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二章 領地の特産品開発と拡張
2.夜の散歩、もとい掃除
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「エリオス様……チュッ」
「んふふっなあ、様はやめてくれよ」
「え?」
夜、俺の部屋でいちゃいちゃ。なんでって首に腕を回しとろけ顔。
「俺はお前の番だろ?様は距離があるようで寂しいよ?」
「ふふっそう?」
俺の膝に座り、俺の頬を撫でながらでもと。
「仕事中、間違って呼び捨てにするのが嫌なんです」
「そうか?別に構わんだろ?」
「構いますぅ。周りに示しが付きません」
ふわっと首に腕を回し、
「言葉なんて気にしないで。僕はこうしていることが奇跡みたいで幸せです」
「そっか。敬語もやめて欲しかったんだがな」
抱き合って俺も幸せ。
「それも無理。僕、公私をきちんと分けるの、かなり意識してるんです」
「そう?でも僕って」
身体を起こしてチュッてしてくれる。
「そのくらいにしてるんです。今は公私の私の時間だと思いたいから」
「ん~なら、普通に話してくれよ。俺の愛しい人なんだろ?」
んふふっと蕩けて……あ~かわいい。
「なら頑張ってみるね?んっんっ………エリオス、大好き」
「うん、俺も大好き」
照れてギュッしがみついてくる。なんてかわいいんだ。別に肌を合わせなくても、こうして抱き合っているだけで、疲れが取れる気がするほど幸せだ。
コンコン。
「失礼します。夜間の清掃の時間になりました」
「おう!行ってくるな」
チュッとしてセリオを下ろして立ち上がった。
「僕も行く!」
いいよ、お前は先に寝てろ、な?
「イヤ!手伝う!」
わがまま言うなよと頬にチュッとした。
「お前は魔力が少ないだろ?疲れるぞ」
「エリオス……なら、僕いるだけでもいいから」
ギュッと抱きついてくる。
「離れていたくないんだ。少しでも一緒にいたい」
「セリオ……」
毎日この時間が寂しいんだ。こうしていられるの夜くらいだから側にいさせてと。我慢して待つのもうイヤッて。かはあ!かわいい!
「なら、見てるだけだぞ?」
「うん、やった!」
や~だ~俺もうこの笑顔大好き。
「じゃあ行くぞ」
「うん!」
迎えの騎士と共にセリオを俺の騎獣に乗せて街にくり出し、
「ネトワイユ!」
先に少し進んで、うりゃあ!等間隔にのゴミ箱は設置したが、夜には溢れてすごい。
「ネトワイユ!」
セリオと手を繋いで掃除しながら街を歩く。
「へえ、夜の街は結構静かなんだね」
「そうだな、人も少なくてな。でも最近は危険だから俺の手を離すなよ?ネトワイユ!」
「うん」
かわいく俺を見上げる。あは~帰りたくなるからやめて。だが仕事だから頑張らないとな。護衛の騎士とメインの通りを術を掛けながら歩く。
まあなんだな。客は食べたら放り投げるのはやめて欲しい。足元には、串や包んでいた紙、どこかの店の木のコップが散乱。店主たちには悪いが、どこの店のか分からんから消す!ネトワイユ!
清掃人は前よりは増えたんだが、お給金がこの街の標準より安めのためか、中々集まらなくて力不足で、俺の財力の問題で、公共事業に金が回せないんだ。他のレストランとかの方が給金が高く、この仕事だけ残ってしまった。
でもな、夜中に領主が掃除してる街ってことで有名にもなって、それも宣伝にはなってるから、全部が悪いわけではない。俺が疲れるだけだ。ネトワイユ!
眼の前の店のドアがガチャリ開いた。
「あっエリオス様、ご苦労さまです!」
店の店主が看板を入れ込むところか。
「おう!繁盛してるか?」
「もちろん!忙しくて休む暇もありませんよ」
疲れている顔はしているがいい笑顔だ。
「そうか、身体に気をつけて励んでくれ」
「はい!ありがとうございます!」
後片付けをしている街の宿屋やレストランの者とこうして会話もして顔なじみにもなった。
「ふふっエリオス慕われてるんだね」
「おう!この夜中の掃除は大変だけど、街の者との触れ合いにもなっててな。困ったことも直接聞けるから悪いばかりじゃないんだ」
「ふ~ん」
ちょっと待っててと店主が中に入って行き、バタバタと戻った手には毛の生えたいも?のかご。エリオス様、珍しい果物が入ったんです。少しだけど持っていって!とレストランの店主。
「ありがとう。これなに?いも?」
「あ~なんだっけ、キュー……何とかってイアサントあたりから入ってきた果物だそうです。皮をむくと緑のキレイな色で美味しいですよ」
「ふ~ん。セリオ受け取って」
「うん」
十個くらい入ったかごを受け取った。
「ふふ、セリオ様は可愛らしい方なんですね」
「だろ?」
「えっと……やだ、エリオス」
あはは、仲がよろしいようで。結婚式楽しみにしてますよと、店主は看板を持って店の中に戻った。よし、続きだな。歩きながらセリオは、
「エリオス……僕ね」
「うん?」
「こんなふうに民と関わることなかったから、どんなふうにすればいいのかな?」
う~ん、そんな事は悩まなくていい。
「いつも通りでいいさ。お前らしくいればいい」
「仕事中みたいに?」
いや、そんなに気を張らなくてもいいんだ。
「素のお前でいい。この時間は俺もあまり気負ったりはせずに、民と同じ目線でいるようにしているんだ」
その方が屋敷に上がらない話なんかも聞けるし、こんな国の外れの領地なんだ。民と手を取り合って行かなければ、一刻の賑いで終わってしまうからな。
「そう……なら僕もそうする」
「ああ、そうしてくれ」
他愛もない話しをしながら。街の端までネトワイユ!とゴミを消しながら移動。小一時間で終わらせ屋敷に帰還。
にゃはは!騎士が増えたから早く終わるようになったんだ。これは父上のお陰だな。衛兵をかなり回してくれたからさ。それも返さなくていいって。
「王様なりのごめんなさい、なのかな?」
「まあな、生活するギリギリしか人も金もくれなかったからな」
ベッドに横になりながらのおしゃべり。この時間が俺は好きだ。で、この間の父上との話しをセリオに聞かせた。
「ふ~ん……王様結構苦労されてたんだね。いつも飄々としているから気が付かなかった」
きれいで薄く微笑み……それが定番の顔。作っている表情だ。それも仕事の一つ、それが王だ。
「王は喜怒哀楽を顔に出さないし、言わないからな。だから俺。愚痴のはけ口にされてる」
「ふふっでもその愚痴をエリオスが他の人に言わないのも知っているからだろうね」
確かに。俺は兄弟にも家臣にもそんな事を話さない。言ってもしょうがないし、父上の評判にも関わるしな。
「だね。エリオスが口が硬いのも織り込み済みなんだろうね」
「だな」
もしかしたら俺以外にも言ってるかもだが、兄弟からは聞かないな。……くそじじぃくらいか。クレメンテは父上が子供の頃からの側近で、最近は歳のせいか凄みも増して……うん、苦手。
「あはは。エリオス叱られてばっかだもんね」
「あ~父上が優しい分、あれがなあ」
天井を見ながら話してたんだが、クイッと顔を掴まれてセリオの方に。なに?
「お見合いで逃げたの心配したんだよ?そのまま帰ってこないかと思って……」
「ごめん。相手が嫌いとかではなかったんだが、予告なしで部屋に押しかけ着替えさせられてさ。お見合いだあ?とブツっとキレてしまってさ」
優しく頬に両手を当てて、
「僕辛かったんだ。もし婚約が成立してたら城から下がろうと思ってたの」
「え?」
じわっとセリオの目に涙が溜まり、
「辛くてお側にはいられないって考えてた」
「うん……そうだな」
俺への愛情を持ったまま別の者といちゃつくのは見てはいられないだろう。
「でも……今はエリオスは僕のでしょう?」
「そうだ。全部お前のだ」
「うん……もう忘れる。愛してるよエリオス」
「俺も愛してる」
涙の溜まる瞼の上に唇を寄せてチュッチュッ。ふわふわとした幸せに包まれながらキスをして……短くとも濃厚な二人の夜はふけていった。
「んふふっなあ、様はやめてくれよ」
「え?」
夜、俺の部屋でいちゃいちゃ。なんでって首に腕を回しとろけ顔。
「俺はお前の番だろ?様は距離があるようで寂しいよ?」
「ふふっそう?」
俺の膝に座り、俺の頬を撫でながらでもと。
「仕事中、間違って呼び捨てにするのが嫌なんです」
「そうか?別に構わんだろ?」
「構いますぅ。周りに示しが付きません」
ふわっと首に腕を回し、
「言葉なんて気にしないで。僕はこうしていることが奇跡みたいで幸せです」
「そっか。敬語もやめて欲しかったんだがな」
抱き合って俺も幸せ。
「それも無理。僕、公私をきちんと分けるの、かなり意識してるんです」
「そう?でも僕って」
身体を起こしてチュッてしてくれる。
「そのくらいにしてるんです。今は公私の私の時間だと思いたいから」
「ん~なら、普通に話してくれよ。俺の愛しい人なんだろ?」
んふふっと蕩けて……あ~かわいい。
「なら頑張ってみるね?んっんっ………エリオス、大好き」
「うん、俺も大好き」
照れてギュッしがみついてくる。なんてかわいいんだ。別に肌を合わせなくても、こうして抱き合っているだけで、疲れが取れる気がするほど幸せだ。
コンコン。
「失礼します。夜間の清掃の時間になりました」
「おう!行ってくるな」
チュッとしてセリオを下ろして立ち上がった。
「僕も行く!」
いいよ、お前は先に寝てろ、な?
「イヤ!手伝う!」
わがまま言うなよと頬にチュッとした。
「お前は魔力が少ないだろ?疲れるぞ」
「エリオス……なら、僕いるだけでもいいから」
ギュッと抱きついてくる。
「離れていたくないんだ。少しでも一緒にいたい」
「セリオ……」
毎日この時間が寂しいんだ。こうしていられるの夜くらいだから側にいさせてと。我慢して待つのもうイヤッて。かはあ!かわいい!
「なら、見てるだけだぞ?」
「うん、やった!」
や~だ~俺もうこの笑顔大好き。
「じゃあ行くぞ」
「うん!」
迎えの騎士と共にセリオを俺の騎獣に乗せて街にくり出し、
「ネトワイユ!」
先に少し進んで、うりゃあ!等間隔にのゴミ箱は設置したが、夜には溢れてすごい。
「ネトワイユ!」
セリオと手を繋いで掃除しながら街を歩く。
「へえ、夜の街は結構静かなんだね」
「そうだな、人も少なくてな。でも最近は危険だから俺の手を離すなよ?ネトワイユ!」
「うん」
かわいく俺を見上げる。あは~帰りたくなるからやめて。だが仕事だから頑張らないとな。護衛の騎士とメインの通りを術を掛けながら歩く。
まあなんだな。客は食べたら放り投げるのはやめて欲しい。足元には、串や包んでいた紙、どこかの店の木のコップが散乱。店主たちには悪いが、どこの店のか分からんから消す!ネトワイユ!
清掃人は前よりは増えたんだが、お給金がこの街の標準より安めのためか、中々集まらなくて力不足で、俺の財力の問題で、公共事業に金が回せないんだ。他のレストランとかの方が給金が高く、この仕事だけ残ってしまった。
でもな、夜中に領主が掃除してる街ってことで有名にもなって、それも宣伝にはなってるから、全部が悪いわけではない。俺が疲れるだけだ。ネトワイユ!
眼の前の店のドアがガチャリ開いた。
「あっエリオス様、ご苦労さまです!」
店の店主が看板を入れ込むところか。
「おう!繁盛してるか?」
「もちろん!忙しくて休む暇もありませんよ」
疲れている顔はしているがいい笑顔だ。
「そうか、身体に気をつけて励んでくれ」
「はい!ありがとうございます!」
後片付けをしている街の宿屋やレストランの者とこうして会話もして顔なじみにもなった。
「ふふっエリオス慕われてるんだね」
「おう!この夜中の掃除は大変だけど、街の者との触れ合いにもなっててな。困ったことも直接聞けるから悪いばかりじゃないんだ」
「ふ~ん」
ちょっと待っててと店主が中に入って行き、バタバタと戻った手には毛の生えたいも?のかご。エリオス様、珍しい果物が入ったんです。少しだけど持っていって!とレストランの店主。
「ありがとう。これなに?いも?」
「あ~なんだっけ、キュー……何とかってイアサントあたりから入ってきた果物だそうです。皮をむくと緑のキレイな色で美味しいですよ」
「ふ~ん。セリオ受け取って」
「うん」
十個くらい入ったかごを受け取った。
「ふふ、セリオ様は可愛らしい方なんですね」
「だろ?」
「えっと……やだ、エリオス」
あはは、仲がよろしいようで。結婚式楽しみにしてますよと、店主は看板を持って店の中に戻った。よし、続きだな。歩きながらセリオは、
「エリオス……僕ね」
「うん?」
「こんなふうに民と関わることなかったから、どんなふうにすればいいのかな?」
う~ん、そんな事は悩まなくていい。
「いつも通りでいいさ。お前らしくいればいい」
「仕事中みたいに?」
いや、そんなに気を張らなくてもいいんだ。
「素のお前でいい。この時間は俺もあまり気負ったりはせずに、民と同じ目線でいるようにしているんだ」
その方が屋敷に上がらない話なんかも聞けるし、こんな国の外れの領地なんだ。民と手を取り合って行かなければ、一刻の賑いで終わってしまうからな。
「そう……なら僕もそうする」
「ああ、そうしてくれ」
他愛もない話しをしながら。街の端までネトワイユ!とゴミを消しながら移動。小一時間で終わらせ屋敷に帰還。
にゃはは!騎士が増えたから早く終わるようになったんだ。これは父上のお陰だな。衛兵をかなり回してくれたからさ。それも返さなくていいって。
「王様なりのごめんなさい、なのかな?」
「まあな、生活するギリギリしか人も金もくれなかったからな」
ベッドに横になりながらのおしゃべり。この時間が俺は好きだ。で、この間の父上との話しをセリオに聞かせた。
「ふ~ん……王様結構苦労されてたんだね。いつも飄々としているから気が付かなかった」
きれいで薄く微笑み……それが定番の顔。作っている表情だ。それも仕事の一つ、それが王だ。
「王は喜怒哀楽を顔に出さないし、言わないからな。だから俺。愚痴のはけ口にされてる」
「ふふっでもその愚痴をエリオスが他の人に言わないのも知っているからだろうね」
確かに。俺は兄弟にも家臣にもそんな事を話さない。言ってもしょうがないし、父上の評判にも関わるしな。
「だね。エリオスが口が硬いのも織り込み済みなんだろうね」
「だな」
もしかしたら俺以外にも言ってるかもだが、兄弟からは聞かないな。……くそじじぃくらいか。クレメンテは父上が子供の頃からの側近で、最近は歳のせいか凄みも増して……うん、苦手。
「あはは。エリオス叱られてばっかだもんね」
「あ~父上が優しい分、あれがなあ」
天井を見ながら話してたんだが、クイッと顔を掴まれてセリオの方に。なに?
「お見合いで逃げたの心配したんだよ?そのまま帰ってこないかと思って……」
「ごめん。相手が嫌いとかではなかったんだが、予告なしで部屋に押しかけ着替えさせられてさ。お見合いだあ?とブツっとキレてしまってさ」
優しく頬に両手を当てて、
「僕辛かったんだ。もし婚約が成立してたら城から下がろうと思ってたの」
「え?」
じわっとセリオの目に涙が溜まり、
「辛くてお側にはいられないって考えてた」
「うん……そうだな」
俺への愛情を持ったまま別の者といちゃつくのは見てはいられないだろう。
「でも……今はエリオスは僕のでしょう?」
「そうだ。全部お前のだ」
「うん……もう忘れる。愛してるよエリオス」
「俺も愛してる」
涙の溜まる瞼の上に唇を寄せてチュッチュッ。ふわふわとした幸せに包まれながらキスをして……短くとも濃厚な二人の夜はふけていった。
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