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135裏で微笑む~侯爵夫人side
しおりを挟むアリアの懐妊を聞かされて私はいてもたってもいられなかった。
「ああ、なんておめでたいのかしら」
「少し落ち着かないか」
「落ち着いていられないわ」
だって、新婚早々に子供が出来るなんて奇跡よ。
社交界ではアリアに中々子供が出来ない事を悪く言う者がいたけど、その言葉をそっくりそのまま消してやりたいわね。
貴族社会では結婚して三年程度で子供が出来ないのは珍しくない。
それに結婚当初はアリアはまだまだ若くすぎたのだから。
「アリアの歳で子を身ごもるなんて素晴らしいわ」
まだ十代後半。
現在貴族の間では妻が子供を身ごもるのも困難だった。
だからこそ話題になるわ。
「ふふっ、悔しがるでしょうね」
「発狂するんじゃないか」
「だってあの性悪姑だって結婚して十年以上もかかったし、莫大なお金を使って治療をしたものね」
現在は自然に子を産める者は少なくなっている。
ただ、女性側に問題があるのではなくむしろ男性側だわ。
「エセルバートは種無しだって触れ回れるわ」
「止めないか!」
「だって貴方、これまで子ができないのはアリアの所為だって触れ回っていたのよ?大体ちゃん夜の営みをしていないのにこができるものですか…愛人との間にも子供もできなかったそうですし」
「気の毒になるよ」
ようするに問題はあの男。
アリアの方には何も問題がなかったと言う事になるわね。
「して、問題のあの男は」
「領地で最悪な評価を受けているわ。それから執行人にたっぷり奪われているけど…別の借金もあるからどうかしらね?」
執行人を雇った者は真っ当な商人だわ。
でも裏でお金を借りていたのだからもっと乱暴な目に合うのは確実。
「私もお金を貸しているのだけど平民になった前カスティージョ氏はどうするからしらね?うふふ」
「また何かするのか」
あら、私が直接するわけないでしょ?
何であんなくだらない連中の為に態々自分の手を汚さなければならないのかしら。
「私はあの親子に怒っているの。でも何もしないで良い舅の振りをしたあの男にもね?」
「うっ…うむ」
優しく見守り甘い言葉をかけながらアリアを逃げられないようにした。
悪気無かった?
そんなの信じられるはずないわ。
もし本当にアリアを大事に思ってくれているなら私に助けを求めるか、アリアの祖母君に相談するはずだわ。
どちらもしなかった。
だから病人だろうと容赦しない。
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