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第2章 入学前編
11 事故
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やった。
そう思った瞬間、轟音を立ててすぐ近くの山肌が崩れ落ち、大量の土砂が川に流れ落ちていった。
その衝撃で地面が揺れ、掴んでいた幹から手が離れる。
体がズルズルと滑落して、崖ギリギリのところで生えていた蔦植物に縋り付いて何とか止まった。
風が雨を体に叩きつけてくるのを強く意識する。
幸い体は多少安定しているけど、身動き出来るほどじゃない。
ずり落ちないように掴まるので精一杯で、へたに上によじ登ろうとすると滑る気がした。
さっき見た濁流のことは、あえて考えないようにする。
上を見れば2,3m先でノスニキがこちらを覗き込んでいた。少し足を斜面に下ろしては滑るのに気付いて止め、苛立たしげに前足を踏みならしている。
「私は大丈夫ですから、降りてこないで。そこを動かないでください。今助けを呼びますから。」
安心させるようにノスニキに明るく言うと、どうにか首に下げた公爵の笛を手繰り寄せて鳴らした。
ピィーーッとか細い音がして、すぐに暴風に掻き消された。
そのあと笛のヒモに花をくくりつけて思いっきり上に放る。
反動でズルっと体が下に滑ったけど、運良く風にも流されずノスニキのところに届いた。
「それ食べてくださいね!進化したら出来れば助けてください。」
そう呼びかけて一縷の望みをかけしばらく待つ。
けど元の姿のノスニキがまたひょっこり顔を出した。
「あー……。ありがとうございます。分かりましたので、しばらくこっち見ないで下さい。」
命懸けの一手がこんなもんか……
全然笑えない状況なのに苦笑が漏れる。
また体がズルッと下にずり落ちた。
完全に自業自得なんだけど、痛いのは勘弁だな。
ノスニキの手前取り乱すわけにはいかないけど、いよいよしがみついている手先の感覚が無くなってきた。
足はもう崖に落ちていて、上半身と腕だけでしがみついている状態だ。
この激流に落ちて、泳いで岸までたどり着けるだろうか。
俺……泳げないけど……。
怖い。
俺って馬鹿だったんだな。
……ユーリスに会いたい。
「ルコ!」
上から声がした。
見上げればアッシュタールに乗った公爵とユーリスの姿が目に入る。
んだこれ。泣けてきた。
「っ……ユーリスッ……!」
思わず馬鹿みたいに力を込めて傾斜をよじ登ろうとした。
あまり意味はなくて、ズルンと滑って体が宙に浮く。
目に入る光景がスローモーションみたいだった。
「ルコ!!」
アッシュタール号から飛び降りたユーリスが、斜面を踏みしめて跳躍する。俺めがけて飛びついてきて、頭を抱えるように抱き込まれた。
少しの落下の後、水面に体が打ち付けられてドボンと沈む。
衝撃に息を吐き出してしまい口の中に泥水が流れ込んできた。
息が苦しい。
踠いていると俺を抱き込む体が暴れる俺の頭を押さえつけて、唇に柔らかいものが押し付けられる。
直後に口の中に空気が入ってきて、訳もわからず自分から必死に顔を押し付けてそれを吸った。
俺を抱えた体はぐんぐん濁った水を掻き分けていく。
それに合わせて必死で水を掻いた。
そう思った瞬間、轟音を立ててすぐ近くの山肌が崩れ落ち、大量の土砂が川に流れ落ちていった。
その衝撃で地面が揺れ、掴んでいた幹から手が離れる。
体がズルズルと滑落して、崖ギリギリのところで生えていた蔦植物に縋り付いて何とか止まった。
風が雨を体に叩きつけてくるのを強く意識する。
幸い体は多少安定しているけど、身動き出来るほどじゃない。
ずり落ちないように掴まるので精一杯で、へたに上によじ登ろうとすると滑る気がした。
さっき見た濁流のことは、あえて考えないようにする。
上を見れば2,3m先でノスニキがこちらを覗き込んでいた。少し足を斜面に下ろしては滑るのに気付いて止め、苛立たしげに前足を踏みならしている。
「私は大丈夫ですから、降りてこないで。そこを動かないでください。今助けを呼びますから。」
安心させるようにノスニキに明るく言うと、どうにか首に下げた公爵の笛を手繰り寄せて鳴らした。
ピィーーッとか細い音がして、すぐに暴風に掻き消された。
そのあと笛のヒモに花をくくりつけて思いっきり上に放る。
反動でズルっと体が下に滑ったけど、運良く風にも流されずノスニキのところに届いた。
「それ食べてくださいね!進化したら出来れば助けてください。」
そう呼びかけて一縷の望みをかけしばらく待つ。
けど元の姿のノスニキがまたひょっこり顔を出した。
「あー……。ありがとうございます。分かりましたので、しばらくこっち見ないで下さい。」
命懸けの一手がこんなもんか……
全然笑えない状況なのに苦笑が漏れる。
また体がズルッと下にずり落ちた。
完全に自業自得なんだけど、痛いのは勘弁だな。
ノスニキの手前取り乱すわけにはいかないけど、いよいよしがみついている手先の感覚が無くなってきた。
足はもう崖に落ちていて、上半身と腕だけでしがみついている状態だ。
この激流に落ちて、泳いで岸までたどり着けるだろうか。
俺……泳げないけど……。
怖い。
俺って馬鹿だったんだな。
……ユーリスに会いたい。
「ルコ!」
上から声がした。
見上げればアッシュタールに乗った公爵とユーリスの姿が目に入る。
んだこれ。泣けてきた。
「っ……ユーリスッ……!」
思わず馬鹿みたいに力を込めて傾斜をよじ登ろうとした。
あまり意味はなくて、ズルンと滑って体が宙に浮く。
目に入る光景がスローモーションみたいだった。
「ルコ!!」
アッシュタール号から飛び降りたユーリスが、斜面を踏みしめて跳躍する。俺めがけて飛びついてきて、頭を抱えるように抱き込まれた。
少しの落下の後、水面に体が打ち付けられてドボンと沈む。
衝撃に息を吐き出してしまい口の中に泥水が流れ込んできた。
息が苦しい。
踠いていると俺を抱き込む体が暴れる俺の頭を押さえつけて、唇に柔らかいものが押し付けられる。
直後に口の中に空気が入ってきて、訳もわからず自分から必死に顔を押し付けてそれを吸った。
俺を抱えた体はぐんぐん濁った水を掻き分けていく。
それに合わせて必死で水を掻いた。
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