気付けば名も知らぬ悪役令嬢に憑依して、見知らぬヒロインに手をあげていました

結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売

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第3章 12 デートの感想

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「う~ん・・・それにしてもそのジョバンニと言う男は酷いね。死ねばいいと言ったんだろう?」

ナッツさんは空を見上げながら言う。

「は、はい・・・。」

「それで、ジョバンニと付き合っている女性からその直後に妙な薬を渡されたと・・・。」

その話はさっき私が泣きながらナッツさんにした話だ。

「うぐっ、そ・そうです・・。」

いまだに涙ぐみながら私は返事をする。

「悪いことは言わないよ。うん、やっぱり・・・ジョバンニって男とは早急に婚約を破棄した方がいいよ。このまま婚約を続けていたら・・今にもっと恐ろしいことになるかもしれない。仮に結婚したとしても・・不幸な未来しかみえないよ。」

ナッツさんが言う。

「は、はい・・・。そうですね・・・。早速父に今夜ジョバンニ様と婚約を破棄したいって伝えます・・。」

項垂れながら言うとナッツさんは笑顔になった。

「そうそう、ロザリアちゃんはとっても美人だからきっとすぐに新しい恋人が見つかるさ。さ、デートの続きでもしようか?」

ナッツさんは立ち上がると右手を差し出してきた。

「は、はい!」

私も左手を差し出すと、ナッツさんはギュッと手を握り締めて引き起こしてくれた。

「それじゃ、行こうか?そうだ、ロザリアちゃん。君は釣りをしたことがあるかい?」

立ち上がるとナッツさんが尋ねてきた。

「釣りですか?いいえ・・・ありませんね。」

「そうか・・よし、それじゃあ釣りをしに行こう!実はこのパーク内にはね、釣りが出来る釣り堀があるんだよ。やり方なら教えてあげるから一緒に釣りをしよう。」

釣りなんて初めての経験だ。

「いいですね~やってみたいです。」

「よし、早速釣り堀へ行こう!」

ナッツさんは私の左手をしっかりつかむと歩き出した。そして私はナッツさんの横顔を見つめ、少しずつ胸が高鳴っていくのを感じた―。


 その後、私とナッツさんは釣りを2人で楽しんだ。ナッツさんの教え方が上手だったのか、私は初めて釣りを経験したのに、2匹の魚を釣り上げる事が出来た。ナッツさんは6匹釣り上げた。

「ところでナッツさん、釣った魚はどうすればいいんですか?」

私は足元に置いたバケツの中で泳ぐ魚を見てナッツさんに尋ねた。

「うん、そうだね。この魚は持って帰ることも出来るし、この店で調理して食べる事も出来るよ。ほら、向こうの人たちを見てごらんよ。」

ナッツさんの差した先にはテーブル席がいくつかあって、そこで食事をしている人たちがいた。

「あの人たちはね、自分たちが釣った魚をこの店で調理してもらって食事をしているんだよ。釣りたては鮮度もいいし、とっても美味しいんだ。」

「うわあ・・それはいいですね。私も食べてみたいです。」

私は肉も魚も大好きだ。自分で釣った魚が食べられるなんて滅多にない経験だしね。

「よし、お昼の時間も過ぎてしまったし・・それじゃ遅めのお昼ごはんって事でこの店で食事にしよう。」

ナッツさんは笑顔で言った。


 そしてその後、私とナッツさんは釣った魚をお店に預けて調理をお願いした。
出てきた魚料理はムニエルやホイル焼き、蒸し料理・・等で、どれもとても美味しかった。
その後も2人でパーク内を散策し、植物園や併設されている小さな牧場で乳しぼり体験等をして楽しんだ―。


****

夕方―

「ナッツさん。今日は色々ありがとうございました。とっても楽しかったです。」

パークの出入り口で私は頭を下げた。

「こちらこそとっても楽しかったよ。ロザリアちゃんさえよければまた2人で何処かへ遊びに行かないかい?」

笑顔のナッツさんを見上げて、私の胸は高鳴った。

「は、はいっ!ぜ、是非っ!」

思わず声が上ずる私。

「アハハハ・・良かった。断られなくて。それじゃ僕は方向がこっちだから。」

ナッツさんが差したのは王城がある方角だ。

「それじゃ、私はこっちの方角なので。」

ナッツさんとは反対側の道をさす。

「それで、どうする?また走って帰るの?」

冗談っぽく尋ねられた。

「いいえ、歩いて帰りますよ。これも運動の為ですからね。」

馬車を使って帰れば里香さんに後で何と言われるか分かったものじゃないし・・。

「そっか、それじゃまた。」

「はい、また。」

そして私たちは互いに手を振りあってその場で別れた。



****

屋敷までの道を歩き始めると、突然頭の中で里香さんが話しかけてきた。


《 どうだった、今日のデートは? 》

「はい、とても楽しかったです。」

《 そっか、それは良かった。いい、ロザリア。ちゃんとジョバンニとの婚約破棄の件・・父親に伝えるのよ? 》

「はい、分かっていますってば。」

苦笑しながら答える私。

そして私と里香さんは互いに話をしながら屋敷まで歩き続けた。

屋敷ではとんでも無いことが起こっていることも知らずに―。

 

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