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27 昔話
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ジェイクの話では私を『モルス』国へ連れて行くには、それなりの準備が必要だということで取り敢えずは彼の故郷『ランカスター』公国へ行くことが決定した。
『ランカスター』公国は『モルス』国に隣接しており、どのみち通り抜けるのだから、そこで念入りに準備をしようとのことだった。
馬車を手に入れるのは意外と容易だった。ここ『ウィスタリア』地区では戦争下にありながら、宝石が高値で取引されていた。
そこで手持ちのダガーに取り付けてあった宝飾を馬車屋に見せると、店主は目の色を変えた。そして二つ返事で、幌付きに馬一頭をつけた荷馬車とダガーを交換してくれたのだった。
そして水や保存食を買い集め、私達は翌日に『ウィスタリア』地区を旅立った――
****
ガラガラと音を立てて、私達を乗せた荷馬車が荒野を進む。
「……本当に……どこもかしこも戦争のせいで土地が荒れ果てていますね」
何もない、荒涼とした大地を見つめながら私はポツリと呟いた。ジェイクの話によると、ここは五年ほど前に酷い戦争が起こった場所であり……町が一つ、滅んでしまったらしい。
「そうだな。俺が子供の頃は、こんな酷い世界じゃなかったのに……こうなったのも全ての元凶は十年前のあの事件が……あ、ごめん……別にユリアナを責めているわけじゃないんだ。何しろ、君たちが一番の被害者だったのだから」
ジェイクが私に気を使う。
「いえ、大丈夫です。何とも思っていませんから。やはり、一番の元凶は……」
「ああ、『タリス』王国が仕組んだことだろう。国王は第四王女を利用して、君の婚約者であるクラウス王子に近づき、『アレス』王国を支配下に置いたんだ。そして戦争を起こした」
ジェイクの話は続く。
「今まで、ユリアナには言わないでいたが……クラウス王子とオフィーリア王女の仲はうまくいっていないらしい。二人の間には子供もいないそうだ」
「あの、クラウス王子は……まだ王子のままということはまだ国王は現役ということですか? それとも第一王子が存命で、彼が王位を継いだとか……?」
「国王はまだ健在だ。それに……どうやらクラウス王子は王位継承権を剥奪されたとも言われている」
「え!? 本当ですか!」
「そうだ。今は離宮に押し込められているらしい。だが、当然だろう。クラウス王子のせいで、『タリス』王国の属国のような扱いになってしまったのだから。本当なら処刑されてもおかしくない罪だと俺は思っている。クラウス王子はどんな人物だった?」
不意にジェイクが尋ねてきた。
「クラウス王子ですか……?」
私は彼のことを思い出した。いつも何かにつけ、彼は私に文句ばかり言ってきた。女のくせに剣を握るなとか、自分よりも強くなるな……等々。
「あの方は……私の能力が自分より劣っていなければ何もかも認めない方でした……とても、器の小さい男の人でした」
「なるほど。だからこそ、騙されたのかもしれないな。……それは自業自得かもしれないが……君と、そして君の一族を犠牲にしたのは許せない。何より、その愚かな男の行動でこの戦争が始まったのだから……」
ジェイクは悔しそうに歯を食いしばリ、次に私を見た。
「俺たちもユリアナ同様被害者だ。必ず奴らに報復しよう、どんなことでも協力するからな」
そしてジェイクは笑顔を見せた――
『ランカスター』公国は『モルス』国に隣接しており、どのみち通り抜けるのだから、そこで念入りに準備をしようとのことだった。
馬車を手に入れるのは意外と容易だった。ここ『ウィスタリア』地区では戦争下にありながら、宝石が高値で取引されていた。
そこで手持ちのダガーに取り付けてあった宝飾を馬車屋に見せると、店主は目の色を変えた。そして二つ返事で、幌付きに馬一頭をつけた荷馬車とダガーを交換してくれたのだった。
そして水や保存食を買い集め、私達は翌日に『ウィスタリア』地区を旅立った――
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ガラガラと音を立てて、私達を乗せた荷馬車が荒野を進む。
「……本当に……どこもかしこも戦争のせいで土地が荒れ果てていますね」
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ジェイクが私に気を使う。
「いえ、大丈夫です。何とも思っていませんから。やはり、一番の元凶は……」
「ああ、『タリス』王国が仕組んだことだろう。国王は第四王女を利用して、君の婚約者であるクラウス王子に近づき、『アレス』王国を支配下に置いたんだ。そして戦争を起こした」
ジェイクの話は続く。
「今まで、ユリアナには言わないでいたが……クラウス王子とオフィーリア王女の仲はうまくいっていないらしい。二人の間には子供もいないそうだ」
「あの、クラウス王子は……まだ王子のままということはまだ国王は現役ということですか? それとも第一王子が存命で、彼が王位を継いだとか……?」
「国王はまだ健在だ。それに……どうやらクラウス王子は王位継承権を剥奪されたとも言われている」
「え!? 本当ですか!」
「そうだ。今は離宮に押し込められているらしい。だが、当然だろう。クラウス王子のせいで、『タリス』王国の属国のような扱いになってしまったのだから。本当なら処刑されてもおかしくない罪だと俺は思っている。クラウス王子はどんな人物だった?」
不意にジェイクが尋ねてきた。
「クラウス王子ですか……?」
私は彼のことを思い出した。いつも何かにつけ、彼は私に文句ばかり言ってきた。女のくせに剣を握るなとか、自分よりも強くなるな……等々。
「あの方は……私の能力が自分より劣っていなければ何もかも認めない方でした……とても、器の小さい男の人でした」
「なるほど。だからこそ、騙されたのかもしれないな。……それは自業自得かもしれないが……君と、そして君の一族を犠牲にしたのは許せない。何より、その愚かな男の行動でこの戦争が始まったのだから……」
ジェイクは悔しそうに歯を食いしばリ、次に私を見た。
「俺たちもユリアナ同様被害者だ。必ず奴らに報復しよう、どんなことでも協力するからな」
そしてジェイクは笑顔を見せた――
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