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63恐ろしき才~エレナside
しおりを挟む晴れて離婚が成立し、特別処置により復縁ができない手続きを取った。
離縁して女性側は一年は再婚できないが元夫の場合は直ぐにでも再婚できる。
ただしその場合は円満な場合だった。
アリア様はいきなり離縁を告げられ身一つで放り出されたも同然で、離縁前に虐げられ暴行を受けていた手続きに私がこっそり録音をしておいた。
診断書も書いてもらい万一の時に裁判となった時に有利になるはずだ。
そして現在、急ピッチで手続きを終えた後に前フリーシア伯爵夫人が訪れたのだ。
「アリア!」
「お祖母様…」
「今までよく耐えましたね。貴女を誇りに思います」
「ごめんなさいお祖母様」
ずっと耐えてこられたアリア様は嫁は姑に仕え耐え忍ぶものだと思っていらしたがそれだけではない。
「使用人を最後まで守った判断は間違っていません。私の時は夫が味方になってくれなかったら出家するつもりでしたわ」
「そうだったんですか」
「ええ、それだけ姑と嫁の関係は難しいのです。だけど貴女は最後まで使用人を守ろうとした…女の主人として十二分に役目を果したのですよ…許して」
「そんなお祖母様」
恐らくカスティージョ家を敵に回せば領地も危険に晒される。
物流を止められたら領民を守れない。
百姓貴族であるが故に私情を交えなかったのだろう。
「我が領地はもう大丈夫ですわ」
「え?」
「フリーシア家は爵位を賜ることになりました」
「え…」
「これまでは伯爵家と言えど百姓貴族でしたが、重要な領地を賜りました。もう百姓貴族ではありませんわ」
「じゃあ…」
カスティージョ家を心配する必要はないという事になる。
だけど何故このタイミングで?
「他国で原因不明の疫病が流行りましたが、貴女が育てた薬草でその病を治す事が出来ると解りました。その功績が認められました」
「えっと…それは」
「貴女にも爵位が与えられるでしょう。子爵です」
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「子爵…」
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「ところがそうでもないのですよ。貴女の薬草で救ったのはその国の教皇猊下と王太子殿下です」
「え!」
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教皇猊下と王太子殿下となれば相応の褒美が必要になる。
「相手は正教公国…ノブレス・オブリージュに重きを置いている故に、貴女に関心を持っていました」
なんて恐ろしい方。
正教皇国を味方につけた以上は、国王陛下も無視できないわね。
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