45 / 61
第3章 11 笑ったり泣いたり
しおりを挟む
「ロザリアちゃん・・君、笑ってるだろう?」
湖の真ん中迄ボートを漕いできたナッツさんが面白そうに言う。
「え?い、いえっ!まさかっ!婚約者がこの場に不釣り合いな格好で現れて、湖に落ちてもがく姿を見て笑うなんて・・・!」
しかし、自分で分かっている。今、こうして先ほどの惨めなジョバンニ様の姿を思い浮かべる度にお腹の底から笑いだしたくなってくる自分がいる事に・・・。
すると私の思っている事が分かったのか、ナッツさんが言った。
「ロザリアちゃん・・・我慢は身体によくないよ・・自分を解放してあげないと・・。」
真顔で言われると、余計先ほどの光景が鮮明に思い出される。もう・・限界だ。
「ア・・・アハハハハハハッ!!も、もうダメ・・・!もう我慢の限界!アハハハハハハハッ!ヒィ~・・・・く、苦しい・・笑いがと、止まらな・・・ハハハハッ!」
その後・・・結局私は湖の真ん中のボートの上で10分以上お腹を抱えて笑い続けてしまった。湖中に響き渡る笑い声に・・私とナッツさんは人々から注目されるのだった―。
****
それから約20分後―
ナッツさんにアイス・カフェオレをごちそうになりながら、石畳の噴水前広場の木のベンチに腰かけている私達。目の前の噴水は勢いよく水を噴き上げ、太陽にキラキラ照らされて小さな虹を描き出している。それを母子連れが楽し気に眺めてる姿が目に入った。
「どう?少しは落ち着いた?」
ナッツさんが私を覗き込むように尋ねてくる。
「はい・・・まだお腹痛いですけど・・・何とか収まりました。ありがとうございます。」
ナッツさんにお礼を述べた。
「え?何故お礼を言うの?」
「はい、ナッツさんがあそこでボートを漕ぎだしてくれていなければ私はジョバンニ様に捕まっていたかもしれないからです。そして望まぬデートを・・・。」
そこまで行って私はハッとなった。あれ・・・私ってジョバンニ様の事を好きだったはず・・なのに、今望まぬデートって・・これではまるで・・里香さんがジョバンニ様を毛嫌いする気持ちが伝染してしまったようだ。
「ジョバンニってさっきの彼の事だよね?婚約破棄予定の・・。」
「はい、そうです。」
「で・・ロザリアちゃんは彼の事好きだったの?」
ナッツさんは私の方を見もせずに、ベンチの正面から見える噴水を見つめながら尋ねてきた。その目は・・何となく遠いものを見ているようにも見える。
「私とジョバンニ様は・・政略結婚相手として先方から申し出があったんです。ジョバンニ様の家柄は・・子爵家でしたが・・・家紋が傾き始めていて・・それでジョバンニ様と同じ年齢の私が選ばれたんですけど・・。」
そこで私は持っていたアイス・カフェオレを一口飲むと言った。
「お恥ずかしながら・・・私の方から一目惚れしてしまったんです。父は本当はこの婚約には反対していたんです。はっきり言ってしまえば・・・ジョバンニ様の家はあまり良い噂が無かったので・・・。だけど私が我がままを言って無理やり婚約を・・・。それがジョバンニ様に伝わったんでしょうね。自分なら何をやっても惚れられている立場にあるから許されるだろうって思われてしまったみたいで・・・2人で何処かへ出かけてもお金を出すのはいつも私だし、私の前で平気で他の女の事デートはするし・・あ、挙句の果てには・・お前なんか死ねばいいって・・・!」
「ロザリアちゃん・・。」
気付けば私は俯いて、ポタポタと涙を流していた。それを黙って見ていたナッツさんはおもむろにポケットからハンカチを取り出し、渡してきた。
「ロザリアちゃん。これ・・使うといいよ。」
「ナッツさん・・・。」
涙にぬれた顔を上げると、ナッツさんはにっこり笑うとハンカチで私の目の涙をぬぐってくれた。
「あ・・。」
「大丈夫、ちゃんと洗濯済みだから。」
「う~・・・・あ、ありがとうございますぅ~っ!」
そして、恥ずかしいことに今度の私は・・・広場のベンチで10分以上泣き続けるのだった―。
湖の真ん中迄ボートを漕いできたナッツさんが面白そうに言う。
「え?い、いえっ!まさかっ!婚約者がこの場に不釣り合いな格好で現れて、湖に落ちてもがく姿を見て笑うなんて・・・!」
しかし、自分で分かっている。今、こうして先ほどの惨めなジョバンニ様の姿を思い浮かべる度にお腹の底から笑いだしたくなってくる自分がいる事に・・・。
すると私の思っている事が分かったのか、ナッツさんが言った。
「ロザリアちゃん・・・我慢は身体によくないよ・・自分を解放してあげないと・・。」
真顔で言われると、余計先ほどの光景が鮮明に思い出される。もう・・限界だ。
「ア・・・アハハハハハハッ!!も、もうダメ・・・!もう我慢の限界!アハハハハハハハッ!ヒィ~・・・・く、苦しい・・笑いがと、止まらな・・・ハハハハッ!」
その後・・・結局私は湖の真ん中のボートの上で10分以上お腹を抱えて笑い続けてしまった。湖中に響き渡る笑い声に・・私とナッツさんは人々から注目されるのだった―。
****
それから約20分後―
ナッツさんにアイス・カフェオレをごちそうになりながら、石畳の噴水前広場の木のベンチに腰かけている私達。目の前の噴水は勢いよく水を噴き上げ、太陽にキラキラ照らされて小さな虹を描き出している。それを母子連れが楽し気に眺めてる姿が目に入った。
「どう?少しは落ち着いた?」
ナッツさんが私を覗き込むように尋ねてくる。
「はい・・・まだお腹痛いですけど・・・何とか収まりました。ありがとうございます。」
ナッツさんにお礼を述べた。
「え?何故お礼を言うの?」
「はい、ナッツさんがあそこでボートを漕ぎだしてくれていなければ私はジョバンニ様に捕まっていたかもしれないからです。そして望まぬデートを・・・。」
そこまで行って私はハッとなった。あれ・・・私ってジョバンニ様の事を好きだったはず・・なのに、今望まぬデートって・・これではまるで・・里香さんがジョバンニ様を毛嫌いする気持ちが伝染してしまったようだ。
「ジョバンニってさっきの彼の事だよね?婚約破棄予定の・・。」
「はい、そうです。」
「で・・ロザリアちゃんは彼の事好きだったの?」
ナッツさんは私の方を見もせずに、ベンチの正面から見える噴水を見つめながら尋ねてきた。その目は・・何となく遠いものを見ているようにも見える。
「私とジョバンニ様は・・政略結婚相手として先方から申し出があったんです。ジョバンニ様の家柄は・・子爵家でしたが・・・家紋が傾き始めていて・・それでジョバンニ様と同じ年齢の私が選ばれたんですけど・・。」
そこで私は持っていたアイス・カフェオレを一口飲むと言った。
「お恥ずかしながら・・・私の方から一目惚れしてしまったんです。父は本当はこの婚約には反対していたんです。はっきり言ってしまえば・・・ジョバンニ様の家はあまり良い噂が無かったので・・・。だけど私が我がままを言って無理やり婚約を・・・。それがジョバンニ様に伝わったんでしょうね。自分なら何をやっても惚れられている立場にあるから許されるだろうって思われてしまったみたいで・・・2人で何処かへ出かけてもお金を出すのはいつも私だし、私の前で平気で他の女の事デートはするし・・あ、挙句の果てには・・お前なんか死ねばいいって・・・!」
「ロザリアちゃん・・。」
気付けば私は俯いて、ポタポタと涙を流していた。それを黙って見ていたナッツさんはおもむろにポケットからハンカチを取り出し、渡してきた。
「ロザリアちゃん。これ・・使うといいよ。」
「ナッツさん・・・。」
涙にぬれた顔を上げると、ナッツさんはにっこり笑うとハンカチで私の目の涙をぬぐってくれた。
「あ・・。」
「大丈夫、ちゃんと洗濯済みだから。」
「う~・・・・あ、ありがとうございますぅ~っ!」
そして、恥ずかしいことに今度の私は・・・広場のベンチで10分以上泣き続けるのだった―。
22
あなたにおすすめの小説
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした
ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!?
容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。
「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」
ところが。
ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。
無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!?
でも、よく考えたら――
私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに)
お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。
これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。
じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――!
本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。
アイデア提供者:ゆう(YuFidi)
URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464
悪役令嬢と誤解され冷遇されていたのに、目覚めたら夫が豹変して求愛してくるのですが?
いりん
恋愛
初恋の人と結婚できたーー
これから幸せに2人で暮らしていける…そう思ったのに。
「私は夫としての務めを果たすつもりはない。」
「君を好きになることはない。必要以上に話し掛けないでくれ」
冷たく拒絶され、離婚届けを取り寄せた。
あと2週間で届くーーそうしたら、解放してあげよう。
ショックで熱をだし寝込むこと1週間。
目覚めると夫がなぜか豹変していて…!?
「君から話し掛けてくれないのか?」
「もう君が隣にいないのは考えられない」
無口不器用夫×優しい鈍感妻
すれ違いから始まる両片思いストーリー
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます
久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。
その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。
1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。
しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか?
自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと!
自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ?
ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ!
他サイトにて別名義で掲載していた作品です。
悪役令嬢に転生したと気付いたら、咄嗟に婚約者の記憶を失くしたフリをしてしまった。
ねーさん
恋愛
あ、私、悪役令嬢だ。
クリスティナは婚約者であるアレクシス王子に近付くフローラを階段から落とそうとして、誤って自分が落ちてしまう。
気を失ったクリスティナの頭に前世で読んだ小説のストーリーが甦る。自分がその小説の悪役令嬢に転生したと気付いたクリスティナは、目が覚めた時「貴方は誰?」と咄嗟に記憶を失くしたフリをしてしまって──…
悪役令嬢に転生かと思ったら違ったので定食屋開いたら第一王子が常連に名乗りを上げてきた
咲桜りおな
恋愛
サズレア王国第二王子のクリス殿下から婚約解消をされたアリエッタ・ネリネは、前世の記憶持ちの侯爵令嬢。王子の婚約者で侯爵令嬢……という自身の状況からここが乙女ゲームか小説の中で、悪役令嬢に転生したのかと思ったけど、どうやらヒロインも見当たらないし違ったみたい。
好きでも嫌いでも無かった第二王子との婚約も破棄されて、面倒な王子妃にならなくて済んだと喜ぶアリエッタ。我が侯爵家もお姉様が婿養子を貰って継ぐ事は決まっている。本来なら新たに婚約者を用意されてしまうところだが、傷心の振り(?)をしたら暫くは自由にして良いと許可を貰っちゃった。
それならと侯爵家の事業の手伝いと称して前世で好きだった料理をしたくて、王都で小さな定食屋をオープンしてみたら何故か初日から第一王子が来客? お店も大繁盛で、いつの間にか元婚約者だった第二王子まで来る様になっちゃった。まさかの王家御用達のお店になりそうで、ちょっと困ってます。
◆◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◆
※料理に関しては家庭料理を作るのが好きな素人ですので、厳しい突っ込みはご遠慮いただけると助かります。
そしてイチャラブが甘いです。砂糖吐くというより、砂糖垂れ流しです(笑)
本編は完結しています。時々、番外編を追加更新あり。
「小説家になろう」でも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる