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第5章 7 変わるもの、変わらぬもの
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「アイリス、お前・・・ちょっと酷くないか?俺はお前の両親にアイリスの事を頼まれたんだぞ?なのに何故お前・・帰りまでオスカー王子と一緒に帰るんだ?俺はあのタバサと言う女子学生の事は殆ど知らないんだぞ?第一彼女はオスカー王子に夢中で・・・。」
そこまで言いかけた時、レイフがビクリとして不意に口を閉ざすと、そそくさと自分の席に座ってしまった。
「・・・?」
するとミレディーが小声で囁いてきた。
「アイリス様・・・オスカー様がこちらを睨み付けていますわ・・。」
「え・・・?」
恐る恐るオスカーの方を見ると、オスカーは恐ろしい形相でこちらを睨み付けている。まるで視線だけで相手を射殺せそうな程である。
「オスカー様って・・・怖い方ですわね・・。」
ミレディーがポツリと言う。
「ええ・・・。」
私は曖昧に返事をするしかなかった。その時私は気が付いた。
「タバサ様は・・どうしたのかしら・・?」
「あら・・?そう言えばそうですわね?先程廊下で見かけたのですが・・・。」
ミレディーも不思議そうに首を傾げていると授業開始のチャイムが校舎に鳴り響き、古典を教える教授がすぐに教室の中へと入って来ると言った。
「では授業を始めます・・・。」
アカデミーに通う学生たちは全員真面目で優秀な人材ばかりである。学生たちはすぐに勉強モードに切り替わり・・・1時限目の授業が始まった―。
4時限目の授業も終わり、ようやくお昼の休憩時間になった。
「今日の授業は大変な内容ばかりでしたね。」
薬理学の教授が去ると、早速ミレディーが声を掛けてきた。
「ええ・・確かにそうですね。」
しかし私は既にこの授業を過去に受けている。なので全ての授業をさほど苦にも感じなかった。私の周りの人間関係は70年前とは違い、大きく変わっているのに授業内容は変わらないと言うのは何ともおかしな気分である。
「そう言えば、タバサ様・・・いつの間にか授業に出ておりましたね。」
ミレディーはタバサとオスカーの様子を見ながら小声で言う
「ええ・・そうですね。」
1時限目に姿を消していたタバサは何故か2時限目には何食わぬ顔でオスカーの隣に座り、授業を受けていたのだ。そして今はしきりにオスカーに話しかけているが、肝心のオスカーは知らんぷりをして机の上の教科書を片付けている。
「アイリス様、ランチに行きませんか?」
教科書をカバンにしまい終えたミレディーが声を掛けてきた。
「ええ・・行きたいのはやまやまなのですが・・・。」
私は言葉を濁した。
「まさか・・オスカー様とお約束を・・?」
ミレディーが眉を潜める。
「は、はい・・・せっかくのお誘いなのに・・あ、それともオスカー様に聞いてきましょうか?ミレディー様もお食事を御一緒に・・。」
するとミレディーはひきつった笑みを浮かべながら言った。
「い、いえ・・遠慮しておきます。オスカー様に目を付けられても困りますので・・。」
ミレディーの言う事も最もである。
「そうですね。なら仕方ありませんね。」
そこまで話していると、レイフの視線を感じた。レイフは私をじっと見つめていたが、やがてジェスチャーを使って私に教室の外へ出るように伝えて来る。
「ミレディー様。レイフが呼んでいるので少し席を外しますね。食事はどうか私の事は気になさらずに行って下さい。」
それだけ言うと私は立ち上がり、教室を出て廊下で待っているとすぐにレイフが現れた。
「・・・。」
レイフは私を無言で見つめていたが・・・いきなり私の左腕を掴み、廊下を歩き始めた。
「ま、待って!何所へ連れて行くつもりなの?レイフッ!」
「・・・中庭へ行く。そこなら・・・オスカー王子に気付かれないだろう。」
「で、でも・・・。」
「・・・。」
しかしレイフは口を閉ざしたまま、もう決して振り向いてもくれない。私はおとなしくレイフについて行くしかなかった―。
そこまで言いかけた時、レイフがビクリとして不意に口を閉ざすと、そそくさと自分の席に座ってしまった。
「・・・?」
するとミレディーが小声で囁いてきた。
「アイリス様・・・オスカー様がこちらを睨み付けていますわ・・。」
「え・・・?」
恐る恐るオスカーの方を見ると、オスカーは恐ろしい形相でこちらを睨み付けている。まるで視線だけで相手を射殺せそうな程である。
「オスカー様って・・・怖い方ですわね・・。」
ミレディーがポツリと言う。
「ええ・・・。」
私は曖昧に返事をするしかなかった。その時私は気が付いた。
「タバサ様は・・どうしたのかしら・・?」
「あら・・?そう言えばそうですわね?先程廊下で見かけたのですが・・・。」
ミレディーも不思議そうに首を傾げていると授業開始のチャイムが校舎に鳴り響き、古典を教える教授がすぐに教室の中へと入って来ると言った。
「では授業を始めます・・・。」
アカデミーに通う学生たちは全員真面目で優秀な人材ばかりである。学生たちはすぐに勉強モードに切り替わり・・・1時限目の授業が始まった―。
4時限目の授業も終わり、ようやくお昼の休憩時間になった。
「今日の授業は大変な内容ばかりでしたね。」
薬理学の教授が去ると、早速ミレディーが声を掛けてきた。
「ええ・・確かにそうですね。」
しかし私は既にこの授業を過去に受けている。なので全ての授業をさほど苦にも感じなかった。私の周りの人間関係は70年前とは違い、大きく変わっているのに授業内容は変わらないと言うのは何ともおかしな気分である。
「そう言えば、タバサ様・・・いつの間にか授業に出ておりましたね。」
ミレディーはタバサとオスカーの様子を見ながら小声で言う
「ええ・・そうですね。」
1時限目に姿を消していたタバサは何故か2時限目には何食わぬ顔でオスカーの隣に座り、授業を受けていたのだ。そして今はしきりにオスカーに話しかけているが、肝心のオスカーは知らんぷりをして机の上の教科書を片付けている。
「アイリス様、ランチに行きませんか?」
教科書をカバンにしまい終えたミレディーが声を掛けてきた。
「ええ・・行きたいのはやまやまなのですが・・・。」
私は言葉を濁した。
「まさか・・オスカー様とお約束を・・?」
ミレディーが眉を潜める。
「は、はい・・・せっかくのお誘いなのに・・あ、それともオスカー様に聞いてきましょうか?ミレディー様もお食事を御一緒に・・。」
するとミレディーはひきつった笑みを浮かべながら言った。
「い、いえ・・遠慮しておきます。オスカー様に目を付けられても困りますので・・。」
ミレディーの言う事も最もである。
「そうですね。なら仕方ありませんね。」
そこまで話していると、レイフの視線を感じた。レイフは私をじっと見つめていたが、やがてジェスチャーを使って私に教室の外へ出るように伝えて来る。
「ミレディー様。レイフが呼んでいるので少し席を外しますね。食事はどうか私の事は気になさらずに行って下さい。」
それだけ言うと私は立ち上がり、教室を出て廊下で待っているとすぐにレイフが現れた。
「・・・。」
レイフは私を無言で見つめていたが・・・いきなり私の左腕を掴み、廊下を歩き始めた。
「ま、待って!何所へ連れて行くつもりなの?レイフッ!」
「・・・中庭へ行く。そこなら・・・オスカー王子に気付かれないだろう。」
「で、でも・・・。」
「・・・。」
しかしレイフは口を閉ざしたまま、もう決して振り向いてもくれない。私はおとなしくレイフについて行くしかなかった―。
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