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第3章 学園編
33 ユーリスとルコ
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久々に入ったユーリスの寝室で、随分長い時間眠るユーリスの顔を見つめていた。
本当、動いたり口をきかなければいつ見ても彫刻みたいに綺麗な顔だと思う。
いきなり倒れたのは驚いたけど、医者の見立てでは体に異常はなくて疲れて寝落ちしただけだろうということだった。
いつまでもグゥグゥ寝てる人間の横にいる物好きはそういなくて、部屋には俺とノスニキが残ってるだけだ。
あの状況で寝落ちとか信じられないけど、ユーリスがノスニキに何かしてその疲労の結果だとするとジェニスの言ったことの信憑性が増す。
「ノスガルデルタ様、ユーリス様は貴方に何したんですか?」
ユーリスにひっつくようにベッドに寝そべっているノスニキに尋ねても、尻尾を一振りするだけでもちろん返事は無かった。
やっぱり本人に聞くしかない。
最後に言っていたことの意味も。
お、俺のこと誰にも渡さないって……そういう、意味だって思っていいんだよな?
あれから、何度もそう考えては顔が熱くなっている。
でもじゃあ何で俺は振られたんだ?
そこまで思うと、あの発言には別の意味があるんじゃないかと疑い始めて、顔の熱は引いていった。
さっきからこの繰り返しで期待と不安がごちゃまぜになっている。
早く話しがしたいのに。
見おろすと気持ちよさそうに寝ている顔が目に付いた。
こっちの気も知らないで好き放題しやがって……
八つ当たりとわかってはいるけど、だんだん憎らしくなってくる。
「叩き起こしてもいいと思いますか?」
思わずノスニキに尋ねると、わふっと一吠えして部屋を去っていった。
不問に付すという意思表示だと勝手に思うことにする。
体を椅子ごと移動して、ユーリスの顔の横に座った。
慣れた手つきで整った鼻筋から流れるように膨らんだ小鼻を指でつまむ。
そのまま上半身を屈めて覆いかぶさるようにしてキスをした。
空気を求めて開いた唇の隙間から舌をねじ込んで、まだ動きが鈍い口内を舐め回してやると体が跳ねる振動が伝わってくる。
パチっと目が開いたのを確認しつまんでいた鼻を解放した。
身じろぐ体を空いた手で押さえつけてキスを続けてやる。
次第にユーリスの抵抗がなくなって、俺の舌にじゅぷじゅぷ絡みつくような舌の動きに変わった。
「んっ……はぁっ、……ふっ……」
頭の中にふわぁっと幸福感が広がって夢中で舌を擦り合わせた。
飢えた獣みたいに息を荒くして柔らかい肉を貪り、少し気が済んだ頃合いで唇を離す。
ちゅぷっと水音がして唾液が糸を引いた。
近づいていた顔を少し離して目の焦点を合わせると、寝起きのまだ緩慢な瞳がこちらを見ている。
「……好きだ。ユーリス。愛してる。」
まっすぐ見つめ返して告げる。
黄緑とグレーが混じり合った美しい虹彩が揺れた。
「え……ゆめ?」
舌足らずな喋り方で呟いてペタペタ俺の頬を触ってくる。
「寝ぼけてないで早く返事ください。」
その手のひらに猫みたいに顔を擦り付けて、親指を甘噛みした。
直後にぐっと上体を引かれて抱きつかれる。
「僕も、愛してる。ルコ。」
その返事に胸がいっぱいになった。
本当に久しぶりの安堵感で体の力が抜けた。
弛緩した体をぐっと引っぱられて、ユーリスの上に乗り上げるよう誘導される。
逆らわずに馬乗りになると眼下に真っ赤な顔をしたユーリスがいた。
「ぼ、僕のこと好きって、本当?」
「はい。」
「ガーデンシアより?」
まーたジキスを引き合いに出してる。
そういえばユーリスは俺がジキスを口説いてたと思ってるんだった。
……まさか、あの時すごい不機嫌だったのって、やきもちだったのか?
「私がお慕いしてるのはユーリス様だけです。」
「で、でも、あいつの事好きだって言ってたじゃないか!」
……言ってねーよ。
「いつ申し上げましたか?」
「僕が研究科に迎えに行った時、泣いて好きって言った。」
その言葉に、やっと俺たちの間にあった大きな誤解の存在に気付いた。
長いため息を吐き出す。
「あれは貴方を好きだって言ったんですよ。」
「ゆっ、ゆってない!」
確かに、思い返せば誰とは付け加えてなかったけど、ちょっと考えればわからないか?
「私の言葉不足は謝ります。けど、ガーデンシア様とはあの時ほぼ初対面なのは貴方もご存知でしょう。いきなり好きになるわけないじゃないですか。」
「そんなの分からないだろう。僕は初めて会った時からルコが好きだもん。」
だもんじゃねーよ。
可愛くないから。
「私を遠ざけたのは、私が他の人を好きになったと思ったからですか?」
「だって近くにいられたら触りたくなって我慢出来ないし。諦めようと思ったんだ。出来なかったけど。」
「部屋を変えられたのは私が身分をわきまえず本気になったから疎まれたのかと。」
「そんなわけない。ずっと好きなのに。身分とか、誰も文句言えないように僕もノスももっと強くなるから。」
「あ、ありがとうございます……」
「ね、もう触っていい?」
上ずった声で言いながらユーリスの手が俺の太腿を撫でる。
聞く前に触ってるじゃんと思ったけど、尻のあたりにあるユーリスの股間がどんどん膨らんでいるのを感じて、俺の吐く息もちょっと熱くなってしまう。
本当、動いたり口をきかなければいつ見ても彫刻みたいに綺麗な顔だと思う。
いきなり倒れたのは驚いたけど、医者の見立てでは体に異常はなくて疲れて寝落ちしただけだろうということだった。
いつまでもグゥグゥ寝てる人間の横にいる物好きはそういなくて、部屋には俺とノスニキが残ってるだけだ。
あの状況で寝落ちとか信じられないけど、ユーリスがノスニキに何かしてその疲労の結果だとするとジェニスの言ったことの信憑性が増す。
「ノスガルデルタ様、ユーリス様は貴方に何したんですか?」
ユーリスにひっつくようにベッドに寝そべっているノスニキに尋ねても、尻尾を一振りするだけでもちろん返事は無かった。
やっぱり本人に聞くしかない。
最後に言っていたことの意味も。
お、俺のこと誰にも渡さないって……そういう、意味だって思っていいんだよな?
あれから、何度もそう考えては顔が熱くなっている。
でもじゃあ何で俺は振られたんだ?
そこまで思うと、あの発言には別の意味があるんじゃないかと疑い始めて、顔の熱は引いていった。
さっきからこの繰り返しで期待と不安がごちゃまぜになっている。
早く話しがしたいのに。
見おろすと気持ちよさそうに寝ている顔が目に付いた。
こっちの気も知らないで好き放題しやがって……
八つ当たりとわかってはいるけど、だんだん憎らしくなってくる。
「叩き起こしてもいいと思いますか?」
思わずノスニキに尋ねると、わふっと一吠えして部屋を去っていった。
不問に付すという意思表示だと勝手に思うことにする。
体を椅子ごと移動して、ユーリスの顔の横に座った。
慣れた手つきで整った鼻筋から流れるように膨らんだ小鼻を指でつまむ。
そのまま上半身を屈めて覆いかぶさるようにしてキスをした。
空気を求めて開いた唇の隙間から舌をねじ込んで、まだ動きが鈍い口内を舐め回してやると体が跳ねる振動が伝わってくる。
パチっと目が開いたのを確認しつまんでいた鼻を解放した。
身じろぐ体を空いた手で押さえつけてキスを続けてやる。
次第にユーリスの抵抗がなくなって、俺の舌にじゅぷじゅぷ絡みつくような舌の動きに変わった。
「んっ……はぁっ、……ふっ……」
頭の中にふわぁっと幸福感が広がって夢中で舌を擦り合わせた。
飢えた獣みたいに息を荒くして柔らかい肉を貪り、少し気が済んだ頃合いで唇を離す。
ちゅぷっと水音がして唾液が糸を引いた。
近づいていた顔を少し離して目の焦点を合わせると、寝起きのまだ緩慢な瞳がこちらを見ている。
「……好きだ。ユーリス。愛してる。」
まっすぐ見つめ返して告げる。
黄緑とグレーが混じり合った美しい虹彩が揺れた。
「え……ゆめ?」
舌足らずな喋り方で呟いてペタペタ俺の頬を触ってくる。
「寝ぼけてないで早く返事ください。」
その手のひらに猫みたいに顔を擦り付けて、親指を甘噛みした。
直後にぐっと上体を引かれて抱きつかれる。
「僕も、愛してる。ルコ。」
その返事に胸がいっぱいになった。
本当に久しぶりの安堵感で体の力が抜けた。
弛緩した体をぐっと引っぱられて、ユーリスの上に乗り上げるよう誘導される。
逆らわずに馬乗りになると眼下に真っ赤な顔をしたユーリスがいた。
「ぼ、僕のこと好きって、本当?」
「はい。」
「ガーデンシアより?」
まーたジキスを引き合いに出してる。
そういえばユーリスは俺がジキスを口説いてたと思ってるんだった。
……まさか、あの時すごい不機嫌だったのって、やきもちだったのか?
「私がお慕いしてるのはユーリス様だけです。」
「で、でも、あいつの事好きだって言ってたじゃないか!」
……言ってねーよ。
「いつ申し上げましたか?」
「僕が研究科に迎えに行った時、泣いて好きって言った。」
その言葉に、やっと俺たちの間にあった大きな誤解の存在に気付いた。
長いため息を吐き出す。
「あれは貴方を好きだって言ったんですよ。」
「ゆっ、ゆってない!」
確かに、思い返せば誰とは付け加えてなかったけど、ちょっと考えればわからないか?
「私の言葉不足は謝ります。けど、ガーデンシア様とはあの時ほぼ初対面なのは貴方もご存知でしょう。いきなり好きになるわけないじゃないですか。」
「そんなの分からないだろう。僕は初めて会った時からルコが好きだもん。」
だもんじゃねーよ。
可愛くないから。
「私を遠ざけたのは、私が他の人を好きになったと思ったからですか?」
「だって近くにいられたら触りたくなって我慢出来ないし。諦めようと思ったんだ。出来なかったけど。」
「部屋を変えられたのは私が身分をわきまえず本気になったから疎まれたのかと。」
「そんなわけない。ずっと好きなのに。身分とか、誰も文句言えないように僕もノスももっと強くなるから。」
「あ、ありがとうございます……」
「ね、もう触っていい?」
上ずった声で言いながらユーリスの手が俺の太腿を撫でる。
聞く前に触ってるじゃんと思ったけど、尻のあたりにあるユーリスの股間がどんどん膨らんでいるのを感じて、俺の吐く息もちょっと熱くなってしまう。
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