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88功績
しおりを挟む震える私に団長さんはそっと手を握り返してくれた。
「大丈夫だアリア」
「え?」
「アリア嬢、私はそなたに感謝こそしても恨む理由はない。そなたの祖母は私の恩人であり、孫のエンジュはそなたにより救われた…天国で息子夫婦も安堵しているだろう」
「大公様…」
「そなたは誰にも責められる事はない。そんなことは許されるわけがない」
私はあの家に戻らなくても良い?
このままの生活を続けられるの?
「大公様、既に縁が切れているとはいえ…無関係とは言えません」
「アリア、何を…」
「許されるなら修道院に行かせてくださいませ」
あの家に戻るぐらいなら私は…
「人の道を外れて生きていくぐらいなら私は祈りを捧げて穏やかに余生を過ごしとうございます。もうあの家に戻りたくありません…例え不敬罪で殺されても」
もうあの時の自分に戻りたくない。
ただ箱庭に入れられて耐え続ける日々は辛いだけ。
あの頃の私はエセルバート様の信じていたすら耐え抜いたけど。
でももう無理なの。
「私は人として生きたいのです」
「アリア嬢…そなたはそこまで追い詰められていたのか。報告では聞いていたが」
「大公殿下、あの一家は歪んでおります。長年に渡りアリアを奴隷以下の扱いをしていたのです。こんな狼藉は到底許されるはずがありません」
「無論だ。何を勘違いをしておる…例え平民でも許されるもの」
「大公様…」
「案ずるでない。元より私はそなたに礼を言いたかっただけだ」
最初から私を責める気はなく。
もし望むならある程度の望みは叶えようと言ってくれた。
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「それは無論だ」
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問題はそこだ。
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「そこは心配しなくて大丈夫だよ」
「大丈夫とは…」
「既に彼等はアリッサが無事であるとは思っていないだろう。彼等の罪を明らかにできるだろう」
本来なら相当思い罰を与えられるだろう。
ただ問題は王族籍から除籍されているダンテ殿下と奥様。
平民と言う形になるので表立った裁きは通常の物より軽くなるが、あくまで通常のもののようだ。
「しかし今一番心配するのはアリア嬢、そなたのことだ」
「え?」
私が?
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