ゆるゆる王様生活〜双子の溺愛でおかしくなりそう〜

琴音

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一章 双子の王と王弟 

10.勉強が始まった

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 話し合いが終わり部屋にレオンスと戻る途中……あれ?棟が違う?これ連絡通路だよね?

「レオンスさん、部屋に戻る通路が違うのでは?」
「はい。貴方のお部屋に向かっています。今までの部屋は客間で臨時でしたので、正式な貴方のお部屋に案内しております」

 突如現れたから準備が整わず今朝になったそうだ。はあ……僕の部屋か。どんなだろ?

 庭を眺め、廊下の照明や所々にある花や休憩するのかな?少し凹んだ場所に長椅子がある。すれ違う人が僕たちが通り過ぎるまで端に寄り会釈をし続けるのが……これ慣れないな。

「着きましたよ」
「あれ……ここは」
「はい。お二人の父上。王が使っていた部屋です」

 嘘でしょ?僕本当に王になるの……?魂が抜けていくようだ。ドアの前には騎士が二人立っている。一人が、

「ようこそルチアーノ様。お待ちしておりました」

 そう言うとドアを開けてくれた。

「うわぁ……」

 客間とは広さも倍はあるだろうか。応接セットに執務机に書庫……色んな国からの贈り物かな?調度品が並んでいる。色もダークブラウンで揃えられていて壁紙も落ち着いた色合いのクリーム色で……

「おかえりなさいませ。ルチアーノ様」

 ギーがお茶を入れエミルがお菓子を用意している。

「あ……ただいま」
「こちらにお掛け下さい」
「はい」

上座側にソファに座ると凄くふかふか。客間より豪華な物と分かる。向いにレオンスさん。

「お疲れ様でした。有意義な話し合いが出来ましたか?」
「はい……多分」
「それは良うございました」

 ではお昼からの予定をお聞き下さいと紙を出して説明してくれた。

「まず昼食後から座学を受けて頂きます。教授にはこの国の教師を最高峰の学園から呼んでさせますので安心です。その後に城内のルチアーノ様がよく使うであろう場所を案内致します。他は追々ですね」

 明日からは朝から夕方まで勉強と魔力のコントロールの練習。ダンス、行儀見習いの予定です。半年後に王に即位して頂きますのでそのつもりで頑張って下さい……?はあ?半年後!無理!

「無理ですよ!他国の田舎の食堂の店主で親も農家で父も野菜の行商で生計を立てるような……ああ……」
「分かっております。失礼とは存じましたが調べさせて頂きました。それで半年で充分と判断させて頂きました」

 何調べてオッケーと思ったんだ!無理だよ!

「レオンスさん……僕を三日は見てたでしょ?無理」
「いいえ、見ていたからですよ。ふふっ貴方はこんな状況でも適応しようと努力されています。貴方から見れば理不尽な事ばかりなのに受け入れて。そんな貴方なら出来ますよ」
「ゔゔぅ~」
「そんな声を出さないでほら、支度しましょう。イレール!」
「はい。ルチアーノ様こちらへ」

 朝着替えたのにまだ着替えて……双子が子供の頃使っていたという部屋に案内された。中には四十くらいの優しげな人がいた。

「お初にお目にかかります。プロスペールと申します。これから半年よろしくお願い致します」
「こちらこそよろしくお願い致します」

 挨拶と共に頭を下げた。

「ふふっ目下の者に頭を下げてはなりません。そして敬語も客人以外に使用しないように」
「すぐには無理です!」
「言葉は行動に現れます。これは今すぐから始めて慣れて下さい」
「はい……」
「うんでも分かったでも良いです。敬語は駄目ですよ」
「分かった……」

 そんなやり取りをしてから席につき、勉強は始まった。そして終わる頃には……頭がパンパンだ。覚えようと気合入れ過ぎて疲れた。

「では本日はここまでです。明日からは午前中になります。お疲れ様でした」
「はい……いえ、分かった、明日の朝だな?」
「はい。朝食が済んで猿の刻半にまたここで」
「分かった。遅れないように来る……先生辛いです……」
「慣れて下さいませ」
「はい、はぁ」

 クスクスと笑い合っていると、レオンスさんが迎えに来た。城の廊下を歩きながら、

「楽しかったですか?」
「あ~知らない事を知るのは楽しくないと言えば嘘ですが、疲れました」
「そうですか。言葉遣いは習いませんでしたか?」
「ゔっ当分多目に見て下さい。慣れません」
「はい。ではお部屋に戻りがてら城をご案内しますね」

 これは楽しみにしていた。今自分のいる棟は私生活部分の棟でカトレア棟と呼ばれている。初代王の好きな花の名前だそうだ。ここは王族の日常のための場所。仕事は持ち込まず私室や子供部屋、家族で楽しむような物が揃っている離れだ。だから、側近や側仕え以外は立ち入らないし、立ち入れない。

 一つしか無い城からの入口には、登録のないものは立ち入れない障壁魔法が掛けてあって部外者は入れない。だからジュスランはプラプラ裸で歩けたんだね。あの客間も入口すぐにあって、外に嫁いだ人がお産に帰って来た時や里帰りのお部屋だそうだ。

「ここから外に出れますよ」

 廊下の途中に掃き出し窓のような上が丸くなりステンドグラスの様に縁があるガラスのドアがあった。

「ふあ~!気持ちいい!お花も綺麗……」

 遠くからでも綺麗だったけど近くで見るともっと綺麗。匂いを嗅いだりと見入っていると、

「ルチアーノ様、これを」

 いつも見かける庭師の人。

「あっいつもご苦労さまです。窓から見えてました。ありがとう」

 ぼくの髪色と同じバラを数本くれた。トゲもキチンと取ってある。

「何てお名前ですか?」
「いえ……名乗るほどでは……」

 彼は犬族の獣人の姿だ。ちょっと懐かしいと感じてしまった。まだ数日なのにね。レオンスさんが目配せすると、

「サシャと申します。リンゲルから出稼ぎに来て早二十年になります」
「僕もリンゲルからです!」
「存じております……お会いできて嬉しゅうございました。良い王におなりくださいませ」

 懐かしそうな微笑みを浮かべ、会釈すると作業に戻って行った。

「彼は貴方がリンゲルからだと聞いて会いたがってました」
「へぇ……」
「この庭は私的な庭で、王族だからと物怖じする者はいません。だって王族しかいませんしね。ふふっ」
「確かに!あはは!」

 それから庭を散歩して夕食を双子と取った。が……ジュスランがおかしい。僕が微笑むとぼんやり?そのうち頬が赤くなり……?食事の手が止まった。

「兄様?」

 何かビクッとしたりしてるかと思うと、ゴニョゴニョ言って食堂を出て行ってしまった。

「どうしたの?」
「わかんない……ぼ~っとしてて。具合悪いのかな?さっきまで何ともなく仕事してたんだけど」

 ステファヌと首をかしげたが、まあ食うかと言われて心配だったけど食べた。それからステファヌと我々の側近二人とそれぞれの自室に戻った。

 大丈夫かな。ステファヌが様子見るって言ってたからまあ……お風呂に入って、イレールさんと今日の事を話していい時間だからとベッドに入った。

……恐ろしく重厚で優美なベッドです。天蓋もゴージャスで。はあ……僕これからここで生活するのか。いつも隣はヨハンだけでこんなに四六時中人が付いて世話してくれるのに慣れない。いつか慣れるのかな?いや、慣れないといけないんだよね。はあ、緊張が続いてるせいか横になるとすぐに眠りに落ちた。
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