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第72話 彼の愛を感じて
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「はい、お話したいのはこの間エルザ様を3日間療養の為に実家に帰って頂いた時の件なのですが…」
「ええ、そうですね。お義父様とお義母様が1週間家を開けて留守にするので里帰りしやすいだろうからとフィリップに言われた時の話でしょう?」
チャールズさんの話に頷く。
「はい。そしてその後、エルザ様を迎えに来たジェイコブにフィリップ様から実家に滞在されたいのであれば、戻られるのはいつでも構わないと伝言を伝えられましたよね?」
「ええ…でも、結局戻ってしまったけど…何故滞在期間を伸ばすように言われたのか分からなかったわ」
あの時は本当にショックだった。けれど、今なら何となく分かる気がする。
「エルザ様…」
チャールズさんが悲しげな顔で私を見た。
「チャールズさん、ひょっとするとあの時フィリップは…」
「はい。旦那様と奥様の留守を狙って病院に入院されていたのです。入院期間は2日とされていたのですが、ひょっとすると入院期間が伸びるかも知れないと言われていたのです。あの頃は…本当にフィリップ様の体調が悪かった時期でしたので…」
「そうだったの?まさかそんなにフィリップの体調が悪かったなんて…。私は自分の身体のことばかりで、何一つ彼の事を分かっていなかったのね…。私は妻失格だわ…」
思わず目を伏せると、チャールズさんが慌てたように声を掛けてきた。
「エルザ様、そんな事を仰らないで下さい。それに気付かないのは無理もありません。何しろエルザ様とフィリップ様は殆ど顔を合わせることも無い生活をされていたではありませんか。この離れで働く私共は全員、フィリップ様から病気の事を隠すように言われていたのです。エルザ様だけではなく、旦那様や奥様…それにセシル様も同様です」
「やっぱり、アンバー家の人達もフィリップの病気の事を知らなかったのね?セシルの様子から何となくそんな気はしていたのだけれど…。でも、何故フィリップは家族に病気の事を隠すのかしら?」
「それは…申し訳ございません。私共も理由を聞かされていないのです」
チャールズさんが申し訳無さげに頭を下げてきた。
「あ、いいのよ。気にしないで?きっとフィリップの方から理由を話してくれると思うから…」
そこまで言いかけて私はある事実に気付いた。
「も、もしかして…私が実家から早く戻ってしまったから、フィリップは入院期間を早めて退院してしまったの?」
だとしたら私は何て事をしてしまったのだろう。
「いいえ、決してその様な事はありません。フィリップ様は…嬉しかったのです。冷たい態度と言葉で今迄エルザ様に接してきたので、実家に帰ればもう二度とアンバー家には戻って来ないだろうと思われていたのです。けれど、エルザ様は迎えの馬車に乗って戻られました。その事を入院中のフィリップ様に報告した所…大変喜ばれて、エルザ様のお顔が早く見たいからと言って、早めに退院されたのです。本当はお医者様からは後数日は入院を勧めらていたのですが…」
「そう…だったの…?」
フィリップは自分の具合が悪いのに…私の顔を見る為に退院してきたなんて…。
フィリップの深い愛を感じ…胸に熱いものがこみ上げ、気づけば私の目に涙が溢れていた―。
「ええ、そうですね。お義父様とお義母様が1週間家を開けて留守にするので里帰りしやすいだろうからとフィリップに言われた時の話でしょう?」
チャールズさんの話に頷く。
「はい。そしてその後、エルザ様を迎えに来たジェイコブにフィリップ様から実家に滞在されたいのであれば、戻られるのはいつでも構わないと伝言を伝えられましたよね?」
「ええ…でも、結局戻ってしまったけど…何故滞在期間を伸ばすように言われたのか分からなかったわ」
あの時は本当にショックだった。けれど、今なら何となく分かる気がする。
「エルザ様…」
チャールズさんが悲しげな顔で私を見た。
「チャールズさん、ひょっとするとあの時フィリップは…」
「はい。旦那様と奥様の留守を狙って病院に入院されていたのです。入院期間は2日とされていたのですが、ひょっとすると入院期間が伸びるかも知れないと言われていたのです。あの頃は…本当にフィリップ様の体調が悪かった時期でしたので…」
「そうだったの?まさかそんなにフィリップの体調が悪かったなんて…。私は自分の身体のことばかりで、何一つ彼の事を分かっていなかったのね…。私は妻失格だわ…」
思わず目を伏せると、チャールズさんが慌てたように声を掛けてきた。
「エルザ様、そんな事を仰らないで下さい。それに気付かないのは無理もありません。何しろエルザ様とフィリップ様は殆ど顔を合わせることも無い生活をされていたではありませんか。この離れで働く私共は全員、フィリップ様から病気の事を隠すように言われていたのです。エルザ様だけではなく、旦那様や奥様…それにセシル様も同様です」
「やっぱり、アンバー家の人達もフィリップの病気の事を知らなかったのね?セシルの様子から何となくそんな気はしていたのだけれど…。でも、何故フィリップは家族に病気の事を隠すのかしら?」
「それは…申し訳ございません。私共も理由を聞かされていないのです」
チャールズさんが申し訳無さげに頭を下げてきた。
「あ、いいのよ。気にしないで?きっとフィリップの方から理由を話してくれると思うから…」
そこまで言いかけて私はある事実に気付いた。
「も、もしかして…私が実家から早く戻ってしまったから、フィリップは入院期間を早めて退院してしまったの?」
だとしたら私は何て事をしてしまったのだろう。
「いいえ、決してその様な事はありません。フィリップ様は…嬉しかったのです。冷たい態度と言葉で今迄エルザ様に接してきたので、実家に帰ればもう二度とアンバー家には戻って来ないだろうと思われていたのです。けれど、エルザ様は迎えの馬車に乗って戻られました。その事を入院中のフィリップ様に報告した所…大変喜ばれて、エルザ様のお顔が早く見たいからと言って、早めに退院されたのです。本当はお医者様からは後数日は入院を勧めらていたのですが…」
「そう…だったの…?」
フィリップは自分の具合が悪いのに…私の顔を見る為に退院してきたなんて…。
フィリップの深い愛を感じ…胸に熱いものがこみ上げ、気づけば私の目に涙が溢れていた―。
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