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第4章 1 夢の世界で話し合い

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 その日の夜―

私は夢の世界でロザリアと一緒に話をしていた。

「あーあ・・・。本当に私、ジョバンニ様と婚約破棄してしまったんですね。」

何も無いピンク色の空間で隣に座っていたロザリアの頭を私は軽く小突いた。

「こら、ロザリア。」

「あ・・何するんですか、里香さん。」

ロザリアが小突かれた頭を押さえながら言う。

「ジョバンニ様なんて言い方して・・・あんた、ひょっとしてまだあのクズ男に未練があるんじゃないの?今日は客観的にジョバンニの様子を見る事ができたはずなのに・・・まだ様付で呼ぶ気なの?

「う・・確かに見る事はできましたけど・・・。」

「なら分かるわよね?あの男がどれだけ最低かって事が!」

「う・・ま、まあ・・確かに・・。」

「いい?前にも話したけど・・・あの親子はギンテル家の財産しか興味が無いのよ?最低な輩なのよ?これで良かったのよ!」

私はロザリアの両肩を掴み、ガクガク揺さぶりながら言う。

「は、はい!わ、分かりましたっ!」

「それよりも・・ナッツさんよ。」

「え?ナッツさん?」

ロザリアが首を傾げた。

「何言ってるの~恍けちゃってぇ~・・・知ってるのよ?2人とも・・すごく良い雰囲気でデートしてたじゃないの?ん?」

右ひじでロザリアをグリグリしながら私は言う。

「え、ええ~・・そ、そんな・・良い雰囲気だなんて・・。」

途端に顔を赤らめるロザリア。フフ・・本当に分かりやすい少女だ。

「いい?そもそも私が元の世界に戻れる条件は・・ロザリアが本当に幸せだと感じた時なのよね?」

「は、はい・・そうですが・・・。」

「今のロザリアは・・・以前とは比べ物にならないくらいに変わったわ。外見も痩せて美人になったし、勉強も出来るようになったし、家庭科だってスポーツだって・・私の努力の賜物で貴女は全てを手に入れる事が出来たじゃない!」

「は、はあ・・・。」

何故か煮え切らない返事をするロザリア。

「それなのに・・・何故?何故私はいまだに元の世界に戻れないと思う?」

「さ、さぁ・・?」

ロザリアは自分の事なのに首を傾げる。

「つまりねぇ・・貴女はまだ自分で幸せだと感じていないって事よ?」

「はぁ・・・。」

「私が元の世界に戻る為には・・貴女の幸福度をもっと上げる必要があるわ・・・。つまり、それは・・。」

「そ、それは・・?」

「ずばり、恋よっ!」

私はビシイッとロザリアを指さすと言った。

「ええっ?!こ、恋っ?!」

「そう、今のロザリアに足りないのは恋愛なのよっ!恋人をまずは作るのよっ!きっと本当の恋を知れば・・・今度こそあなたの幸福度はマックスになり・・私は晴れて、元の世界へ帰る事が出来るはずよっ!」

「は、はあ・・・そんなものでしょうか・・?」

ロザリアはまだ疑わし気な目で私を見ているが・・。

「いい?と言うわけで・・・明日から私は引っ込むからね?自分で何とかしなさい。」

「ええっ?!そ、そんな・・・・!私が自力で恋人を見つけなくちゃいけないんですかっ?!」

「当然じゃないのっ!私が恋愛してどうするのよ?大体・・・私には元の世界に彼氏がいるんだから。彼氏がいる私が別の男性と恋仲になるわけにはいかないでしょう?大体恋愛するのに代理を立てるなんて・・あり得ない話だからね?」

「う、う・・・そ、そんな・・。」

激しく動揺するロザリアに私は言った。

「まあまあ・・・明日は日曜なんだし・・新しい恋を探しにお出かけしなさいよ?」

私はロザリアの肩をバンバン叩きながら笑うのだった―。


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