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第166話 セシルと義母の会話
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授乳を終えて、眠りについたルークを母に託すと私は再びセシルの病室に戻った。
「セシル…目が覚めたかしら?」
ほんの僅か部屋の扉を開けたところで、話し声が聞こえてきた。
「あら…?もしかして看護婦さんか先生がいらしているのかしら…?」
訝しげに思いながら病室の中へ入ると、セシルと義母が話をしている最中だった。
「……だから仕事のことは心配しなくても大丈夫よ?」
「分かった、ありがとう」
どうやら2人は仕事の話をしているようだった。そこで声を掛けるべきか迷っていると、セシルが私に気付いた。
「エルザ、戻っていたのか?」
「え、ええ。今戻ったところなの」
すると次に声を掛けてくる義母。
「こんにちは、エルザ」
「お母様、こんにちは」
2人で挨拶を交わすとセシルが私に尋ねてきた。
「エルザ、何処へ行っていたんだ?」
「え、ええ。ちょっとルークにミルクをあげてきたのよ」
「何だ、それだったらこの病室でやればいいのに」
「でも……」
「何か、ためらう理由でもあるのか?」
セシルは簡単に言うけれども、この病室で授乳なんか出来るはず無かった。彼の記憶では私達は夫婦だと思いこんでいるけれど、実際は違う。
セシルは単なる私の幼馴染で…義理の弟に値する人なのだから。
すると、義母が見かねた様子で私とセシルの間に割って入ってきた。
「まぁまぁ、そんな話はもうどうでもいいじゃないの。明日からは皆で屋敷に帰って生活するのだから」
言いながら義母は素早く私に目配せした。その仕草が私にはまるで、『話を合わせるように』と言われているように感じた。
そして私をじっと見つめるセシル。
こうなったら、もう義母に話を合わせるしかないようだ。
「ええ、そうですね。明日からは……アンバー家で暮らすのだから」
すると、ようやくセシルは納得したのか笑みを浮かべた。
「そうだよな、明日からはルークとも一緒に暮らすことになるんだからな。楽しみだな、親子水入らずの暮らしがようやく始まるよ」
「ええ、そうね」
セシルの言葉に頷く義母。
セシルと義母が楽しげに会話する様子を私は不安な気持ちで見つめていた――。
****
あの後、私は主治医の先生とセシルの退院のことで話があると嘘をついて病室を出て、看護婦さん達の詰所に向かった。
「すみません。お忙しいところ、申し訳ございません。少々宜しいでしょうか?」
詰所には5人の看護婦さん達が忙しそうに働いている。
声を掛けると、一番年重の看護婦さんが近付いてきた。
「はい、私はこの病棟の看護婦長ですが、なにか御用でしょうか?」
「私はエルザ・アンバーと申しますが、セシル・アンバーの主治医の先生とお話できないでしょうか?」
「……セシル・アンバー様の身内の方ですね?先生は今他の方の病室に診察に行かれていますのでお部屋でお待ち下さい」
「いえ、あの……実は病室で話をするわけにはいかないのです。病人には聞かせられない話ですので」
「そうですか…。ではあちらに面談室がありますのでそのお部屋でお待ち下さい。先生が戻られ次第伝えておきますので」
「はい、どうもありがとうございます」
お礼を述べると私は面談室へ向かった。
「ここね……」
扉を開けて中へ入ると四角いテーブルを挟むように2つの椅子が置かれている。
そして椅子に腰掛けると、私は静かに先生が来るのを待った――。
「セシル…目が覚めたかしら?」
ほんの僅か部屋の扉を開けたところで、話し声が聞こえてきた。
「あら…?もしかして看護婦さんか先生がいらしているのかしら…?」
訝しげに思いながら病室の中へ入ると、セシルと義母が話をしている最中だった。
「……だから仕事のことは心配しなくても大丈夫よ?」
「分かった、ありがとう」
どうやら2人は仕事の話をしているようだった。そこで声を掛けるべきか迷っていると、セシルが私に気付いた。
「エルザ、戻っていたのか?」
「え、ええ。今戻ったところなの」
すると次に声を掛けてくる義母。
「こんにちは、エルザ」
「お母様、こんにちは」
2人で挨拶を交わすとセシルが私に尋ねてきた。
「エルザ、何処へ行っていたんだ?」
「え、ええ。ちょっとルークにミルクをあげてきたのよ」
「何だ、それだったらこの病室でやればいいのに」
「でも……」
「何か、ためらう理由でもあるのか?」
セシルは簡単に言うけれども、この病室で授乳なんか出来るはず無かった。彼の記憶では私達は夫婦だと思いこんでいるけれど、実際は違う。
セシルは単なる私の幼馴染で…義理の弟に値する人なのだから。
すると、義母が見かねた様子で私とセシルの間に割って入ってきた。
「まぁまぁ、そんな話はもうどうでもいいじゃないの。明日からは皆で屋敷に帰って生活するのだから」
言いながら義母は素早く私に目配せした。その仕草が私にはまるで、『話を合わせるように』と言われているように感じた。
そして私をじっと見つめるセシル。
こうなったら、もう義母に話を合わせるしかないようだ。
「ええ、そうですね。明日からは……アンバー家で暮らすのだから」
すると、ようやくセシルは納得したのか笑みを浮かべた。
「そうだよな、明日からはルークとも一緒に暮らすことになるんだからな。楽しみだな、親子水入らずの暮らしがようやく始まるよ」
「ええ、そうね」
セシルの言葉に頷く義母。
セシルと義母が楽しげに会話する様子を私は不安な気持ちで見つめていた――。
****
あの後、私は主治医の先生とセシルの退院のことで話があると嘘をついて病室を出て、看護婦さん達の詰所に向かった。
「すみません。お忙しいところ、申し訳ございません。少々宜しいでしょうか?」
詰所には5人の看護婦さん達が忙しそうに働いている。
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「はい、私はこの病棟の看護婦長ですが、なにか御用でしょうか?」
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「ここね……」
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そして椅子に腰掛けると、私は静かに先生が来るのを待った――。
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