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60失った物の大きさ~エセルバートside⑥
しおりを挟む「出て行け!」
何故だ。
どうして僕がこんな目に会うんだ。
「貴様如きがアリア様を侮辱するなど」
「あれ程尽くしてくださった奥様になんて男なの?神様が許しても私が許さないわ」
プリメーラ商会に向かい、僕は保証人になって欲しい事を告げた。
アリアが残した財産は僕が使う権利があると。
そしたらプリメーラ商会の会長とその妻が怒り食って来たのだ。
「お言葉ですが、既に離縁されている時点で法律上は無理です」
「そんな事も知らないなんて本当に馬鹿で無能で使い物にならない男。アリア様は何故こんな男に嫁いだのかしら?いかに前伯爵夫人が無理矢理婚約させたと言えど」
「五年の歳月を無駄にしたアリア様が不憫でならない。王都に残された間、どれだけ苦労されたか」
「哀れですわ。夫を信じ続けてその結果が裏切りなんて」
言いたい放題を言う二人に苛立つ。
何故皆してアリアをちやほやするんだ。
確かに離縁したのは悪かったけど、すぐに母上に頭を下げれば丸く収まったのだろう?
なのに気づきもしないで真に受けたんだ。
「解っていなさそうですね」
「僕は悪くない。無能なアリアが悪いんじゃないか…母に離縁を突きつけられても頭を下げて詫びて許しを請えば良かったんだ。なのに!」
「これ以上話していても気分が悪くなるだけだわ。塩を!」
あろうことにもこの女は僕に塩をまいて胸倉を掴み投げ飛ばしたのだ。
服は泥だらけで、馬車を呼ぼうにも。
「勘弁してください。うちは貴族や商人を乗せている馬車ですよ?そんな恰好で」
「荷車にでも乗ってくれ」
汚れた服装で僕をその辺の平民と間違えたのか、馬車に乗る事は出来ず歩いて帰る羽目になった。
邸に到着した頃は夕方になっていたが…
「きゃああ!不審者ですわ」
「何です貴方は!」
使用人は僕に気づかず水を投げて邸から追い出そうとしたが、なんとか僕と解った後に頭を下げて謝ったが主に無礼を働いたので雇う気はない。
その場で邸から追い出した。
「散々な目にあった…」
着替えを済ませ疲れ切った体を癒そうとしたが…
「うわぁぁぁん!まんまぁぁぁ!」
横になり眠ろうとするもアリッサの泣き声が煩くて眠れなかった。
最初は無視をしていたが一時間も泣き続け、イライラが募り下の階に向かった。
「まんまぁぁぁ!」
「いい加減にしろ!うるさいぞ!」
非道困憊で疲れている中、可愛げもない赤ん坊の泣き声は不愉快だった。
怒鳴り散らしたが泣き止むことはなく僕の腕に嚙みついた。
「このっ…」
まだ歯は生えてなかったが、イラついて突き飛ばしたが壁に頭をぶつけそのまま動かなくなったが大人しくなったと思い僕はその場方出て行った。
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