気付けば名も知らぬ悪役令嬢に憑依して、見知らぬヒロインに手をあげていました

結城芙由奈@コミカライズ連載中

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第3章 17 書類にサインを 

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「この貴金属店は・・・私がオーナーなのだが・・ここ半年ほど頻繁にある客が買い物に来ているのだ。しかもまだすべての商品について、一部頭金分しか支払ってもらえていない。つまり・・・君の事だよジョバンニ君。贈り主の名は・・セレナ・ブラウンとなっている。」

「!」

父の言葉にビクリと肩が跳ねるジョバンニ。

え?嘘でしょうっ?!思わず向かい側に座るジョバンニを凝視してしまった。

「お、おい・・・ジョバンニ・・・お前・・う、嘘だろう・・・?」

コナー子爵は自分の息子を見てオロオロし始めた。しかしジョバンニは口を堅く一文字に閉じたまま返事すらしない。

「ジョバンニッ!黙っていないで答えなさいっ!」

ついに業を煮やしたのか、コナー子爵がジョバンニの前のテーブルをドンと叩きつける。

「・・ですよ。」

すると俯いていたジョバンニが小声で何かを呟いた。

「え?聞こえないぞ?今何と言ったのだ?」

「ええ、そうですよ!俺が・・俺がセレナの為に貴金属をプレゼントしていたんだ!セレナは可愛かったし、あの頃のロザリアは目も当てられないほどに酷い容姿をしていたからですよっ!」

そして憎々し気に私をキッと睨みつける。

「馬鹿な事を言うなっ!何故お前とロザリア嬢の縁談をギンテル家に持ち掛けたと思っておるのだっ?!コナー家を立て直す為だろう?!その為にありとあらゆるつてを伝ってギンテル家のロザリア嬢にたどり着いたと言うのに・・この親不孝者めっ!」

「冗談じゃないっ!何故俺が家の為に自分の身を犠牲にしないといけないんだよっ!それでも親かっ?!この人でなしっ!」

「うるさいっ!子供は親の言う事を聞くものなのだっ!この・・親不孝者めっ!」

とうとうこの親子は私たちの目の前で激しいのの知り合いの口喧嘩をはじめてしまった。醜い・・全くなんて醜い言い争いなんだろう・・。

「いい加減にしたまえっ!」

ついに我慢できなくなったのか父が声を荒げた。その声にビクリとするコナー親子。

「2人とも・・・今の話でよーく分かりました。つまりあなた方は娘のロザリアではなく・・ギンテル家の財産を狙って娘と婚約したと言う事を!」

そして2人を交互に睨みつけるとさらに父の言葉は続く。

「さあ、この書面にジョバンニ君・・君のサインをするのだ。これは娘のロザリアとの婚約破棄を承諾する書類だ。さあ、書類にサインを。」

父はトントンと書面のジョバンニがサインする箇所を指で示し、ペンを差し出した。

「う・・・。」

その書面を眺めているジョバンニは震えながらペンを握り締め・・冷や汗を垂らしている。

「駄目だっ!ジョバンニッ!絶対にサインをしてはならんぞっ?!それにサインをすれば我らコナー家はもう終わりだ。」

コナー子爵はまるで暗示をかけるかのようにジョバンニの耳元でサインをするなと言い続けている。

「で・・出来ませんっ!お・・俺は、ロザリアの事を好きですからっ!」

そしてバアンッ!とペンをテーブルの上に置いた。おおっ!この場に来てまだそんな図渦しいセリフを言うとは!ある意味驚きだ。

「ロザロリア、お前の今日の無礼は許してやる。だって俺たちは婚約者同士だろう?誰だって過ちの一つや二つあるんだ。ここはお互い様だから、今回の事は水に流そうよ?」

そしてわざとらしく笑みを浮かべる。あまりの発言に一言物申してやろうと口を開きかけた時・・先に父が口を開いた。

「もし・・サインを拒否すると言うのなら、今すぐつけ払いで購入した貴金属の全額をこの場で請求することになるのだが・・それでも構わないのかい?」

その言葉を聞いて震え上がったジョバンニが、その場ですぐにサインをしたのは言うまでも無かった―。






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