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142梅毒
しおりを挟む新たな病が流行った。
私もその病を耳にした時に唖然とした。
「メリッサ様から梅毒が?」
「ああ、俺が調べたところ普通の無い毒ではない。そもそも貴族の娘ならば梅毒の可能性は低い。何故なら平民よりも清潔を保っているからだ」
「そっ…そうですね」
バルト様の言わんとしている事は理解できる。
絶対の可能性は少ないけど、男女が体を重ねた時は衛生管理や避妊に体を清潔に保っている貴族の方が確立は少ない。
それでも複数の人間と体を重ねるのは危険なのだ。
「まぁ、人間だけでなく異国で病気を持った動物を食した時に病気が移る事もしくなくないが、強い効果の媚薬をずっと服用していたのだろう」
「ええ‥」
「それが原因なんだ」
「やっぱり…」
以前媚薬を使い過ぎるとか体に毒だと聞いていた。
子宮内に毒が回り、体を重ねた時に直接を毒を受けるのは男性だと聞かされたのだから。
「しかし、今回の被害は相当だな」
「…といいますと」
「今調べてもらったがメリッサと直接体を重ねた男が高い確率で梅毒に苦しんでいる…少しきわどい言い方をするとメリッサとした男は軽く三十人いる」
「三十人…」
「まぁ軽く数えてだが…実際はもっと多いみたいだが」
「なんという阿婆擦れだ」
ずっと沈黙を守っていたエレンディス様も真っ青だ。
「無理ができない体の君に言う事ではないな」
「いいえ、私の方は大丈夫です」
でもメリッサ様はどうしてそこまで複数の男性と関係を持ったのかしら。
貴族の娘としていずれはお嫁に行くのに、遊んだでは済まされないのに理解に苦しむわ。
「アリア、君は知らなくていいんだ」
「え?」
「顔に出ている」
ポンと肩を叩かれ憐れむような表情をするバルト様だった。
「今は阿婆擦れはどうでもよい。この病が人から人に移るのだろう。何とかして解毒剤を」
「梅毒の薬は難しいんだ。それでなくとも媚薬の影響が出ているんだ…毒を出すのも難しい」
体を重ねる事で毒が移る病。
「待ってください、ようするにです。毒を外に出せばよいのではありませんか?」
「それはどうだが…」
体内に毒が回っている。
ならばその回った毒を外に出せばよいのではないか?
「他国ではその昔、とある感染病が流行しました。ですが体の外に毒を出す事によって助かった例外があります」
「本当か?」
「体の中に入り込んだ毒を医師の手で取りだすのは難しい…でもその毒を自然に出す事が出来ればよいのではありませんか?」
「自然に出す?」
そう人間の体から自然に出せばいいんだ。
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