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第80話 病気を伏せる理由は…?
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2人でダイニングルームで食後のコーヒーを飲んでいると、不意にセシルが声を掛けてきた。
「そう言えばさ…昨日、母がこの離れにやってきただろう?」
「ええ、いらっしゃったわ」
コーヒーを一口飲むと答えた。
「書斎で3人で仕事をしていた時、突然母が部屋に現れて俺たちに言ったんだよ。『今からエルザに会ってくるって』。するとその話を聞いた兄さんが、エルザはあまり体調が良くないから会いに行っては駄目だって強く引き止めていたんだよ。それにも関わらず母は強引に離れへ行ってしまったんだ。慌てて兄さんは引き止めに行こうとしたけど、父に強く反対されて渋々言うことを聞いていたみたいだったけど…始終上の空だった。それで何度も父に注意されていたよ」
「そうだったの?」
まさかそんなことがあったなんて…。
「だけど、意外とあっさり早く戻ってきた時はちょっと意外だって思ったんだ。やっぱり体調が良くなかったんだろう?それに昨日バラアレルギーの発作を起こしたそうだし…。離れから連絡を受けた時、母が真っ青になっていたよ。父も慌てていた感じだったかな。それで?今朝の具合はどうなんだい?」
「え?誰の具合が?」
「誰って…エルザ以外に誰がいるんだ?」
セシルが首を傾げながら私を見た。
「あ…」
いけない、ついうっかり口が滑ってしまった。
「ええ、そうよね。ごめんなさい、少しぼ~っとしてしまっていたから…。私の具合なら大丈夫よ。ありがとう、心配してくれて」
「まぁね…気にかけるのは身内だから当然さ。それ以外にも兄さんのことでも気がかりなことはあるけれども…」
「え…?フィリップのこと…?」
一体どのようなことだろう?
「最近顔色があまり良くないし、今日みたいに突然出掛けることも増えたし…」
「そうだったの?私はあまりフィリップの仕事のことについては詳しくないから…」
ここは当たり障りのない返事をしておこう。
どの様な理由があって、フィリップはセシルやお義父様やお義母様に病気の事を告げないのかは分からない。
けれどいずれは自分で病気のことは説明するつもりでいるのだから、私から彼の病気のことを話すわけにはいかない。
「まぁ、確かに兄さんは忙しいからな…。ここだけの話だけど、父は強引なやり方で仕事を進めていく人だから…正直、父が相手ではうちと仕事の取引をやめたいと申し出ている事業者が大勢いるんだよ」
「え…?」
「まぁ、エルザが知らないのは当然だよな。はっきり言えば父は…ワンマンな人だから仕事上の人付き合いも上手じゃないんだよ」
「そ、そうだったのね…」
それは初耳だ。
そもそもフィリップとは殆ど仕事の話はしたことなど無かったからお義父様の仕事上の話を私が知らないのは当然と言えば当然だ。
「元に兄さんが会社経営の半分を担うようになってからは新規の取引先がグンと伸びたのも事実なんだ。何と言っても名指しで兄となら仕事をしても良いと言ってくる事業者が多いんだよ。ほら、兄は人当たりがいいだろう?」
「ええ、そうよね。フィリップは…とても良い人だもの」
相槌を打ちながらセシルの話を聞いている内に、私は何となくフィリップが自分の病気の事をひた隠しにしている理由が分かってきた気がする。
まさかフィリップは会社のことを考えて、今は時期尚早ではないと思い…病気の事を伏せているのだろうか…?
私はテーブルの下で、両手をグッと握りしめた―。
「そう言えばさ…昨日、母がこの離れにやってきただろう?」
「ええ、いらっしゃったわ」
コーヒーを一口飲むと答えた。
「書斎で3人で仕事をしていた時、突然母が部屋に現れて俺たちに言ったんだよ。『今からエルザに会ってくるって』。するとその話を聞いた兄さんが、エルザはあまり体調が良くないから会いに行っては駄目だって強く引き止めていたんだよ。それにも関わらず母は強引に離れへ行ってしまったんだ。慌てて兄さんは引き止めに行こうとしたけど、父に強く反対されて渋々言うことを聞いていたみたいだったけど…始終上の空だった。それで何度も父に注意されていたよ」
「そうだったの?」
まさかそんなことがあったなんて…。
「だけど、意外とあっさり早く戻ってきた時はちょっと意外だって思ったんだ。やっぱり体調が良くなかったんだろう?それに昨日バラアレルギーの発作を起こしたそうだし…。離れから連絡を受けた時、母が真っ青になっていたよ。父も慌てていた感じだったかな。それで?今朝の具合はどうなんだい?」
「え?誰の具合が?」
「誰って…エルザ以外に誰がいるんだ?」
セシルが首を傾げながら私を見た。
「あ…」
いけない、ついうっかり口が滑ってしまった。
「ええ、そうよね。ごめんなさい、少しぼ~っとしてしまっていたから…。私の具合なら大丈夫よ。ありがとう、心配してくれて」
「まぁね…気にかけるのは身内だから当然さ。それ以外にも兄さんのことでも気がかりなことはあるけれども…」
「え…?フィリップのこと…?」
一体どのようなことだろう?
「最近顔色があまり良くないし、今日みたいに突然出掛けることも増えたし…」
「そうだったの?私はあまりフィリップの仕事のことについては詳しくないから…」
ここは当たり障りのない返事をしておこう。
どの様な理由があって、フィリップはセシルやお義父様やお義母様に病気の事を告げないのかは分からない。
けれどいずれは自分で病気のことは説明するつもりでいるのだから、私から彼の病気のことを話すわけにはいかない。
「まぁ、確かに兄さんは忙しいからな…。ここだけの話だけど、父は強引なやり方で仕事を進めていく人だから…正直、父が相手ではうちと仕事の取引をやめたいと申し出ている事業者が大勢いるんだよ」
「え…?」
「まぁ、エルザが知らないのは当然だよな。はっきり言えば父は…ワンマンな人だから仕事上の人付き合いも上手じゃないんだよ」
「そ、そうだったのね…」
それは初耳だ。
そもそもフィリップとは殆ど仕事の話はしたことなど無かったからお義父様の仕事上の話を私が知らないのは当然と言えば当然だ。
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私はテーブルの下で、両手をグッと握りしめた―。
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