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26 ジェイクの作戦
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「ど、どういうことですか……?」
震える声でジェイクに尋ねた。
「ユリアナ。ミレーユの僅かな記憶を覚えているだろう? 彼女が城を出るときに何があったのか」
「……はい、知っています……ミレーユは、自分の父親である国王陛下を殺害した罪で追われて逃げました……」
「そうだ。しかもその日はよりにもよって、俺がミレーユを連れて城から連れ出す日だったんだ。何故、そんな日に偶然ミレーユが殺人を犯す? しかも自分の父親を」
「ジェイクさん……?」
「元々は、ミレーユは誰にも知られないように秘密裏に城を抜け出すことになっていた。それなのに殺人という罪を犯して騒ぎを大きくするのはおかしいだろう?」
「た、たしかに……そうですが……」
ジェイクは一体何を言いたいのだろう?
「国王には正妃と側妃がいた。そして正妃の娘がミレーユだ。そして彼女には弟がいたのだが……第二王子のカール殿下は戦場で戦死している」
「そう……だったのですか……」
ミレーユの弟が戦死……気の毒ではあるが、私はミレーユでは無いので悲しみの感情は込み上げてくることはなかった。
けれど……
「あの、第二王子ということは……? 第一王子はもしかして……」
「そう、第一王子は側妃が産んだ息子……アロイス第一王子だ。他に二人の妹がいる。国王は正妃の産んだカール殿下に王位を譲ろうとしていたのだが、彼の戦死により……それは叶わなかった。だが、彼の戦死は仕組まれたものだと言われている」
「え……? もしかして……」
「そう、アロイス第一王子の罠によって戦死したと言われている。そしてミレーユはずっとそのことを疑っていた。もちろん王子はそんなミレーユを疎ましく思っていたに違いない。国王の耳にも当然その噂が入り……アロイス第一王子には王位を譲らないと言い出したんだ」
「それは、面白くない話だったでしょうね」
自分が長男でありながら、王位を継がせないと言われれば邪魔に思うだろう。まして側妃の子供であれば、卑屈に育ってしまった可能性もある。
「そして、ミレーユが城を抜け出す夜に……国王が殺害され、すぐ側にいた彼女が犯人だとして追われる立場になってしまった。そして最終的に国王になったのはアロイスなんだ。彼はずっと自分を疑ってきたミレーユが……邪魔だったんじゃないか? しかも炎の魔法の使い手で戦場に立っているのだから」
「まさか……」
ジェイクの話にピンときた。
「そうだ、みんな口では、はっきり言わないが……前国王を殺害したのはアロイスだと言われている。ミレーユは行方不明で生死不明とされてしまった。ユリアナが報復したい者たちに近づくには、ミレーユの身体で『モルス』国に戻るのが一番だと思わないか?」
「ジェイクさん……」
「モルスは今現在、タリスと戦っている。そこには君の敵もいるだろう?」
「ええ、そうですね」
「彼らはまさかミレーユの中身が、実はユリアナだと知るはずもない。俺がミレーユを連れて城に戻れば……当然騒ぎになるだろう。『タリス』にもその話は伝わるはずだ」
ジェイクの言わんとしていることが分かった。
「分かりました。ジェイクさん……私を『モルス』国に連れて行って下さい」
「ああ、分かった」
私の言葉に、ジェイクは笑みを浮かべた――
震える声でジェイクに尋ねた。
「ユリアナ。ミレーユの僅かな記憶を覚えているだろう? 彼女が城を出るときに何があったのか」
「……はい、知っています……ミレーユは、自分の父親である国王陛下を殺害した罪で追われて逃げました……」
「そうだ。しかもその日はよりにもよって、俺がミレーユを連れて城から連れ出す日だったんだ。何故、そんな日に偶然ミレーユが殺人を犯す? しかも自分の父親を」
「ジェイクさん……?」
「元々は、ミレーユは誰にも知られないように秘密裏に城を抜け出すことになっていた。それなのに殺人という罪を犯して騒ぎを大きくするのはおかしいだろう?」
「た、たしかに……そうですが……」
ジェイクは一体何を言いたいのだろう?
「国王には正妃と側妃がいた。そして正妃の娘がミレーユだ。そして彼女には弟がいたのだが……第二王子のカール殿下は戦場で戦死している」
「そう……だったのですか……」
ミレーユの弟が戦死……気の毒ではあるが、私はミレーユでは無いので悲しみの感情は込み上げてくることはなかった。
けれど……
「あの、第二王子ということは……? 第一王子はもしかして……」
「そう、第一王子は側妃が産んだ息子……アロイス第一王子だ。他に二人の妹がいる。国王は正妃の産んだカール殿下に王位を譲ろうとしていたのだが、彼の戦死により……それは叶わなかった。だが、彼の戦死は仕組まれたものだと言われている」
「え……? もしかして……」
「そう、アロイス第一王子の罠によって戦死したと言われている。そしてミレーユはずっとそのことを疑っていた。もちろん王子はそんなミレーユを疎ましく思っていたに違いない。国王の耳にも当然その噂が入り……アロイス第一王子には王位を譲らないと言い出したんだ」
「それは、面白くない話だったでしょうね」
自分が長男でありながら、王位を継がせないと言われれば邪魔に思うだろう。まして側妃の子供であれば、卑屈に育ってしまった可能性もある。
「そして、ミレーユが城を抜け出す夜に……国王が殺害され、すぐ側にいた彼女が犯人だとして追われる立場になってしまった。そして最終的に国王になったのはアロイスなんだ。彼はずっと自分を疑ってきたミレーユが……邪魔だったんじゃないか? しかも炎の魔法の使い手で戦場に立っているのだから」
「まさか……」
ジェイクの話にピンときた。
「そうだ、みんな口では、はっきり言わないが……前国王を殺害したのはアロイスだと言われている。ミレーユは行方不明で生死不明とされてしまった。ユリアナが報復したい者たちに近づくには、ミレーユの身体で『モルス』国に戻るのが一番だと思わないか?」
「ジェイクさん……」
「モルスは今現在、タリスと戦っている。そこには君の敵もいるだろう?」
「ええ、そうですね」
「彼らはまさかミレーユの中身が、実はユリアナだと知るはずもない。俺がミレーユを連れて城に戻れば……当然騒ぎになるだろう。『タリス』にもその話は伝わるはずだ」
ジェイクの言わんとしていることが分かった。
「分かりました。ジェイクさん……私を『モルス』国に連れて行って下さい」
「ああ、分かった」
私の言葉に、ジェイクは笑みを浮かべた――
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