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第6章 14 オスカーの発見
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あの酷い傷なら・・・それほど遠くへは行けないはず。私は正門を走り抜け、大通りに走り出た。大通りには多くの人々や馬車が行き交っている。本当は名前を呼んで探したいが、彼は指名手配犯にされている身。そんな彼を公に呼んで探すわけにはいかない。それにオスカーの髪は特徴ある真っ赤な髪の色をしている。あそこまで赤髪の人間はそうそういない。きっと彼は目立たないように姿を隠しているに違いない。
(オスカーッ!一体何所に・・・!)
私はキョロキョロと辺りを見渡し、フードを被っている人たちを片っ端から探す事にした。大丈夫・・・私には相手の心を読むことが出来る不思議な指輪をはめているのだからきっとオスカーを見つける事が出来るはず・・・っ!
ふと、前方にフード付きのマントを被って歩いている人物を発見した。
(まさか!オスカーッ?!)
私はその人物に駆け寄り、グイッと右手で袖を引いた。
「うわっ!な・何だっ?!」
振り向いた人物は見知らぬ男性だった。
「あ・・・も、申し訳ございません・・・。人を探しておりまして・・勘違いでした・・。」
するとその男性は不審そうな目を私に向けるが、歩き去って行った。その後も身を隠すような恰好をした人物を次々と探し続けたが・・オスカーは一向に見つからない。
「オスカー様・・・一体何所へ・・。」
疲れ切った私は噴水前広場の前のベンチに座り、ため息をついた。もう3時間近く市中を探し回り、ヘトヘトに疲れ切ってしまい立ち上がる気力も出なかった。ベンチに座ったまま何気なくあたりの風景を眺めていた時、噴水の向こう側のベンチにフードを目深にかぶり、うずくまっている人物がいることに気が付いた。
(まさか・・オスカー?)
一縷の望みをかけ、私は恐る恐るその人物に近づき声を掛けた。
「あの・・・。」
「・・・。」
しかし、返事は無い。
「まさか・・・気を失っている・・?」
私は震える手でその人物のフードを外すと、そこに現れたのは黒髪に口ひげを生やした男性であった。
「違う・・オスカー様じゃ・・ない・・・?」
その男性はフードをはぎ取られても眠ったままである・
「申し訳ございませんでした・・。」
小声で謝り、そっとフードを掛けてあげようとした時にうっかりして私はその人物の身体に触れてしまった。その途端ある人物が私の頭の中に映像として流れ込んできた。その人物とはフリードリッヒ3世であった。
「っ!」
ま、まさか・・・彼はオスカー?!そう言えばよく見ると黒髪の下から少しだけ赤い髪の毛が見えている。
「オスカー様・・?」
「・・・。」
しかし、オスカーは無反応だ。ひょっとすると意識を失っているのかもしれない。どうしよう・・オスカーをこのままにしておくわけにはいかない。だけど私の力では彼を移動させることも出来ない。
「そうだわ・・どこかで辻馬車をひろって・・・宿屋に連れて行って貰いましょう。オスカー様、お辛いでしょうがここで少しお待ちくださいね。」
私は大通りの前まで進み出ると辻馬車がやってくるのを待った。ここは大通りに面した場所だからきっとやってくるはず・・・!
オスカーの様子を気にかけつつ、私は辻馬車を待ち続けた。そして20分ほど待った頃にようやくガラガラと音を立ててこちらへ向かって走ってくる辻馬車を発見した。
「お、お願いですっ!止まってくださいっ!」
私は馬車の前へ飛び出し、必死で手を振った。すると御者の男性が慌てて馬車を停車させると言った。
「危ないじゃありませんかっ!馬車の前に飛びだしてくるなんてっ!」
御者の男性はかなり激怒しているが、私はすかさず謝ると言った。
「申し訳ございません。具合が悪い人がいるのです。すぐに宿屋迄運ばせて下さい!」
すると迷惑そうに御者は言った。
「お客様・・・それは無理な話ですよ。すでにこの馬車には別のお客様が乗っているのですから。」
「そ、そんな・・・。」
オスカーを運ぶ事が出来ないなんて・・思わず俯いた時、キイ~ッと音が鳴って馬車のドアが開かれた―。
(オスカーッ!一体何所に・・・!)
私はキョロキョロと辺りを見渡し、フードを被っている人たちを片っ端から探す事にした。大丈夫・・・私には相手の心を読むことが出来る不思議な指輪をはめているのだからきっとオスカーを見つける事が出来るはず・・・っ!
ふと、前方にフード付きのマントを被って歩いている人物を発見した。
(まさか!オスカーッ?!)
私はその人物に駆け寄り、グイッと右手で袖を引いた。
「うわっ!な・何だっ?!」
振り向いた人物は見知らぬ男性だった。
「あ・・・も、申し訳ございません・・・。人を探しておりまして・・勘違いでした・・。」
するとその男性は不審そうな目を私に向けるが、歩き去って行った。その後も身を隠すような恰好をした人物を次々と探し続けたが・・オスカーは一向に見つからない。
「オスカー様・・・一体何所へ・・。」
疲れ切った私は噴水前広場の前のベンチに座り、ため息をついた。もう3時間近く市中を探し回り、ヘトヘトに疲れ切ってしまい立ち上がる気力も出なかった。ベンチに座ったまま何気なくあたりの風景を眺めていた時、噴水の向こう側のベンチにフードを目深にかぶり、うずくまっている人物がいることに気が付いた。
(まさか・・オスカー?)
一縷の望みをかけ、私は恐る恐るその人物に近づき声を掛けた。
「あの・・・。」
「・・・。」
しかし、返事は無い。
「まさか・・・気を失っている・・?」
私は震える手でその人物のフードを外すと、そこに現れたのは黒髪に口ひげを生やした男性であった。
「違う・・オスカー様じゃ・・ない・・・?」
その男性はフードをはぎ取られても眠ったままである・
「申し訳ございませんでした・・。」
小声で謝り、そっとフードを掛けてあげようとした時にうっかりして私はその人物の身体に触れてしまった。その途端ある人物が私の頭の中に映像として流れ込んできた。その人物とはフリードリッヒ3世であった。
「っ!」
ま、まさか・・・彼はオスカー?!そう言えばよく見ると黒髪の下から少しだけ赤い髪の毛が見えている。
「オスカー様・・?」
「・・・。」
しかし、オスカーは無反応だ。ひょっとすると意識を失っているのかもしれない。どうしよう・・オスカーをこのままにしておくわけにはいかない。だけど私の力では彼を移動させることも出来ない。
「そうだわ・・どこかで辻馬車をひろって・・・宿屋に連れて行って貰いましょう。オスカー様、お辛いでしょうがここで少しお待ちくださいね。」
私は大通りの前まで進み出ると辻馬車がやってくるのを待った。ここは大通りに面した場所だからきっとやってくるはず・・・!
オスカーの様子を気にかけつつ、私は辻馬車を待ち続けた。そして20分ほど待った頃にようやくガラガラと音を立ててこちらへ向かって走ってくる辻馬車を発見した。
「お、お願いですっ!止まってくださいっ!」
私は馬車の前へ飛び出し、必死で手を振った。すると御者の男性が慌てて馬車を停車させると言った。
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御者の男性はかなり激怒しているが、私はすかさず謝ると言った。
「申し訳ございません。具合が悪い人がいるのです。すぐに宿屋迄運ばせて下さい!」
すると迷惑そうに御者は言った。
「お客様・・・それは無理な話ですよ。すでにこの馬車には別のお客様が乗っているのですから。」
「そ、そんな・・・。」
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