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4 女性の正体
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「クラウス殿下……今のお言葉は本気ですか?」
「ああ、本気だ。今の今までお前と言う婚約者に我慢をしてきたが……もう限界だ。俺には本気で好きになった女性がいるのだからな」
そして目の前の女性の肩を更に抱き寄せるクラウス。
「ですが、私と殿下の婚約が何を意味するのかは分かっておいでですよね?国王陛下はこのことをご存じなのですか?」
「いや?父上がそのようなこと知るはずも無い。何しろ結婚するのはこの俺だ。つまり、婚約を破棄するのだって俺の意思が通って良いはずだろう?」
私はクラウスのあまりの言動に目眩がしてきた。こちらだって、本当なら彼のような男だけはお断りだ。しかし、国王陛下から直々に私はクラウスとの婚約を命じられたのだ。はい、そうですかとあっさり受け入れるわけにはいかない。
それに……。
私は先ほどからクラウスの側からピタリと張り付いている女性が気がかりでならなかった。一体彼女は何者なのだろうか?
「あの、クラウス殿下。一つお伺いしたいことがあるのですが……」
「何だと?この俺に聞きたいことがあるだと?随分図々しい女だ」
露骨に軽蔑の眼差しを私に向けて来るクラウスに、女性が声を掛けて来た。
「まぁ。落ち着いてください、クラウス様。あの方は仮にもまだ婚約者なのですよね?その様な態度を取られるのはあまり宜しくないと思いますよ?」
「そうか、そなたは本当に心の優しい女性だな。オフィーリア」
「フフフ……それほどでもありません」
「そうですか、貴女はオフィーリアというお名前の方なのですね?それで、どちらのオフィーリア様なのでしょうか?宜しければ出自をお教え願いませんか?」
「ユリアナッ!貴様……何と図々しい!」
「落ち着いてください、クラウス様。確かに自己紹介くらいしなければなりません。ユリアナ様の仰ることはもっともです」
激高するクラウスを宥めると、オフィーリアと呼ばれた女性は私に向き直った。
「初めましてお目にかかります、ユリアナ様。私は隣国『タリス』王国の第四王女、オフィーリア・ル・ヴァリエと申します」
「え?!ま、まさか……『タリス』王国の王女?!」
その言葉に耳を疑った。
「あら?やはり気付かれましたか?流石は女性騎士でいらっしゃいますね?」
ニコリと笑みを浮かべるオフィーリア。
それは知っていて当然のことだ。元々『アレス』王国と『タリス』王国は昔は一つの国だった。
しかし、ある時王位継承権を巡って争いが起こった。
争いの中心となったのが、側室の母親を持つ第一王子対正妃の息子である第二王子であった。
第二王子は第一王子が王位継承することに不服を抱き、反乱を起こしたのである。しかし、数年にわたる戦いでも決着はつかずに被害は拡大した。そしてついに国は分断されて二つの王国が出来上がり……現在に至っているのだった。
「そ、そんな……『タリス』王国とは冷戦状態なのですよ?その様な方を選ぶとは……!」
「黙れ!」
私の訴えはクラウスの一喝でかき消されてしまった。
「とにかく、婚約破棄は決定だ!分かったな!俺はオフィーリアを愛しているのだ!彼女意外とは誰とも結婚するつもりはない!分かったならさっさとここから出て行け!」
激昂するクラウス。こうなってしまうと手がつけられない。もう駄目だ。私の訴えなど、クラウスは聞くつもりも無いのだろう。
「わ、分かりました……。とりあえず私一人の一存では決められないので……今回の件は持ち帰らせて頂きます」
「ふん!公爵家が何と言おうと、俺たちの婚約破棄は決定事項だ!分かったらさっさとここから出ていけ!」
「はい、分かりました。それでは失礼致します」
挨拶をすると、私はまるで追い払われるように大広間を後にした――。
「ああ、本気だ。今の今までお前と言う婚約者に我慢をしてきたが……もう限界だ。俺には本気で好きになった女性がいるのだからな」
そして目の前の女性の肩を更に抱き寄せるクラウス。
「ですが、私と殿下の婚約が何を意味するのかは分かっておいでですよね?国王陛下はこのことをご存じなのですか?」
「いや?父上がそのようなこと知るはずも無い。何しろ結婚するのはこの俺だ。つまり、婚約を破棄するのだって俺の意思が通って良いはずだろう?」
私はクラウスのあまりの言動に目眩がしてきた。こちらだって、本当なら彼のような男だけはお断りだ。しかし、国王陛下から直々に私はクラウスとの婚約を命じられたのだ。はい、そうですかとあっさり受け入れるわけにはいかない。
それに……。
私は先ほどからクラウスの側からピタリと張り付いている女性が気がかりでならなかった。一体彼女は何者なのだろうか?
「あの、クラウス殿下。一つお伺いしたいことがあるのですが……」
「何だと?この俺に聞きたいことがあるだと?随分図々しい女だ」
露骨に軽蔑の眼差しを私に向けて来るクラウスに、女性が声を掛けて来た。
「まぁ。落ち着いてください、クラウス様。あの方は仮にもまだ婚約者なのですよね?その様な態度を取られるのはあまり宜しくないと思いますよ?」
「そうか、そなたは本当に心の優しい女性だな。オフィーリア」
「フフフ……それほどでもありません」
「そうですか、貴女はオフィーリアというお名前の方なのですね?それで、どちらのオフィーリア様なのでしょうか?宜しければ出自をお教え願いませんか?」
「ユリアナッ!貴様……何と図々しい!」
「落ち着いてください、クラウス様。確かに自己紹介くらいしなければなりません。ユリアナ様の仰ることはもっともです」
激高するクラウスを宥めると、オフィーリアと呼ばれた女性は私に向き直った。
「初めましてお目にかかります、ユリアナ様。私は隣国『タリス』王国の第四王女、オフィーリア・ル・ヴァリエと申します」
「え?!ま、まさか……『タリス』王国の王女?!」
その言葉に耳を疑った。
「あら?やはり気付かれましたか?流石は女性騎士でいらっしゃいますね?」
ニコリと笑みを浮かべるオフィーリア。
それは知っていて当然のことだ。元々『アレス』王国と『タリス』王国は昔は一つの国だった。
しかし、ある時王位継承権を巡って争いが起こった。
争いの中心となったのが、側室の母親を持つ第一王子対正妃の息子である第二王子であった。
第二王子は第一王子が王位継承することに不服を抱き、反乱を起こしたのである。しかし、数年にわたる戦いでも決着はつかずに被害は拡大した。そしてついに国は分断されて二つの王国が出来上がり……現在に至っているのだった。
「そ、そんな……『タリス』王国とは冷戦状態なのですよ?その様な方を選ぶとは……!」
「黙れ!」
私の訴えはクラウスの一喝でかき消されてしまった。
「とにかく、婚約破棄は決定だ!分かったな!俺はオフィーリアを愛しているのだ!彼女意外とは誰とも結婚するつもりはない!分かったならさっさとここから出て行け!」
激昂するクラウス。こうなってしまうと手がつけられない。もう駄目だ。私の訴えなど、クラウスは聞くつもりも無いのだろう。
「わ、分かりました……。とりあえず私一人の一存では決められないので……今回の件は持ち帰らせて頂きます」
「ふん!公爵家が何と言おうと、俺たちの婚約破棄は決定事項だ!分かったらさっさとここから出ていけ!」
「はい、分かりました。それでは失礼致します」
挨拶をすると、私はまるで追い払われるように大広間を後にした――。
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