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第8章 1 アスターと私
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全員で話し合いの結果・・やはり私を囮にしてオスカーを救出する作戦に出る事になった。
「アイリス様、もう真夜中になってしまいましたが・・・今夜はこのお部屋をお使い下さい。」
ユリアナに案内された部屋は壁も床も板張りのこじんまりとした部屋だった。室内には小さな木のベッドにちょっとした身体を洗える洗い場が室内に完備されていた。
「アイリス様。今たらいをお持ちしますのでこちらでお待ち頂けますか?」
ユリアナに言われ、床がタイル張りになっている洗い場で待っていると、ユリアナが大きなアルミ製のたらいを運んできた。そしてシャワーヘッドの付いた蛇口をひねるとお湯が出てきた。
「まあ・・ここは設備が整っているのね。蛇口をひねるとお湯が出て来るなんて・・・。」
思わず感心してしまった。
「ええ・・実はこの土地の地下水を温水が流れているのです。なのでこの地域の人達はいつでもお湯を使えて身体を洗う事が出来るのですよ。もし御所望でしたらバスタブもご用意しますが・・。」
「いいえ、いいわ。皆・・・疲れているだろうからあまり負担を掛けたくないの。それよりユリアナも疲れているでしょうに・・・準備をしてくれてありがとう。」
笑みを浮かべて言うと、ユリアナは頬を赤らめて私を見た。
「あ、ありがとうございます・・アイリス様。こちら・・あまり上質な品物ではありませんが、清潔な肌着と寝間着でございます。どうぞお使いください。」
ユリアナはおずおずと私に手に持っていた衣類を渡して来た。
「ありがとうユリアナ。」
「では、明朝8時にお部屋に伺います。ごゆっくりどうぞ。」
ユリアナは頭を下げると部屋を出て行った。
「ふう・・・。」
一度部屋に戻り指輪を外して窓枠におくと再び洗い場へ向かった。
そして衣類を脱いでシャワーを浴びて1日の疲れを落とした―。
洗った髪をタオルで巻き取り、ユリアナが出してくれた寝間着を着た私は部屋に戻り、驚いた。部屋に置いてある椅子の上に金色の瞳に青い髪の美しい少年が座っていたからだ。
「え・・・?!ひょ、ひょっとして・・・アスターなの・・?」
驚きつつ声を掛けると、少年は頷いた。
「うん、そうだよ。初めて会った時この姿だったよね?良かった・・覚えていてくれて。」
子供の姿のアスターは天使のような笑顔で私を見た。
「勿論貴方を忘れるはずないわ。でも・・・何故子供の姿に戻ってしまったの?」
私も椅子に座るとアスターに尋ねた。
「悪魔との戦いで・・・大分力を失なってしまったんだ。元の力を取り戻すにはまだ時間がかかりそうなんだ。」
アスターは自分の小さくなった右手を見ながら言う。
「だったら・・もっと休んでいないと。」
しかし、アスターは首を振る。
「そんな事出来るはずがないだろう?アイリス・・・君は国王陛下に会うつもりだろう?オスカーと自分を引き換えに・・・。」
「!知っていたの・・・?」
「勿論指輪の中で聞いていたからね。だけど・・アイリス。」
アスターはどこか非難するような目で私を見ると言った。
「君はどうしてオスカーを救おうとしているの?1度目の人生では君は酷い目に合わせれたんだよ?それなのに今世では彼を許すの?それどころか助けに行くなんて・・・。」
「アスター・・・。」
返答に困っているとアスターがさらに言う。
「アイリス・・・まさか・・・とは思うけど・・オスカーを愛しているの?」
「!」
愛・・?私は・・オスカーをどう思っているのだろう・・?しかし、アスターは溜息をつくと言った。
「すぐに答えられないって事は・・・否定もしないって事なんだね・・。」
「アスター・・。私は・・。」
「いいよ・・・別に今は答えなくても・・・。アイリス、指輪は・・・常にはめておくんだよ。これは僕の分身と言っても過言ではないから。」
アスターは指輪を手に取ると、私の右手の薬指にはめると言った。
「アイリス・・・。悪魔の思考を読み取るんだろう?あいつらは心を読まれない為に複雑な思考で頭の中が溢れている。その中の真実を見つけ出すんだ。アイリスなら・・きっと出来るはずだよ。」
そしてアスターは私の右手の甲にキスを落とした―。
「アイリス様、もう真夜中になってしまいましたが・・・今夜はこのお部屋をお使い下さい。」
ユリアナに案内された部屋は壁も床も板張りのこじんまりとした部屋だった。室内には小さな木のベッドにちょっとした身体を洗える洗い場が室内に完備されていた。
「アイリス様。今たらいをお持ちしますのでこちらでお待ち頂けますか?」
ユリアナに言われ、床がタイル張りになっている洗い場で待っていると、ユリアナが大きなアルミ製のたらいを運んできた。そしてシャワーヘッドの付いた蛇口をひねるとお湯が出てきた。
「まあ・・ここは設備が整っているのね。蛇口をひねるとお湯が出て来るなんて・・・。」
思わず感心してしまった。
「ええ・・実はこの土地の地下水を温水が流れているのです。なのでこの地域の人達はいつでもお湯を使えて身体を洗う事が出来るのですよ。もし御所望でしたらバスタブもご用意しますが・・。」
「いいえ、いいわ。皆・・・疲れているだろうからあまり負担を掛けたくないの。それよりユリアナも疲れているでしょうに・・・準備をしてくれてありがとう。」
笑みを浮かべて言うと、ユリアナは頬を赤らめて私を見た。
「あ、ありがとうございます・・アイリス様。こちら・・あまり上質な品物ではありませんが、清潔な肌着と寝間着でございます。どうぞお使いください。」
ユリアナはおずおずと私に手に持っていた衣類を渡して来た。
「ありがとうユリアナ。」
「では、明朝8時にお部屋に伺います。ごゆっくりどうぞ。」
ユリアナは頭を下げると部屋を出て行った。
「ふう・・・。」
一度部屋に戻り指輪を外して窓枠におくと再び洗い場へ向かった。
そして衣類を脱いでシャワーを浴びて1日の疲れを落とした―。
洗った髪をタオルで巻き取り、ユリアナが出してくれた寝間着を着た私は部屋に戻り、驚いた。部屋に置いてある椅子の上に金色の瞳に青い髪の美しい少年が座っていたからだ。
「え・・・?!ひょ、ひょっとして・・・アスターなの・・?」
驚きつつ声を掛けると、少年は頷いた。
「うん、そうだよ。初めて会った時この姿だったよね?良かった・・覚えていてくれて。」
子供の姿のアスターは天使のような笑顔で私を見た。
「勿論貴方を忘れるはずないわ。でも・・・何故子供の姿に戻ってしまったの?」
私も椅子に座るとアスターに尋ねた。
「悪魔との戦いで・・・大分力を失なってしまったんだ。元の力を取り戻すにはまだ時間がかかりそうなんだ。」
アスターは自分の小さくなった右手を見ながら言う。
「だったら・・もっと休んでいないと。」
しかし、アスターは首を振る。
「そんな事出来るはずがないだろう?アイリス・・・君は国王陛下に会うつもりだろう?オスカーと自分を引き換えに・・・。」
「!知っていたの・・・?」
「勿論指輪の中で聞いていたからね。だけど・・アイリス。」
アスターはどこか非難するような目で私を見ると言った。
「君はどうしてオスカーを救おうとしているの?1度目の人生では君は酷い目に合わせれたんだよ?それなのに今世では彼を許すの?それどころか助けに行くなんて・・・。」
「アスター・・・。」
返答に困っているとアスターがさらに言う。
「アイリス・・・まさか・・・とは思うけど・・オスカーを愛しているの?」
「!」
愛・・?私は・・オスカーをどう思っているのだろう・・?しかし、アスターは溜息をつくと言った。
「すぐに答えられないって事は・・・否定もしないって事なんだね・・。」
「アスター・・。私は・・。」
「いいよ・・・別に今は答えなくても・・・。アイリス、指輪は・・・常にはめておくんだよ。これは僕の分身と言っても過言ではないから。」
アスターは指輪を手に取ると、私の右手の薬指にはめると言った。
「アイリス・・・。悪魔の思考を読み取るんだろう?あいつらは心を読まれない為に複雑な思考で頭の中が溢れている。その中の真実を見つけ出すんだ。アイリスなら・・きっと出来るはずだよ。」
そしてアスターは私の右手の甲にキスを落とした―。
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