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第一章婚約破棄事件
4.夢の中で
しおりを挟む――ここは何処でしょうか。
白い霧が深くなる中、目の前には何故かテレビが。
「ん?これは」
テレビとゲーム機に傍にはソファーがあり。
『お待ちください殿下!どうか話を』
『触るな汚らわしい!』
画面に見えるのは男女の争う姿。
ですが、その背景に覚えがあるのは何故でしょう?
『お嬢様!』
『レティ―先生!』
――何故私が映っているのでしょう。
「あー、やっぱり傍にいたんだ。あの伯爵夫人」
「あの人振り返ればいるよな。悪役令嬢の家庭教師なのに、普通学園に忍び込むか?」
悪役令嬢?
何処かで聞いたことがありました。
「さしずめ日本で言う御寮さんだな」
「「「社長!」」」
私の姿が見えていないのか私の前を素通りしました。
「こうなったら別ルートを作ります!」
「ちょっと部長!」
ソファーの真ん中に座る女性は――。
「また戦国武将になってますって!目がやばいっすよ」
「この成敗ルートを作る事を提案します。男と別れて自立した悪役令嬢は、帰り咲くのです!仕事のできる女に!」
「それじゃあ乙女ゲーム成り立たないんじゃないか?それはそれでありだが」
「社長も止めてくださいよ。部長の目がヤバいっスよ」
そこに座っているのは私でした。
前世の私です。
画面を食い入るように見ながらノートパソコン片手に、ゲームの改良を行っていたのです。
「学校内のど真ん中でこのような騒ぎを起こしているのに、何故誰も何も言わないのでしょう」
「それを言ったら話が進みませんよ」
「この伯爵夫人という方しか、彼女を守ってはくれないのでしょうか?」
画面をそっとのぞき込むと悪役令嬢と呼ばれる少女を見ると。
『どうして私は誰にも愛されないのですか先生。お父様も、殿下も、皆…私は完璧な令嬢であるべく務めて参りました。なのに…』
『お嬢様は何も悪くありません。何も!』
肩を震わせ泣く姿は見ていて痛々しくなります。
そんな中後ろから現れる少年が嘲笑うような声で現れる。
『惨めだな、婚約破棄まじかの出来損ない令嬢の母親気取りは』
――私の目の前に現れた彼を見た瞬間。
バキッ!
傍にあるボールペンを握り折ってしまいました。
何故この男がいるのでしょう。
ジャスパー!
「出ましたわねこの浮気男!去りなさい!」
「部長!落ち着いてください!テレビが壊れます」
「悪役令嬢をいたぶる嫌味キャラ!紐男の癖に!」
私の怒りが伝わったのでしょうか。
前世の私も暴れ出しましたが、ジャスパーに似ていますがおかしいですね。
「あー出たな。ドラ息子でヒロインの一方的な思いを寄せている馬鹿」
「そんで冷遇される悪役令嬢に嫌味を言っているんだろ。父親は伯爵夫人と因縁のある関係だとか」
成程読めました。
彼の頭の悪そうな笑い方と、無駄に自尊心の高さそうな態度はジャスパーにそっくりですね。
「でも、どのルートでもこの男は家が没落決定だもんな。ヒロインとは結ばれないし」
「ないだろ。乙女ゲームで一番嫌われるタイプだ…お前の元カレ」
「もう関係ありませんので。それに腐れ縁で恋人らしい事はほとんどしておりません」
「そっ…そーうか」
そういえば、あの時の私はかなりズレていました。
恋人のお付き合いというのはまず手を繋ぎ将来の事を考えることらはじまるのだと。
清いお付き合いをしていたのですが、今にして思えばあれは恋人ではありませんね。
手を繋ぎキス止まりだったのです。
「社長との方が恋人らしいですよね。荷物持ってあげたりして」
「いや、普通だろ」
目を見て話し事はあったでしょうか。
今にして思えば彼は私に手段として傍にいたのかもしれません。
「藤堂、気にするな」
「既に過去の記憶として処理しております。今後の経験に使わせていただきます」
「本当にブレないよな!」
私も彼たいして世話の焼ける弟のよう愛情は合ったのでしょう。
人付き合いが下手な私の傍にいてくれた。
寂しかったのでしょう。
だけど前世の私が本当に望んだ方は。
「アンタはそのままでいい。そのままで」
優しくて大きな手を私に差し出してくださった。
――この方だったのかもしれません。
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