義妹ばかりを溺愛して何もかも奪ったので縁を切らせていただきます。今さら寄生なんて許しません!

ユウ

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134懐妊

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体調を崩してしまった私はその日何も食べたくなかった。


「アリア、大丈夫か」


「お前がそんなべったりじゃ悪化するだろう馬鹿だろ?本当に馬鹿だろ?役立たずめ」

「ぐっ…」


こんな時でも通常運転なバルト様だったが。


「アリア、果物だ。それから君の作った薬草を匂い袋にさせた…これなら匂いもマシだろ」

「まぁ…」


「ただし果物には注意した方がいい。食べるのは柑橘系でもこっちを」


私はやはり病気なのかしら?


「しばらく嘔吐は続くが風邪薬は飲むんじゃないぞ。お腹に悪い」

「はい?」

この吐き気はお腹をくだしたからなのかしら?


「おい馬鹿夫!もう少し室内の気温を上げろ。体を冷やすんじゃない」

「えっ…」

「お腹の子供に何かあったらどうする」


「「「は?」」」



この場の全員が素っ頓狂な声を出した。
勿論私もだけど。



「何を…」

「馬鹿か?気づけよ」


私のお腹の中に赤ちゃんがいる?


「えっ…しかし!」

「新婚旅行中にあれだけハッスルしていたんだからできるだろ?ああ、それからあの薬はもう一つ効果があるんだよ」

「効果?」

「そうだ。子供が出来やすくする効果な」


例の媚薬の話ね。


知らなかった。


「バルト…」

「妊婦の前で叫ぶなよ。俺だって少しは心配しているんだよ」

「何をですか」

もしや私が嫁として相応しくないから?

「このまま子供ができなかったらアリアは社交界でまた変な噂を立てられる。今やアリアは黄金の女神様だ。嫉妬もされるだろうよ」


「そうか…」

「お前がどれだけアリアを愛していても世間ではその愛も憐れみだと思うだろうよ」


バルト様…


なんていい人なの。


じゃあ私達の事をここまで心配してくれて。


「正直お前が結婚できるとは思わなかった。ならちゃんと子供作って、父親になれよ」


「すまん」

「まぁ、お前が遠征に行っている間は俺がパパになるけどな!誕生の場に立ち会うのは俺だ」


「やっぱり今すぐ帰れ。私の感動を返せ」


短い感動だったわね。
三秒で終わったのが悲しい所だ。


「後見人は是非俺に。名付け親も俺に」

「許さん!絶対に許さ…むぐ!」


叫んでいるエレンディス様だったが。


「旦那様、叫ぶなら外でお願いしますわ」


「エレナ、少しは加減なさい」


エレンディス様の胸倉を掴みながら恐ろしい形相で告げた。


「妊婦の前で叫ばないでください。邪魔ですので退出願います」

「エレナ…すまん」

「今から忙しくなるので」


日に日にエレナが強くなる。


でも、こんなのは序の口だった。


後に思い知ることになるのだった。



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