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189帰還した二人
しおりを挟むしばらく王都を空けていた二人。
また盗み危機をしいていたのは今は置いておくとしてだ。
「エレナ、バルト様」
「話は全て聞かせていただきました」
「まさかここまで外道に成り下がっていたとは」
二人の表情はとても険しいけど、今は優先すべきことがある。
「実は、あの一家の被害者がまだ国内に多くいるのでせめて保護をしていたのですが」
「え…」
「私に賛同してくださり、あの屑男の公開処刑に協力してくださるとかで」
「中には商家の娘から水軍の娘もいる」
王都を空けている間に、そんなこともしていたの?
それにしてエレナ、アクティブ過ぎないかしら?
元から行動的だったけど。
「奥様、私は騎士の娘ですわ。貴族に反感を持っている方の懐に入るのは得意ですし商人の扱い方等軽いですわ」
「そうね…」
「故に、ビョンルンさんの恋人の捜索はお任せくださいませ。先程のお話を聞く限りテレアさんが身投げした川は…」
「地図だ」
「ありがとうございます」
何所から出したのか。
バルト様は本当に何でも持っているのね。
「ここがテレアさんが身投げをした川です…この時期では流れが速いですが全くも付けられないとは考えにくいのです」
「どうして…」
「問題は場所です。海に向かうまでに網が張られていますし、船も出ているので発見される可能性はあります」
私達よりもエレナの方が土地勘がある。
だとしてもそう簡単に見つけられるかは賭けだった。
「もしこの場所から流されたとしたらエレーヌに到着しているはずです」
「その村は…」
「漁師達が多く、女性は染めもの職人でお金を稼いでいます。伝手があります」
「二人はあの馬鹿を。彼女の保護と二度とこのような事が起きないようにこちらで動こう」
「バルト様…」
留学の身でもあるバルト様だけど国王陛下に意見できる立場にある。
「他国の問題だけじゃない。どの国も法律は貴族や男に甘すぎるんだ」
貴族、平民だけに限らず女性に生きにくい法律が多すぎる。
離縁しても女性側に親権はほとんどなく、男性に有利だった。
「根本から解決しないとならない」
「奥様、その為にもあの男を見せしめにしてくださいませ。このような事が起きないように」
「ありがとうエレナ…お願いしますバルト様」
もう二度とこんな事が起きないように。
そしてエセルバートを見せしめにして法律の見直しを願い出よう。
私だけでは無理だけど沢山の人が動いてくれているのだから。
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