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6, ご主人様の部下
しおりを挟むむん、と人間になる事をイメージすると、俺様に生えていた尻尾がシュンッと消えた。
耳も尖っていた先が丸くなり、頭の2本の角も引っ込む。
体の皮膚が黒い所も全部白くなった。
「ふむ、口。」
言われてユジンに向け口をパカッと開けると下顎を掴まれて中を覗き込まれた。
「牙もまあ、八重歯と言えなくもない大きさになってるな。ま、これなら良いだろ。」
顎から手が離された。
「俺様人間に見えるか?」
「見える見える。身体感覚は頭ほど悪くない。」
ペチペチと背中を叩かれた。
「ふふっ、まあ、俺様にかかれば楽勝なのだ!」
別にこいつに褒められたって嬉しくないけどな!大して褒めてない気もするしな!
「尻尾。」
言われて後ろを見れば尻尾がまた飛び出てブンブン揺れていた。もう一回引っ込める。
「気をつけろよ。角や黒い肌を人に見られたら厄介だ。それに悪魔の部分は特に穢れを取り込みやすい。私と2人の時以外は人間の姿を保つように。」
「ううっ面倒なのだぁ……ユジンの術でずっと人間の姿に出来ないのか?乳首やおちんちんつけられるんだからさ。」
「必要ない。それに、悪魔の姿の方が私は気に入っている。」
言われた言葉に思わずユジンを見る。
ユジンの綺麗な顔が無言で俺様を見つめ返した。
ユジンが?気に入ってる?俺様を?
……どうしよう。嬉しいのだ。
「ふへっ、へ、えへっ、そうなのか?ユジンは俺様が好きなのか?」
胸があったかくなって、フワフワしてきてつい角や尻尾がぴょこぴょこ出てきた。
「……うわ、キッモ。」
途端にユジンが吐き捨て俺の鼻をムギュッと抓った。
「ふぎゃっ!」
「お前よくこれだけされてる相手にそんな雌の顔出来るな。耳触りのいい言葉をくれる相手なら誰でもいいんだろ。」
「はぁ!?違うのだ!べ、別に嬉しくなんかないのだ!お前なんか!お前なんかっきっ嫌いだからな俺様は!!」
「……チッ。安く煽てられたくらいで変幻が解けるようじゃ仕事にならない。体得しろ。2日待ってやる。その間は私の部下に従えよ。」
「だったらお前が術をかければいいのだ!あ~、さては出来ないんだろ!かっこわる~い!!」
「悪魔の部分は他の悪魔に共鳴する。だからお前が自分で操作できなきゃ使い物にならないの。分かったら精進しろ馬鹿。」
「馬鹿って言う方が馬鹿なのだ!」
「はぁ、馬鹿の相手は疲れた。私は寝る。昨日どっかの馬鹿に搾り取られてくたくただ。せっかく何年もかけて完成させた術にかかった馬鹿な悪魔を従僕にしたらとんだ馬鹿だったしな。」
「わざと馬鹿馬鹿いうなぁ!」
腹が立ったので寝床にあった四角いふかふかしたやつをユジンに投げつけたけど、あいつがサッと扉を閉めたので四角いのは扉にボスっと当たっただけだった。
腹立つ!腹立つ!何で俺様に酷いことばっかり言うのだっ!
俺様はユジンに馬鹿って言われるより好きって言われたいぞ!!
尻尾で寝床をバシバシ叩いていたら、部屋の扉がガチャリと鳴った。
咄嗟に尻尾を引っ込める。
「おい……」
「ちがっ、出してないぞ!馬鹿って言うなぁ!」
振り向いて叫んだら、知らない人間が、多分こいつも男だと思うけど、立っていた。
「いや、言わねぇよ。俺はユジン様にあんたの世話を頼まれたこの教会の助祭。グイドってんだ。よろしくな、リュス。」
グイドはニカっと笑って入ってきた。
ユジンよりも顔が皺々でゴツゴツだ。人間はたくさん生きると皺々になるからな。グイドはユジンよりもたくさん生きてるんだろう。
髪はたまに白いけど、ほとんど黒だ。目は栃の実の色。体はユジンより低いけど、幅はユジンよりあって丸い。
「え、あ……」
どうしよう。ユジン以外と話して大丈夫なんだろうか。俺様は悪魔だからな。
関わると人間に悪い事が起きるのだ。
「はは、大丈夫。ユジン様から事情は聞いてっから。悪魔がこーんな綺麗な男だってのはちと意外だがな。何せ教会の本じゃみんな俺より醜い。こんなだぜ。」
グイドがクワっと変な顔をした。
「ふぇ、あぅ……」
「まいったな。俺の顔は悪魔も怖いらしい……。『はじめまして、グイド』って言えるか?」
「は、はじめまして。グイド……?」
「おー。よろしくな。」
グイドはニカニカしながら俺様の頭をワシワシした。
何だかホッとする。今の俺様は人間と話していいんだ、多分。
ユジンがそうしてくれたんだ。ふふ、嬉しいんだぞ。
「んじゃ、湯浴みすっか。んで服着ような。綺麗な肌だから見てるこっちは気持ちいいけど、流石に真っ裸で出歩く人間はいねぇや。」
「う、うん。分かったのだ。」
俺様が返事をすると、相変わらずニカニカしてグイドは俺様の髪をグシャグシャにした。
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