。
「ふう・・それにしても・・・ステラさんて随分賑やかな人なのね・・・。」
ステラは今迄ヒルダの周囲にはいないタイプの少女だった。シャーリーはヒルダの一番の親友であったが、ステラとは性格が異なる。シャーリーは冷静沈着で、まるで騎士の様に格好良い少女だった。
「シャーリー・・・元気にしているのかしら・・・。スコットさんとの恋は・・うまくいったのかしら・・。」
ヒルダはリビングに戻りながら呟いた。昼間にカミラ宛てに届いた母からの手紙を目にしたヒルダは久しぶりに望郷の念に駆られてしまったようだ。
「駄目ね・・・。私ったら・・・もう帰らないと決めたのに・・・。故郷の事は・・忘れなくちゃいけないのに・・。」
そしてヒルダは悲し気に窓の外を眺めた。その景色はカウベリーとは正反対の大都会の町並みだった。
ヒルダは思った。
カウベリーのあの自然にあふれる美しい景色が懐かしい・・・と―。
薪ストーブの火は赤々と燃え、ストーブの上に乗った鉄のやかんからは蒸気が出ている。ヒルダは薪ストーブの前でロッキングチェアに座り、慣れない手つきで編み物をしていた。今ヒルダが編んでいるのは毛糸の靴下である。アレンから足をあまり冷やさないように言われていたので自分で靴下を編んで履いていようと思ったからであった。
「編み物って難しいわ・・。」
ヒルダは編み図を見ながら呟いた時・・・・。
コンコン
ドアをノックする音が聞こえた。
(まさか・・ステラさん?また来たのかしら・・・。)
足を引きずるように玄関まで出てドアをガチャリと開けると、やはりそこに立っていたのはステラだった。
「こんにちは、ヒルダさん!」」
学校指定の濃紺のコートに身を包んだステラは白い息を吐きながら笑顔でヒルダを見た。
「こんにちは・・・。ステラさん、ひょっとして今日も・・?」
「ええ!今日の分のノートを持って来たの!受け取ってくれる?」
言いながらステラはヒルダに真新しいノートを手渡してきた。
「ステラさん・・。毎回新しいノートを持って来て貰うのは悪いわ・・・。」
ヒルダは申し訳なさそうに言う。でもそこである事を思いついた。今日、ヒルダはランチとして、手作りのスコーンを作ったのである。多めに作ったのでまだ6個残っていた。
「ステラさん、今も御者の人を待たせているの?」
「ええ。だから・・・ここで失礼するわ。あ、そうだ明日もノートを持って来るわね。それじゃ・・あまり御者の人を待たせてはいけないものね?」
ステラはヒルダが昨日言った台詞をまねて、帰りかけた時ヒルダは声を掛けた。
「ステラさん、少し待っていただける?」
「え、ええ・・・。」
ヒルダはステラを玄関で待たせて自室へ向かい、借りたノートを机におき、代わりに昨日借りたノートを持って部屋を出ると、今度はキッチンへ向かった。そして皿に乗せておいたスコーンを2個紙袋に入れてステラの元へ戻った。
「ステラさん。昨日のノート有難う。後・・これなんだけど・・私が焼いたスコーンなの。良かったら・・・食べて。」
少し照れながらヒルダは紙袋をステラに渡した。すると、途端にステラの顔は真っ赤になる。
「え・・・?ヒ、ヒルダさん・・・また私に手作りの食べ物をくれるの・・・?」
「ええ。・・ステラさんお口に合えばいいけど・・・。」
「そんなっ!ヒルダさん、昨日いただいたクッキー、とっても美味しかったわっ!私あまりにも勿体ないと思って1枚しか食べていないのよ?」
「そ、そうなの・・・?でも・・・あまり日持ちしないから今日中には食べた方がいいかもしれないわ。」
ヒルダはステラの勢いに押されながら言う。
「ええ、ええ、そうね。何と言っても今日はさらにスコーン迄頂いたのだから今日中にクッキーは食べ終えるわ。ありがとう、ヒルダさんっ!」
そしてステラは大袈裟に腕をブンブン振ると帰って行った。ステラが帰った後、ヒルダはため息をついた。
「ふう・・それにしても・・・ステラさんて随分賑やかな人なのね・・・。」
ステラは今迄ヒルダの周囲にはいないタイプの少女だった。シャーリーはヒルダの一番の親友であったが、ステラとは性格が異なる。シャーリーは冷静沈着で、まるで騎士の様に格好良い少女だった。
「シャーリー・・・元気にしているのかしら・・・。スコットさんとの恋は・・うまくいったのかしら・・。」
ヒルダはリビングに戻りながら呟いた。昼間にカミラ宛てに届いた母からの手紙を目にしたヒルダは久しぶりに望郷の念に駆られてしまったようだ。
「駄目ね・・・。私ったら・・・もう帰らないと決めたのに・・・。故郷の事は・・忘れなくちゃいけないのに・・。」
そしてヒルダは悲し気に窓の外を眺めた。その景色はカウベリーとは正反対の大都会の町並みだった。
ヒルダは思った。
カウベリーのあの自然にあふれる美しい景色が懐かしい・・・と―。
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