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190死刑宣告~エセルバートside①
しおりを挟むあの後、馬車を奪い逃亡しようとした。
国境を抜ければ何とかなると思ったが、国境を出る前に審査で引っ掛かり馬車を捨て逃げる事になったが顔が割れているので何処へ行っても終われる。
「何でこんな田舎までも僕の顔が…」
町から町へ移動しても新聞では僕の事を悪く書かれている。
悪い噂が日に日に酷くなる先日も少し脅そうとした女を人質にして殺したなんて噂が流れている。
「僕は悪くない…僕は!」
顔を隠しながら歩き続けるも、空腹で我慢できなかった。
小さな村にたどり着いたが食べる物もなく体は泥だらけでとにかく休みたかった。
そんな中村の一番ハズレにポツンと立つ小さな小屋。
煙突から煙が出ているので人が住んでいるのが解ったのでこっそり中の様子を伺うと。
「人はいない…留守か?」
こうなったら食料だけ貰っていこう。
背に腹は代えられないと思ったが僕がドアノブに触れる前に扉が開かれる。
「誰じゃ?」
「あっ…」
まずい。
顔を隠さないと!
「誰かいるのかのぉ?」
小さな老人が出て来たが目が見えないようだ。
杖を突いていた。
目が見えないなら騙せると思った僕は出来るだけ優しい声で話した。
「悪い人に騙されてお金を奪われてしまって…」
「そうか、そうか。それは苛んじゃったな。入りなされ」
「どうしたんじゃ?」
奥からもう一人声が聞こえた。
同じ年頃の老人で杖をついているが身なりは悪くない。
もしかしたらこの二人は貴族かとも思った。
身分はそれ程高くないかもしれないが良い靴を履いているし服装も悪くない。
「そのまま立つ話もなんじゃ。入ったらどうじゃ」
「そうじゃな。旅のお方。入りなされ」
「ありがとうございます」
ちょろいな。
所詮は年寄りで、老害だ。
馬鹿な奴等だ。
しかし、しばらくここで匿って貰えばいい。
こんな村奥に住むような物好きだ。
きっと家族から見放されたのだろうが、使用人ぐらいはいると思った。
だから安心していた。
ゆっくり眠る事も、食事も満足に食べられなかった僕はようやく安心できると油断していた。
「今日はゆっくり休みなされ」
「ありがとうございます」
夜も遅い事で軽食しか食べれなかったが、まぁいい。
フカフカのベッドで眠れると思ってその夜はそのまま眠ってしまった。
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