壊れた玩具と伝説の狼

すずひも屋 小説:恋川春撒 その他:せつ

文字の大きさ
115 / 223

人食い湖の住人3ー1

しおりを挟む
しかし、海月の返答は、決してアヤ達の期待していた通りの物では無かった。
「何とかした方が良いのは分かったけど、思うようには行かないよ。
 こういう薬を抜くのって魔法が効かない物も多いんだよね。
 薬は、薬なんだよね。染み込んで定着してしまった薬物って本体が異物として拒絶しないから魔法がうまく作用しないんだよ。
 怪我とは理屈が違うんだ」
そう言いながら、海月の上半身はベットから移動してきた。
セイラの視線の高さで止まり、少し怯えてアヤに掴まるセイラに構わず爪先から頭の先まで眺めると両手を開いて指を触手に変えた。
「触っても、大丈夫?」
と海月がアヤに聞いた。
キラキラと透明な、とても綺麗な触手だった。
セイラを気遣ってか、ゆっくりと近づいて来て手前で止まり、先だけがソヨソヨとうごめかされた。
蠢く様子も、光を反射して、まるで柔らかいガラスか飴細工の様で、なのに、その触手がセイラの直ぐ傍まで来た途端、セイラの体は嫌悪と恐怖で硬直した。
吐き気がした。
今すぐ目の前の触手を叩き落として『触るな』と怒鳴りつけたい。
でも、
(良いよって言わないと、コレは多分お医者様の診断と同じなんだから)
セイラは一生懸命うなづこうとした。
一生懸命頷こうとしたのに、体が拒絶してどうしても頷く事が出来なかった。
無意識のうちにアヤの毛皮を掴んで、硬直してしまった。
海月が困った顔をしてセイラの瞳を覗き込んだまま小首を傾げた。
(は、早く頷かなくちゃ。せっかくアヤが)
折角アヤが、背中に乗せて、僕の為にここまで連れて来てくれたのに。
セイラの、アヤの毛皮を握りしめる手が、節が真っ白になるほど力を込めた。
あせれば焦るほどセイラの体は固く硬直して、喉ばかりが干上がって張り付いた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

チョコのように蕩ける露出狂と5歳児

ミクリ21
BL
露出狂と5歳児の話。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

処理中です...