挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売

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第52話 朝食の席で

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 翌朝―

いつものように6時に起きると、部屋にはラベンダー柄の天井が見える。

「すごい…。天井の壁紙もラベンダー柄なんて…」

ゆっくり身体を起こし、改めて部屋を見渡す。淡い上品な色の薄紫色のインテリア。私の大好きなラベンダーの柄…。

「フフ…。こんな素敵な部屋を貰えるなんて…私は幸せ者だわ」

足元に置かれた室内履きに足を通すとクローゼットに向かい、早速私は朝の支度を始めた―。



****

 朝食の時間は午前7時。

ダイニングルームに向かうと既にセシルがテーブルの席に着いていた。

「おはよう、エルザ」

「おはよう、セシル。驚いたわ、もうダイニングルームに来ていたのね?」

椅子を引いて着席すると、すぐにデイブが現れた。

「おはようございます、セシル様。エルザ様」

「ああ、おはよう」

「おはよう、デイブ。今朝は貴方が給仕なのね?」

「はい、宜しくお願い致します」

デイブは会釈すると、次々と朝食をテーブルの上に並べていく。オムレツにスープ。スコーンの生クリーム添えにサラダ。ヨーグルト…。どれもが普段から私が食してい料理ばかりだった。

これも…フィリップの計らいなのだろうか?

「へ~…スコーンなんて珍しいな。でも美味しそうだ」

セシルは何処か嬉しそうだった。全ての料理を並べたデイブに私は声を掛けた。

「ありがとうって…機会があったら告げておいて」

フィリップに…。

「…はい、かしこまりました」

デイブは少しの間の後、返事をした。もしかすると私の意図に気付いてくれたのかも知れない。

「ごゆっくりどうぞ」

デイブはお辞儀をすると、ダイニングルームを出ていった。

「よし、それじゃ食べようか?」

「ええ、そうね」

そして私とセシルの朝食が始まった…。



「なるほど…スコーンて滅多に食べたことが無かったけど…生クリームとすごく良く合うんだんな」

「そうでしょう?ブライトン家では朝食メニューの定番だったのよ」

「そうなのか。エルザの実家では朝食にスコーンを食べていたのか。でも美味しいな。…今度からここで朝食を食べることにしようかな」

「え…?セシル?」

冗談とも本気とも取れない言葉に思わずセシルをじっとみた。

「冗談だよ、本気にするなって。新婚家庭の邪魔をするほど野暮じゃないさ」

セシルが笑いながら言う。

「新婚家庭…」

本当に私とフィリップは新婚家庭と言えるのだろうか?会話だって殆ど無いし、部屋は別々。それに私はフィリップの自室の場所すら知らないのに?

「何だ?神妙そうな顔して。何か悩み事でもあるのか?俺でよければ相談に乗るぞ?」

セシルはそう言うけれども…相談なんて出来るはずは無かった。だから私は嘘をつく。

「いいえ、こんなに幸せなのに何も悩みなんか無いわ。でも…気にかけてくれてありがとう」

「当然だろう?第一エルザは俺にとって…え?」

何故か一瞬セシルの顔が青ざめた。

「どうしたの?セシル?」

「に、兄さん…」

セシルの視線は私を通り越して遠くを見ている。

「え?兄さんて…?」

驚いて振り向くと、そこにはフィリップが扉に寄りかかるようにして立ち、こちらをじっと見つめていた―。
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