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第145話 和解
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ひとしきり泣いたコレット令嬢はやがて顔を上げると、私の手を握りしめてきた。
「ごめんなさい、エルザさん。私……本当に何も知らなくて……。てっきり私は夫を亡くしたばかりなのに、今度は弟のセシル様を次の夫にしようとしているのかとばかり思って…だって、世間ではそんな噂が流れていたから…あっ!ご、ごめんなさい!私、またとんでもなく失礼なことを言ってしまいました」
そして私に頭をさげるコレット令嬢。
「どうか気になさらないで下さい。世間で私とセシルのことをどういう目で見ているのかは、フイリップの葬儀でよく分かっておりましたから」
「…ご存知だったのですか……?実は私の父があの葬儀に参列していたのですが…私もその話を聞かされていたのです。それに貴族同士の集まりの席でも、アンバー家の話がよく話題に登っていたものですから……」
「そうだったのですか……」
私は平民なので一度もお茶会というものには参加したことは無い。フィリップと結婚して貴族にはなったものの、それでもただの一度もお茶会には参加しなかった。
そもそも色々なことがあった為、お茶会に出席する余裕も全く無かったからだ。
「それで、私はエルザさんに会ったことも無いのに…すっかり偏見の目で見てしまっていました。本当に申し訳ございません」
「コレット様……」
世間でそこまで私とセシルのことが噂になっていたのなら……やはり私はアンバー家を出て正解だったのかもしれない。
「今回、無理やりお父様にお願いしてエルザさんに会わせてもらうように頼んだのはそういった理由があったからなのです。卑怯な手を使って本当に私は…なんて浅ましい女だったのでしょう……」
コレット令嬢はすっかり気落ちした様子で項垂れている。
この方は……根は素直な女性なのかもしれない。そして自分の心に正直に生きている。相手の顔色ばかり伺っているような私に取っては眩しい存在だ。
「そんなことありません。私はコレット様は真っ直ぐな…愛らしい女性だと思っています」
「ほ、本当ですか……?」
「ええ、本当です」
笑みを浮かべてコレット令嬢を見た。
「だけど…セシル様は…私のことを良く思っていません。恐らくこんな事をしているから余計セシル様から嫌われてしまうのでしょうね……」
寂しげに笑うコレット令嬢を見ていると、かつての自分とどうしても姿が重なって見えてしまう。
今のコレット令嬢の置かれた立場は…とても他人事には思えなかった。
「コレット様……これからどうされるおつもりですか?」
「そうですね…。私はセシル様が好きなので、出来ればこのまま婚約者の関係を続け、ゆくゆくは結婚したいと思っていますが……。セシル様が本当に私のことを気に入らないのであれば、婚約を解消してあげたほうがいいのかもしれません。好きな人を苦しめたくはありませんから……」
「そんな……」
セシルは本当にコレット様のことを何とも思っていないのだろうか?
「本日はエルザさんに色々ご迷惑をおかけしてしまいました。大変申し訳ございませんでした。もう今夜はお暇させて頂きます」
コレット令嬢が立ち上がった。
「い、いえ。私の方こそ、お会いできて良かったです。貴族の方々噂話を聞くことが出来ましたから」
「エルザさん……」
「では一緒に先程のお部屋へ戻りましょうか?」
「ええ」
そして私はコレット令嬢を連れて自室を後にした――。
「ごめんなさい、エルザさん。私……本当に何も知らなくて……。てっきり私は夫を亡くしたばかりなのに、今度は弟のセシル様を次の夫にしようとしているのかとばかり思って…だって、世間ではそんな噂が流れていたから…あっ!ご、ごめんなさい!私、またとんでもなく失礼なことを言ってしまいました」
そして私に頭をさげるコレット令嬢。
「どうか気になさらないで下さい。世間で私とセシルのことをどういう目で見ているのかは、フイリップの葬儀でよく分かっておりましたから」
「…ご存知だったのですか……?実は私の父があの葬儀に参列していたのですが…私もその話を聞かされていたのです。それに貴族同士の集まりの席でも、アンバー家の話がよく話題に登っていたものですから……」
「そうだったのですか……」
私は平民なので一度もお茶会というものには参加したことは無い。フィリップと結婚して貴族にはなったものの、それでもただの一度もお茶会には参加しなかった。
そもそも色々なことがあった為、お茶会に出席する余裕も全く無かったからだ。
「それで、私はエルザさんに会ったことも無いのに…すっかり偏見の目で見てしまっていました。本当に申し訳ございません」
「コレット様……」
世間でそこまで私とセシルのことが噂になっていたのなら……やはり私はアンバー家を出て正解だったのかもしれない。
「今回、無理やりお父様にお願いしてエルザさんに会わせてもらうように頼んだのはそういった理由があったからなのです。卑怯な手を使って本当に私は…なんて浅ましい女だったのでしょう……」
コレット令嬢はすっかり気落ちした様子で項垂れている。
この方は……根は素直な女性なのかもしれない。そして自分の心に正直に生きている。相手の顔色ばかり伺っているような私に取っては眩しい存在だ。
「そんなことありません。私はコレット様は真っ直ぐな…愛らしい女性だと思っています」
「ほ、本当ですか……?」
「ええ、本当です」
笑みを浮かべてコレット令嬢を見た。
「だけど…セシル様は…私のことを良く思っていません。恐らくこんな事をしているから余計セシル様から嫌われてしまうのでしょうね……」
寂しげに笑うコレット令嬢を見ていると、かつての自分とどうしても姿が重なって見えてしまう。
今のコレット令嬢の置かれた立場は…とても他人事には思えなかった。
「コレット様……これからどうされるおつもりですか?」
「そうですね…。私はセシル様が好きなので、出来ればこのまま婚約者の関係を続け、ゆくゆくは結婚したいと思っていますが……。セシル様が本当に私のことを気に入らないのであれば、婚約を解消してあげたほうがいいのかもしれません。好きな人を苦しめたくはありませんから……」
「そんな……」
セシルは本当にコレット様のことを何とも思っていないのだろうか?
「本日はエルザさんに色々ご迷惑をおかけしてしまいました。大変申し訳ございませんでした。もう今夜はお暇させて頂きます」
コレット令嬢が立ち上がった。
「い、いえ。私の方こそ、お会いできて良かったです。貴族の方々噂話を聞くことが出来ましたから」
「エルザさん……」
「では一緒に先程のお部屋へ戻りましょうか?」
「ええ」
そして私はコレット令嬢を連れて自室を後にした――。
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