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第一章婚約破棄事件
30.お忍びの会話
しおりを挟む社交界では私が姿を消したことで勝手に噂が流れていいました。
「レティシア様、計画通りですわ」
「ええ、本当に社交界は恐ろしい場所です事」
現在私はチェルベロ子爵家にお邪魔していた。
勿論お忍びで訪問し、今後の作戦会議をしていたのだ。
「皇太子殿下の怒りを買い、社交界だけでなく商会にも顔を出す事もできずに領地で謹慎処分を言い渡しているのだと噂をする者が増えています」
「そのようですわね…」
私が社交界に出ないことを良い事に私の後釜を狙おうと思っている方も多いでしょうが、そう簡単に行きません。
今の私の地位を築くのに十年の歳月と多くの方の協力があって為す事ができたのです。
そう簡単に行くわけもないのです。
「現在レティシア様の考えたブランドを真似たドレスやアクセサリーを社交界に流行らせようとしているそうですが」
「流行とは、タイミングがあります。それに似たようなアクセサリーは意味がありませんわ」
「同感ですね。私も帝国一の宝石商を営む者として呆れましたわ」
チェルベロ子爵夫人はジュエルデザイナーとしての誇りがあるのでしょう。
模造品ならばともかくまったく同じデザインで売り出す事はデザイナーの誇りがないと思ってしまわれても仕方ありません。
「それに、装飾品は安全性が命です」
「ええ、肌に優しい物を使わなくてはならないのですが…軽はずみに銀を使って肌に影響がでないといいのですけど」
「そこまで計算しているとは考えにくいですわ」
他のアクセサリーも同じです。
宝石の石が大きければ一度は目につきますが重すぎてもダメなのです。
宝石の保存に関してもです。
売ってしまえば終わりという考えではお客様からの信頼を得ることはできません。
「見た目だけ派手な宝石など意味がありません。宝石だけではなく」
「ええ、服や靴にアクセサリーはあくまで鎧なのです。私達が戦う為の」
社交界は戦場でもあるのです。
他家に舐められないように着飾りながらも相応しい恰好をして戦いに挑む鎧。
流行だけを考え一度着てはい終わりは二流の考えなのだとこの十年で学びました。
「本当の意味で女性の事を考えないで作った場合、どうなるか」
「すぐに結果は解りますわ」
私達は笑みを浮かべながら次なる作戦を考えるのでした。
服飾品の流れを止めた後に次に痛手となるのは、食料であり、特に塩の貿易です。
別に止めたりはしませんよ?
そんなことをしたら民が困りますが、外国から輸入しづらくなるようにするだけ。
そして貴族達が口にする上質な塩がなくなり民が口にしている塩を口にするだけなのですから。
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