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乙女の祈り乙女の怒り

◆◆◆◆5

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――――――――視界が揺れている。
捕まった時から、どの位の時間が経ったろうか、頭のどこかの回路が途切れてしまったのか、ミレニアにはもう躰の痛みを認識する事は出来なくなっていた。
どこか遠い所で、ゴブリン達が楽し気に鳴いている声がする。耳障りな声だ。
視界がゆれている。
急な坂道を真っすぐ降りている時みたいな揺れ方だった。
乱れた髪の毛が目にかかりうっとおしい、髪を掃おうと手を上げたら二の腕から先が無くなっていた。
ピュ―、ピュ―といっそ滑稽なほどテンポ良く鮮血が傷口から噴き出している。
『アッシュレアががっかりするわね』こんな時に、場違いにもミレニアはそんな事を考えていた。
アッシュレアはよく、ミレニアのスラリとした手足を褒めてくれていた。『きっと花嫁衣裳が映えるわね、いつかミレニアが結婚する時が楽しみだわ』無邪気にそう言って笑うアッシュレアの笑顔がまぶたに浮かんだ。
視界が揺れている。
揺れる視界の隅には、自分の大きく膨らんだお腹が映っている。
膨らんだ自分のお腹がボコリと蠢いた。
ゆっくりとせり上がる感覚が起きたかと思うと、水桶から道路に水をぶちまけた時の様な音と共に複数のギャーギャーという鳴き声が当たり中に響いた。
数匹のゴブリン達がミレニアの足の間に群がったかと思うと、生まれたばかりのゴブリンの雛を横に放り投げ、ミレニアの体を又犯し始めた。
『この地獄はいつまで続くの・・・』いっそ殺してと本気で願った。
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