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第85話 ある兆し
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ここ最近、体調があまり良くなかった。身体は何となく熱っぽさとだるさを感じるし、食欲も落ちていた。
「エルザ、大丈夫かい?何だか顔色があまり良くないようだけど…?」
朝食の席でフィリップが心配そうに尋ねてきた。
「え?ええ。大丈夫よ。…ごめんなさい、病気の貴方に心配してもらうなんて…」
するとフィリップが真面目な顔で私を見る。
「何を言ってるんだい、エルザ。体調の悪い妻を心配するのは夫として当然のことだから謝る必要は何も無いよ?それに最近は以前よりは体調がいいんだ。エルザとセシルのお陰で治療に専念できるようになったし、薬も変えてもらった。それに身体に良い食事療法も取り入れるようになったからね。病院の先生にも言われたんだよ。病気がそれほど進行していないって」
「本当?それは良かったわ」
笑みを浮かべてフィリップを見るも、彼の私を見る目が心配そうだった。
「エルザ、やっぱり体調が悪そうだよ。顔色も良くないし…。今日は無理に仕事をしないでも大丈夫だよ。 主治医のシャロン先生を呼んで具合を見てもらおう?」
「ええ、そうね、ありがとう」
そんな大げさにする必要は無いのに…。
けれども彼の好意を無下にはしたくなかった。
「すぐに来てもらうように伝えておくからエルザは今日は部屋で休んでいるといいよ。セシルにエルザは今日休むと伝えておくから」
「ええ…分かったわ。でも、フィリップも無理しないでね?」
「勿論、分かってるよ」
そしてフィリップは優しく微笑んだ―。
****
結局、今朝は出された朝食を半分も食べることが出来なかった。
そんな私を心配したフィリップはチャールズさんを呼んで、すぐに診察へ来てもらうように伝言を伝えてくれた。
その後、フィリップは私の体調を心配しつつも仕事をする為に書斎へ向かった―。
「ふ~…やっぱり何となく身体の調子が悪いわ…」
自室に戻るとカウチソファに座り、目を閉じた。
本来じっとしていることが苦手な私はこういう場合は本を読んだり、大好きな刺繍をして過すのに、今日は何もする気になれなかった。
「駄目ね…フィリップが重い病気にかかっているのだから、私は元気でいなくちゃいけないのに…」
コンコン
その時、不意に部屋の扉がノックされた。恐らくシャロン先生だろう。
「どうぞ」
声を掛けるとすぐに扉が開かれ、シャロン先生が扉の外に立っていた。
「失礼致します。エルザ様の体調が思わしくないと伺い、診察に参りました」
「ありがとうございます。どうぞ中へ入って下さい」
「ええ、それでは失礼致します」
シャロン先生は部屋の中に入ってくるとすぐに私の側にやってきた。
「確かに顔色がよくありませんね…では診察をさせていただきますね」
「はい、お願いします」
そしてシャロン先生の診察が始まった―。
****
「…熱はありませんし、脈拍も胸の音も問題ありませんね。けれど、身体はだるいし熱っぽさを感じる…」
問診しながらシャロン先生は診察記録をつけている。
「はい、それに食欲もありません。何だか胸がムカムカして…」
そこ問診記録を付けていたシャロン先生の手がピタリと止まる。
「あの、エルザ様。…月の物はいかがですか?」
「あ…そう言えば、先月から…え…?」
その時になって、私は初めて気付いた。
「せ、先生…私…まさか…?」
「ええ、エルザ様。おめでたですよ」
シャロン先生はにっこりと笑みを浮かべた―。
「エルザ、大丈夫かい?何だか顔色があまり良くないようだけど…?」
朝食の席でフィリップが心配そうに尋ねてきた。
「え?ええ。大丈夫よ。…ごめんなさい、病気の貴方に心配してもらうなんて…」
するとフィリップが真面目な顔で私を見る。
「何を言ってるんだい、エルザ。体調の悪い妻を心配するのは夫として当然のことだから謝る必要は何も無いよ?それに最近は以前よりは体調がいいんだ。エルザとセシルのお陰で治療に専念できるようになったし、薬も変えてもらった。それに身体に良い食事療法も取り入れるようになったからね。病院の先生にも言われたんだよ。病気がそれほど進行していないって」
「本当?それは良かったわ」
笑みを浮かべてフィリップを見るも、彼の私を見る目が心配そうだった。
「エルザ、やっぱり体調が悪そうだよ。顔色も良くないし…。今日は無理に仕事をしないでも大丈夫だよ。 主治医のシャロン先生を呼んで具合を見てもらおう?」
「ええ、そうね、ありがとう」
そんな大げさにする必要は無いのに…。
けれども彼の好意を無下にはしたくなかった。
「すぐに来てもらうように伝えておくからエルザは今日は部屋で休んでいるといいよ。セシルにエルザは今日休むと伝えておくから」
「ええ…分かったわ。でも、フィリップも無理しないでね?」
「勿論、分かってるよ」
そしてフィリップは優しく微笑んだ―。
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結局、今朝は出された朝食を半分も食べることが出来なかった。
そんな私を心配したフィリップはチャールズさんを呼んで、すぐに診察へ来てもらうように伝言を伝えてくれた。
その後、フィリップは私の体調を心配しつつも仕事をする為に書斎へ向かった―。
「ふ~…やっぱり何となく身体の調子が悪いわ…」
自室に戻るとカウチソファに座り、目を閉じた。
本来じっとしていることが苦手な私はこういう場合は本を読んだり、大好きな刺繍をして過すのに、今日は何もする気になれなかった。
「駄目ね…フィリップが重い病気にかかっているのだから、私は元気でいなくちゃいけないのに…」
コンコン
その時、不意に部屋の扉がノックされた。恐らくシャロン先生だろう。
「どうぞ」
声を掛けるとすぐに扉が開かれ、シャロン先生が扉の外に立っていた。
「失礼致します。エルザ様の体調が思わしくないと伺い、診察に参りました」
「ありがとうございます。どうぞ中へ入って下さい」
「ええ、それでは失礼致します」
シャロン先生は部屋の中に入ってくるとすぐに私の側にやってきた。
「確かに顔色がよくありませんね…では診察をさせていただきますね」
「はい、お願いします」
そしてシャロン先生の診察が始まった―。
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「…熱はありませんし、脈拍も胸の音も問題ありませんね。けれど、身体はだるいし熱っぽさを感じる…」
問診しながらシャロン先生は診察記録をつけている。
「はい、それに食欲もありません。何だか胸がムカムカして…」
そこ問診記録を付けていたシャロン先生の手がピタリと止まる。
「あの、エルザ様。…月の物はいかがですか?」
「あ…そう言えば、先月から…え…?」
その時になって、私は初めて気付いた。
「せ、先生…私…まさか…?」
「ええ、エルザ様。おめでたですよ」
シャロン先生はにっこりと笑みを浮かべた―。
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